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「やったー!ババひいた!」
「ババはわるいカードだろー!」
「えぇ~……じゃあママにあげる!」
私は今、ババ抜きに興じている。
七人の子どもたちに囲まれて。
……といっても自分の子どもじゃない。
彼は『生殖』器など、持ち合わせてないのだから。
その笑顔の真意
「あのねぇ七号、ババがどれかなんて教えちゃ駄目なんだよ?」
「だっておしえないとママ、とれないじゃん」
上目遣いで早く取って、と言わんばかりにカードを差し出す七号。
あああ可愛い。
そんなことされたらもう、取ってあげるしかないじゃない。
「キヒヒ……ありがとっ」
七号はしてやったり、という笑顔を見せた。
私の弱みをピンポイントで突いてくるところはパパそっくりだな。
「次、三号ね」
「じゃあ……」
一枚のカードをつまんで私の顔を見る三号。
そしてそのまま指をスライドさせて隣のカードに触れた。
あぁ、それはジョーカー……
……と思ったら、三号はそのまた隣のカードを持って行った。
「やったあ!オレあーがりっ!」
「むぅ、勘づきおったか」
「かおに出るからすぐわかるんだぜ。
ママはババもったときだけ、『それはダメー!』ってかおするからな!」
肘をついて二号はドヤ顔で言う。
「嘘!そんな顔してないよ!」
「ギャギャギャッ!気づいてないだけだよーん!」
キャッキャウフフと盛り上がっていたら、ドアが開く音がした。
……セルだ!
「帰ったぞ、***」
「お帰りなさーい!」
「パパおかえりー!!」
ぴょんぴょん跳ねるジュニアたちに目を細めつつ彼はキッチンへ向かう。
そして私の手元のカードに視線を移して呟いた。
「……パパ抜きか」
誰がうまいこと言えと。
「***、その様子だとわたしがいなくても寂しくはなかったようだな?」
「そっ、そんなことないもん!」
セルはいつも、意地悪を言って私を困らせる。
でもそんなセルが大好きだったりする。
「わかってるさ、ほんの冗談だ」
嬉しそうに笑い声を漏らして手に持っていた袋を掲げる。
「さぁ……ケーキを食べたいのは誰かな?」
「はあーいっ!!」
「オレオレ!!」
「オレだーっ!!」
セルの言葉にカードを置いて駆け出す子供たち。
平和だなぁと思いつつ私も立ち上がる。
「***は あとで、だ」
「なんで!?」
セルはケーキの袋を一号に手渡してこちらにやってくる。
再び私を座らせて、彼は跪いた。
「こうでもしないとお前を独り占めできないだろう?」
「はえ……」
「ふふ、顔が赤いな……熱でもあるのか?」
あなたが照れる台詞をさらっと言ってのけるからに決まってるじゃない。
ときどきこんな風に意地悪な冗談と甘い言葉を使い分けるから、余計に困る。
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