わからない、わかってない。
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最強鈍感ヒロインじゃないんだからさ、ちょっとくらいは気づいてくれたっていいじゃない。
なんでこんなにアピールしてるのに、こんなに一緒いるのに、こんなに大好きなのに……気づいてくれないの?
わからない、
ソファに沈むように腰掛けて本を読み耽るブロリー。
そんな彼の膝に頭を乗せて仰向けに横になる。
せっかくの膝枕だってまったくどきどきしない。
だって私から見えるものは本だけ。
強いて言えば、タイトルも。
『人の気持ちを汲む方法』
……うん、まずは私の気持ちから汲んでみようか。
「ねぇ、久しぶりに遊びに来たんだからなにか話そうよ」
とんとん と本の表紙をノックしてみても、ブロリーは本から目を離さない。
「オレは、***の顔を見れただけで充分……」
「……見てないじゃん」
玄関まで出迎えてくれたのもパラガスさんだったし。
私がここに来てから一瞬しか目を合わせてくれなかったくせに。
ぺらり、ページを捲る音だけが響く。
「ブロリー……私はあなたに会いに来たんですけど」
「うん、嬉しい……」
絶対そう思ってないよね?
なんだったら本読む邪魔するなって思ってるよね?
嬉しいんだったらちょっとは本読むのやめてくれてもいいんじゃないかな?
「もー! 構ってよーーー!!」
ブロリーの腰に腕を回してぎゅう、とお腹に抱きつく。
頭に本の背表紙が当たってちょっと痛かったけど、それどころじゃない。
私はブロリーに構ってほしくて必死なのだから。
「……***、飲み物入れてきてあげる」
このタイミングで?
けど やっと本を置いたブロリーは、ぽんぽんと頭を撫でて私を引き剥がす。
「いい、いい。いらない。いらないからそばにいてよ」
「……抱きつかない?」
なんだその怯えたウサギのよーな目は。
そんなに抱きつかれたのが嫌だった?
「私はただブロリーのことが好きなだけなのに なんでそんな怯える必要があるの!?」
彼はあらぬ方向を見つめて、なにかを考え込んでいる様子。
いつものあの、困ったような無表情で。
なにを考えてるのかまったく想像がつかないあたり彼らしいとも言える。
「怯えてない。オレも、***のこと好き」
うっすら微笑んでブロリーは言う。
……その『好き』は、たぶん私の『好き』とはちょっと違う。
「***はオレの、大事な、たったひとりの友達」
ほらきた。
『大事な、たったひとりの友達』
……喜んでいいんだか、悪いんだか。
「……ありがと」
それ以外言えないじゃん。
ブロリーにとって私は、『それ』以上でも以下でもないってことでしょ?
やっぱりブロリーはなにを考えてるのかわからないあの顔で、立ち上がって行ってしまった。
……私さっき、そばにいてよって言ったところじゃん。
なんで早々に放置するのさ。
ふと本を見ると、先ほどは気づかなかったけど、いくつか角が折られているページがあった。
そのうちの一ページを開いてみると、大きな見出しにこう書かれていた。
『相手の思いを尊重しよう』
……やっぱり、なにを考えてるのかわからない。
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