浮世事変
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「で、えっと……セルさんはなぜここにいらしたんですかね」
「***の顔を見に来ただけだ」
「は」
なにそれ。なんだそれ。なんやそれ。照れるやないか。
「ななななにをおっしゃいますやら。
どうせアレでしょ? 殺しに来たんじゃないの? 『生体エキス』とやらを吸収しまくって その完全体になったんでしょ? だからついでに私も」
「***、」
私の名前を呼んだセルの声に胸が高鳴った。
初めて聞いた、真剣な声。
「な、なに……」
「じっとしていろ……」
顔が近づいてくる。
ま、まさか……そんな、知り合って間もないのにそんな、き、き、キ……
「……***、鼻から」
「わ!! 言うな!! ストップストップ!!」
「冗談だ」
冗談か!! 乙女に対してなんてタチの悪い!!!
「顔が赤いぞ。キスでもされるかと思ったか?」
「違うわ! ばか!!」
違わないけど!!
それよりこんなイケメンに『鼻毛がちょっと飛び出している』なんて指摘されかけて顔が赤くならない乙女がどこにおりますかって!!
「ふふふ、本当はすぐにでも その可愛らしい唇に口付けてやりたいところだが……欲をかいて嫌われては敵わんからな」
……洒落にならない冗談飛ばすくせに、変なところで紳士的だなあ。
「さて、わたしはそろそろ お暇するとしよう」
「え……も、もう行っちゃうの?」
あ、やば……
自分でも予想もしなかった言葉が飛び出した。
セルもそれは同じだったようで、一瞬驚いたような顔を見せた。
「どうした。寂しいのか、***?」
「いや違います違います帰ってどうぞ」
「素直に寂しいと言えばいいものを……
まあ少し待っていろ、わたしは***と違って忙しいのだ。
用事が終われば相手してやる」
セルはなんだか楽しげに にやにやと笑っている。
私をおちょくってそんな楽しいのか。
「ではまた、わたし以外の奴に殺されるなよ」
「そんな物騒な別れの挨拶があるか!」
最後までにやにや笑ったまま、セルは家から出て行った。
一人残された私は、セルの思惑がわからずに悶々としていた。
こないだは 私も殺すの? という問いに『そうだ』と答えたり『しばらく生かしておいてやる』なんて言ったくせに、
今回は『欲をかいて嫌われては敵わんからな』だの『用事が終われば相手してやる』だのと言ってみたり。
考えがまったく読めない。
……まんまと『運営』の策略に嵌ってしまった『ユーザー』のようだ。
その考えに至ったとき、ある結論に たどり着いた。
……500ゼニーくらいなら、課金してもいいかもしれない。と。
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