わからない、わかってない。
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彼女は一体なにを考えてるんだろう。
なんで抱きついてくれたり、一緒にいてくれたり、好きだって言ってくれるんだろう……こんな、無口で口下手なオレなんかに。
わかってない。
オレはソファに深く腰掛けて本を広げる。広げる、だけ。
***はオレの膝に頭を乗せて仰向けに横になっている。
膝枕するなんて初めてだから緊張する。
だから、遮るように本を開いてるんだ。
今日ばっかりはあんまり頭に入ってこない愛読書を。
『人の気持ちを汲む方法』
……***、今なにを考えてるんだろ。
「ねぇ、久しぶりに遊びに来たんだからなにか話そうよ」
とんとん、突然本の表紙をノックされて、びっくりして本を落としそうになる。
「オレは、***の顔を見れただけで充分……」
「……見てないじゃん」
だって、照れるんだもん……
一瞬しか目を合わせることができない。
ぺらり、無意味にページを捲る音が部屋に響く。
「ブロリー……私はあなたに会いに来たんですけど」
「うん、嬉しい……」
オレに会いに?
嬉しすぎて本格的に頭に内容が入ってこない……
だったら本いらないかな……オレも***の顔、照れる、けど、見たい……
「もー! 構ってよーーー!!」
!!!
わ、わ……***の顔が、オレのお腹に……!
『そこ』はちょっとまずい。って考えると余計に……
あ、やっぱりまずい、気づかれちゃう嫌われちゃうどうしよう……!
……そうだ、親父のこと考えよう!
今 抱きついてきてるのは親父、今 抱きついてきてるのは親父……
……よかった、なんとか収まった。
ありがとう、親父……
そ、そうだ。それはいいとして、飲み物 持ってきてあげなきゃ。
喉乾いてる、よね……オレ、気が利かないな……
「……***、飲み物入れてきてあげる」
とりあえず***に離れてもらおう。
本をぽいっと置いて***の頭を撫でて、ソファに座らせる。
「いい、いい。いらない。いらないからそばにいてよ」
「……抱きつかない?」
ふたりっきりのこの部屋で、今度は抑えられる自信がない。
これで***に嫌われるのだけは、絶対いやだ。
「私はただブロリーのことが好きなだけなのに なんでそんな怯える必要があるの!?」
だって嫌われたら どうすればいいかわからない……
でも***、オレのこと好きって、いつも言ってくれる……
なんて返事しよう、えっと、えっと。
***、悲しそうな顔してる。早く答えなきゃ。
「怯えてない。オレも、***のこと好き」
あ、でもオレにこんなこと言われるの嫌かな……
……***の『好き』は、たぶんオレの『好き』とはちょっと違う。
「***はオレの、大事な、たったひとりの友達」
たぶん……***は、『友達』として。
『大事な、たったひとりの友達』
……それでもオレは、それでいい。
「……ありがと」
***は微笑んだ。
本当は『ひとりの女の子として好きだよ』って言いそうになったけど。
本当に言っちゃう前に、飲み物入れに行こう……
……でも、いつかは言えるかな?
***の好きそうな飲み物を探しながら考える。
何度も何度も読み返したあの本の、さっきのページにはこう書いてあったんだ。
『相手のことを理解する努力をしよう』
オレ、ちゃんとできてた……よね?
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