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いつも休日前の夜は、予定が決まっている。
酔い潰れた***を迎えに行く、という予定。
見合わない対価
いつものバーの扉を開くと、いつもの席で、いつものように突っ伏している***を見つけた。
オレは、そっと揺り起こす。
「迎えにきた。帰ろう」
「ゔぇ~……あど一杯ぃ……」
「もう飲めそうにない、帰ろう」
「やだぁ……ブロりんも飲もうよぉ」
泣き真似をする***。
可愛いけど、ダメ。飲ませない。
「オレの家に帰ろう、***」
名前を呼ぶとやっと諦めたようで、***は上目遣いでオレの首に手を回した。
「ん……いくぅ……」
……***、オレだって健全な男子。
そんなとろんとした目で、そんな声で、そんなこと言わないで。
……
あわわ……こんなこと考えてたら、***に嫌われちゃう。
「……ブロりん?」
「はい」
「帰ろぉ」
「はい……」
違うこと考えなきゃ……
えっと……支払いはもう済ませてあるはずだから、オレは***を連れて帰るだけ。
連れて帰るだけ、連れて帰るだけ……
べったりくっついてくる***を介抱しながら店を出る。
背後からいくつもの視線を感じるけど、これもいつものこと。
「***、大丈夫?」
ちょっと歩いてから、覚束ない足元を見て尋ねてみる。
「むり。歩けない……だっこ」
お酒のせいか、潤んだ目でオレを見上げてくる***。
……カワイイ!
…………じゃなかった。
だっこ、だっこ……
慣れてることとはいえ、やっぱりどきどきする。
好きな子をだっこできる、幸せ。
でも、***はオレが、そんなこと思ってるなんて知りもしないんだろうな。
***を……す、好き、だ、なんて。
夜風に当たって気持ちよさそうにうとうとしている、腕の中の***を見る。
……目が合った。
「ブロリー……いつも、ありがとうね」
ほっぺたに手が触れて、唇にも、柔らかくて温かい感覚。
「……!?」
ちゅうされた?
「あの、えと、***……」
なんで?きす……え?
あ、えっと、????
「***、」
「……くかー」
……もう、寝ちゃった。
寝ぼけてたのかな?
素面だったらもっと、嬉しかったな……
でも……
いつものお礼にって、き、キス、してくれたんだったら。
オレはあと何百回、何千回迎えに行けば釣り合うの?
……できれば迎えには行きたくないのに。
ずっと、どこにも行かずに、そばにいてほしいのに……
「うぅ……」
もやもやしたオレのことなんか知らん顔ですやすや眠る***。
起こさないように、気付かれないように、呟いた。
「……だいすき、***」
けど……君が望むなら。
必要としてくれるなら、どこへだって。
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