曼珠沙華の花束を貴方に
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あの野郎、饅頭なんか自分でリコリスに渡しに行きゃいいもんをなんで俺を使うかね。
ターレスにしては珍しく狼狽した様子だったし……なにかあったのか?
親父に聞くつもりだったのに、ついうっかり忘れちまった。
なんとなく歩こうかと思い、着地したときだった。
「よう、ラディッツ!」
「ぎゃあ!!」
突然目の前にカカロットが現れた。
貴様はいつもいつも……
「突然出てくんじゃねーよ!!」
「わりぃな、おめぇの気が一番わかりやすいんだ!」
あっけらかんと笑うカカロット。
……そういや初めてこいつに会いに行ったとき、俺は極悪キャラだったはずだ。
なんでこんないい人ポジションぽくなっちまったんだ?
「ちゅーかラディッツよぉ、リコリス知らねぇか?」
「その瞬間移動とやらでリコリスんとこ行きゃいいじゃねぇか」
「そんなことしたら、あいつ驚かせちまうだろ」
俺はいいのかよ。
「……さっき会ったぞ、血の池の方だ」
「サンキュー!」
「待て待て!!」
足早にここを去ろうとするカカロットを引き留める。
兄ちゃんはリコリス案内係かコラ。
「お前、最近地獄に来すぎじゃねぇか」
俺はこいつに殺されたんだ。
いくら兄弟とはいえ、できる限り会いたくねぇってのに。
「だあって、リコリスが気になるんだもんよー」
カカロットはそわそわしながら答えた。
……こいつもか。
「なんでお前が気にすんだよ」
「あぁ……ちっと事情があるんだ」
いつもヘラヘラしてるカカロットが、ふと真面目な顔つきになる。
「閻魔のおっちゃんに言われたんだ、リコリスの様子をたまに見に行ってやってくれって」
たまにどころか頻繁に来てるだろ。
「まぁ理由はそんだけじゃねぇんだ。
……父ちゃんには話したんだけど……ラディッツにも話していいかなぁ」
「なんだ? もったいぶるな、言え」
「あぁ、えっと……」
カカロットはなにから話そうか、ともじもじしだした。
……あーもう、鬱陶しいなオイ。
早く言えよ……
「あいつ、死ぬ前の二週間ほどの記憶を消されてんだよ。閻魔のおっちゃんに」
……は?
しばらく話し込んだあと、カカロットはリコリスの元へと飛んで行っちまった。
なんだか、俺までめんどくせぇことに巻き込まれちまったみてーだ。
リコリスが記憶喪失だと小耳に挟んだことはあったが、閻魔が記憶を『消していた』とは……
しかし、カカロットの話でようやく合点がいった。
あんな戦闘力たったの5もなさそうなただの女が鬼として来た理由が。
その秘密はリコリスの持つ『特殊能力』にあったのか。
特戦隊の野郎どもやセルジュニアどもは余計にうるさくなっちまったが、
他の暴れ回っててどうしようもなかった奴らが、突然借りてきた猫みてーにおとなしくなっちまったのはあの『瞳』のせいだったのか……
リコリスのために饅頭なんかやるターレスといい頻繁にここに来るようになったカカロットといい、すっかり覇気の薄れたフリーザといい……親父の様子も少しおかしかったし。
……クウラなんかは相変わらずだが。
というかそのせいでリコリスに危害が及んだりとかしねーのか、閻魔はそこまで考えてねーのか……
それとも、カカロットならあの『瞳』の能力にかからないと踏んで目付役にしたのか?
けどあいつ、意外とブチ切れたら手ェつけらんねーからなぁ……
あとは……セルか。
あいつが元凶みてーだし、セルがリコリスに近づかねーように、俺も少しは気をつけておいてやるかな。
奴のせいで記憶が戻ったら厄介だ……
……ってマジで俺『いい人ポジション』じゃねーかよ……
続く