曼珠沙華の花束を貴方に
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別室に通されソファに腰掛けた数分後。
ガチャリとドアが開いて山吹色の道着?を来た青年が入ってきた。
「オッス!オラ悟空!
おめぇがリコリスかあ、よろしくな!」
「はい、リコリスです。こちらこそよろしく!」
あぁ、閻魔様が言ってた人か。
彼、悟空は大輪の向日葵みたいに笑った。
少年のよーないい笑顔だ。
「悟空も死んでるんだね。頭に天使の輪ついてるし」
「ははっ!そーなんだよ、まーた死んじまってよー!」
ケラケラと笑いながら悟空は答えた。
……また?
ってどういうこと?生き返ってまた死んだってこと??
「閻魔様から聞いたんだけどよ、あいつらを抑えることができたら天国に行けるんだってな!
ってことはリコリス、おめぇつええんか!?」
「いや、私は全然……」
目をキラキラと輝かせている悟空だが、いかんせん私は普通の女の子である。
ミスターサタンに憧れて武術を始めたけど体力が持たず三日坊主になってしまった、という経歴を持つだけの。
「ふーん。まーいいや!
とにかく地獄に向かうか!」
ぽん、と背中に触れる悟空。
早速!?ちょっと早すぎない!?
「え、ちょっと待って、まだ心の準備が……」
「心配すんなって!すぐだからよ!
……ん?」
悟空は何かに気付いたようで、私の顔を覗き込んだ。
ほわほわしてた悟空の突然の真剣な顔にどきっとしたり……
「……」
「な、何……?」
「……リコリス、」
な、なんだろ……なんかついてる?
目つきが気に入らないとか……?
……あ!しまった!!
「おめぇ、めちゃくちゃきれいな目してんなあ……」
私には『三秒間 目を合わせた者を魅了する』という『特殊能力』があったんだった。
「そ、そうかな?あはは……」
「あぁ……
……なんか、地獄行かせんのもったいなくなってきちまったな」
「へっ?」
今なんと?
ふと我に返ったのか悟空は突然あたふたし始めて
「わりぃわりぃ、なんでもねぇ!
そうだよな、閻魔のおっちゃんに頼まれたんじゃしょーがねぇもんな」
複雑そうに笑い頬を掻く。
背中に置かれた手が少し強ばった気がした。
「よっこいせっと!
……しっかしよぉ、リコリスもてぇへんな仕事押し付けられちまったなぁ」
悟空はどかっとソファに座った。
あの、地獄行くんじゃないの?
「えぇと、行かないの?」
「まだいいじゃねぇか、ゆっくりしてこーぜ!
リコリスはせっかちだなぁ」
悟空に言われたくないんですけど。
……まぁいっか。
私も隣に腰を下ろす。
「オラがずっとついててやりてぇんだけどよ、今はちっと忙しいからなぁ~」
「私は大丈夫だよ、多分……」
「そっか?
なんかあったらギャーッて叫べよ?
すぐ飛んでってやっからな!」
「あはは、ありがとう!」
まっすぐに私の瞳を見つめて悟空は言った。
大丈夫とは言ったものの、地獄がどんなところか、どんな人がいるのかわからない私にとってその言葉は幾分か心強い。
「……」
「あの、あんまり見つめないでくれるかな?」
「いやぁ~、あんまりきれいだからつい……
あ、あれだな!タマムシみてーだな!」
それは褒めてるのか。
ツッコミたくなったが本人は太陽にも負けない笑顔を浮かべているので一応褒め言葉として受け取っておこう。
「あ、ありがとう……」
「あんまり他の奴と目ぇ合わすんじゃねぇぞ、めんどくせぇ奴ばっかだからな」
なんか不安を煽られるなぁ……
「オラの兄ちゃんはたぶん他よりは普通だから、困ったら頼ればいいさ。
……本当はオラを呼んでくれるんが一番いいんだけどな」
「悟空のお兄さんも地獄にいるの!?」
こんな純朴そうな人のお兄さんが地獄行きって……どんな悪いことしたんだろう。
「あぁ、いろんな星破壊してまわってたみてーだし、しょーがねぇよなぁ」
星……?
なんか悟空って、謎が多いなぁ……
「髪の毛がもじゃもじゃしてて暑苦しいし、ちっとうるせーけど割とまともだから、とりあえずラディッツんとこ行ってみっか!」
すっくと立ち上がって、悟空は私に手を差し伸べる。
ひどい言われようだなぁ、ラディッツって人も……
苦笑いして差し出された手を取ると、強く引かれて肩を抱かれた。
「リコリス、ぜってぇオラを呼んでくれよ?」
「え?」
驚いて悟空の顔を見ると、さっきとは違って真面目な顔をしていた。
「何があっても守ってやっからな」
その瞬間、世界が暗転した。
続く