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嘘吐きパラドックス
あいつはどこまで行ってしまったんだ?
街をウロウロしながら***の姿を探す。
買い物に行ってくる、とだけ言って出て行った***を見送ったはいいが……
わたしも一緒に行けばよかったか。
なかなか帰ってこないじゃないか。
依存しあうような関係ではないが、いなければいないでどうにもいてもたってもいられなくなる。
……これを依存と言うのか?
自嘲の笑みを零しつつ、何とはなしに近くのカフェのテラス席に目を移すと……
……いた……男と一緒に。
あいつは……セルゲームのときにいた三つ目の男じゃないか。
しかも***はわたしには見せたことがないようなデレデレとした笑顔を見せている。
……やはり、地球人の……ただの男の方がいいのか?
「……***」
「せっ、セル!!」
声をかけると、先に反応したのは天津飯の方だった。
肝心の***は、何故セルがここに?といった呆けた面をしている。
「行くぞ、***」
腕を掴んで立たせ、***を無理やり連れて行く。
「あ、セルっ!聞いて」
「言い訳は後だ、来い」
「ちょっとセル!?
……ごめん天津飯さん、また今度!」
不貞の現場をわたしに見られてなお あいつのことを気にしやがって。
「セル……変わったな……」
背後で天津飯の呟く声が聞こえた。
家に着くなり***をダイニングテーブルの上に押し倒す。
「痛ッ!!ちょっ、待ってセル!
絶対なんか勘違いしてるよね!?」
「問答無用だ。浮気現場を見られて勘違いだと?
フン……笑わせるな」
「浮気じゃないって!」
話を聞けとぎゃあぎゃあ喚く***の手首を掴んでテーブルに押し付ける。
痛みに顔を歪める***に思わず力を緩めそうになる。
そんなとき天津飯の言葉を思い出した。
『セル……変わったな……』
そうだな、良くも悪くもわたしは***に変えられてしまったようだ。
……しかしそれもきっと、今日でおしまいだ。
「***よ……人造人間のわたしでは不満か」
「は?なんの話?」
***は顔をしかめて強がった声を出すが……わたしにはわかる。若干、その声が震えているのが。
「やはりお前も地球人の方がよかったのだな。
いいだろう……解放してやる」
今までは何者にも邪魔させるものか、と思っていた。
しかし……それが***のためなら、それもいいだろう。
「待って、どういう意味……」
「好きな者のところへ行けと言っているのだ。
不義理な奴の顔など見たくない」
見開かれた***の目。
それはどんな意味を持つ?
恐怖か失望か、それとも歓喜か?
「ちょっと、セル?」
「どこへでも行ってしまえ。
……ただし、この行為が終わったらな」
思ってもない言葉ばかりが口をついて止まらない。
頼む、誰かわたしを止めてくれ。
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