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「あれ……バーダック……きて、くれたんだ」
「……んなこったろーと思ったぜ」
仰向けに倒れている***を見下ろしてため息をつく。
『私だってひとりで戦えるんだから!』
とかなんとか啖呵切って飛んでったもんだから慌てて探しに来てやったら……やっぱりこのザマだ。
顔に傷まで作りやがって俺の真似かよ。
……しかしまぁ、ふたり相手にギリギリ勝てりゃ上出来か?
後生だから、
「これ以上 心配かけさせんな。
ったく……で、立てんのか?」
***は微かに首を横に振る。
とっととポッドまで連れ帰ってやるか。
ぐったりしている***を横抱きにして もと来た道を引き返す。
「バーダック……ごめん」
「……ああ」
今は自分の心配だけしてやがれ、バカ野郎。
またひとつ ため息をついていると、迎えに来たトテッポと出くわした。
「……***は生きてるのか」
「ああ」
奴はそれ以上なにも言わなかった。
「喉乾いてねぇか……水、飲むか?」
「ん……」
満身創痍の***をポッドに慎重に押し込んで水を飲ませる。
帰るまでに あんまり時間はかからねぇし、着いたらメディカルマシーンもすぐに使えるだろ。
「……ハッ、いつものお前とは大違いだな。
そっちのがしおらしくて いいんじゃねぇか?」
「……考えとく」
苦笑する***の頭を撫でてハッチを閉じる。
憎まれ口を叩けるなら大丈夫だ。
トーマが焦った顔で俺とその背後を交互に見ている。
アイコンタクトのつもりか知らねぇが もっとうまくやれよ。
それを無視して自分のポッドに戻ろうと踵を返すとセリパと目が合った。
んな睨み付けんなよ。美人が台無しだぞ。
それも無視して やっと俺は自分のポッドに戻ってハッチを閉めた。
ついでにスカウターも外した。
豪傑な俺にだってひとりの時間は必要なんだよ。
***のポッドが飛び立ち、セリパ、パンブーキン、トテッポ、
少し遅れてトーマも後に続くのを見届けて、俺はやっとボタンを押した。
間を置かずにパンブーキンやトーマたちの会話がスカウターから微かに聞こえてくる。
『……が……から…………だろ…………』
『…………も……だし……………』
『バーダック! 聞こえてんのか!?』
パンブーキンの怒鳴り声だけが唯一はっきり聞こえてきた。
今はほっといてくれよ。
つーか どんだけ声でけぇんだよお前は。
仕方なくスカウターを拾い上げて、
「はいはい、よーく聞いてるぜ。
お前らが俺をどんだけカッコいいと思ってるかは よく伝わったよ、じゃあな」
そう答えてまた外しかけた時。
『あの……バーダック、ありがとね……
私、バーダックが、来てくれて……すごく、嬉しかった、よ……』
***からの通信が入った。
発見したときよりかは いくらかマシそうだ。
気にすんな、とひとこと答えてスカウターを外した。
「……心配すんのは俺の趣味で お前の世話ぁすんのは俺の仕事だ。
幸せにすんのが俺の義務……つまり、***が俺の人生なんだよ。
とっとと元気な姿見せてくれ、憎まれ口叩いたって構わねぇから……」
……本当はあいつに戦わせたくねぇ。
万が一、億が一……俺が守りきれなかったとき。
俺はきっと後悔しかしねぇだろう。
これから***をどう動かそうか。
それを考えながら、俺は少しの間 眠ることにした。
おまけ→
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