曼珠沙華の花束を貴方に
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突然現れたその人は、いきなりフリーザさんを攻撃したかと思うと私を片手で抱えて飛び立っていった。
「フリーザさんになにすんの!!降ろして!!」
「貴様を連れて来いと言われたのだ。
……フリーザ様には申し訳ないことをしてしまったがな」
誰によ。
そいつは青色の皮膚に金の髪色で……でもどこかで会ったことのあるような?
とりあえずイケメンではあるけど、今はそれどころじゃない。
じっと前を見据えたまま彼はどこかに向かっているようだった。
「どこに連れてく気!?」
「静かにしろ、じきに着く」
スタッと降り立った彼の目の前には、さっきこの人に不意打ちを喰らって気を失ったフリーザさん……
「連れてまいりました、クウラ様」
の、お兄さんがいた。
相変わらずものすごい威圧オーラ。
身体はそんなに大きくないのに……
他には緑の大柄な男と茶色の身体をしたヒト……?もいた。
この人たちも宇宙人なんだろうか。
「ご苦労」
一言しか発してないのに身体が凍ってしまったみたいに動けなくなる。
……私、この人苦手かも。
「……貴様……リコリス、と言ったか」
私の名前知ってたんだ、意外。
ごくり、と息を飲んで、
「はい……」
何で知ってるの、何の用なのって聞きたかったけど、それ以上言葉を発せなかった。
「さっきまでギャンギャン騒いでたのに今となっては静かなものだな」
私をここに連れてきた青い人が鼻で笑い肩をすくめた。
「貴様を引致したのは他でもない。
なぜ鬼としてここへ来たのか、理由を聞かせろ」
そんなこと聞くために拉致されたんだ。
「見たところ飛べねぇみてーだし、戦闘力もなさそうだし……ただの女じゃねぇか」
茶色いヒトが、じろりと私を見て嘲笑する。
「貴様の瞳に『毒』がある……ということ以外はな」
「え……!?」
クウラさんは気づいてたんだ。
いつの間に……?
「俺が気づかないとでも思っていたか?
あのフリーザが執心するほどだ、戦闘力以外の『力』があるのだろう。
……それを見込まれてここへ来た、違うか?」
ほんの一瞬しか会ったことがないはずなのに……この一番厄介そうな人に感づかれるなんて……
「言え。でなければ……」
「殺してもいいんだぜ?
クウラ様にとって貴様の力は大変ご迷惑だそうだ」
ニヤニヤと笑いながら緑色の人が言った。
「……もう死んでるんだから、殺すも何もないじゃない」
視線を合わさないままのクウラさんに向かって言い捨てた。
正直怖いけど、私は『鬼』なんだ。
こんなことで怯んでちゃこれからやってけない。
たとえこの人が苦手でも。
「……絶対に、教えません」
ぴくり、とクウラさんが反応する。
「そうか、ならば死ね」
緑の男は愉快そうに私に近づいてきた。
今度は、殺されるかも。
「待て」
そこで、彼らの元締めであるクウラさんから待ったがかかった。
「……お前に勝ち目はない」
「クウラ様!?こんな女に俺が……」
「そうではない、見ろ」
ふと目線を上にやるクウラさん。
そこには腕を組んで、彼を鋭く見下ろすセルさんがいた。
「いくらお前と言えど奴には勝てん……それ以上女に近づけば即座に塵となるだろう」
と、鼻を鳴らすクウラさんに、おとなしくその緑の男は引き下がった。
「……興を削がれた、行くぞ」
「ハッ!」
クウラさんを筆頭にあとの三人も飛び立っていく。
それを見届けてセルさんは私のそばに舞い降りた。
「大丈夫だったか、リコリス……怪我はないか?」
心配そうに私の顔を覗き込むセルさん。
なんだか安心して、身体の力が抜けてしまった。
倒れそうになったところを彼が受け止めてくれた。
「うん、大丈夫……」
「そうか、よかった……」
心の底から安堵したような顔でセルさんは言った。
悟空と対峙したときとはまったくの別人のような雰囲気。
「ありがとう、来てくれて……」
「生前、わたしは君に『どこにいても必ず駆けつける』と約束したからな」
薄々感じてはいたけど……私たちは恋人同士だったのかも……?
だったら……セルさんから伝わってくる、情愛の念も懐古の念も納得できるし……
痛ましげにセルさんは続けた。
「しかし……遅れてすまない、瞬間移動が使えていればもっと早く来れたんだが」
ふるふると頭を振って、ぼんやりと……悟空だけじゃなくてセルさんも瞬間移動使えたんだ……なんて考える。
「またこんなことが起こったときにはすぐわたしを呼んでくれ……そうでなくてもセルジュニアたちがいる、あいつらも必ず助けに来てくれるだろう。
……リコリスのためならな」
彼らが味方になってくれるなんて、これ以上心強いことはない。
「本当にありがとう……その時にはお願いします、セルさん……」
安心したら眠たくなってきちゃった……
そういえばここに来て、あんまり寝てなかったかな……
瞼が落ちてくる。
なんだかセルさんの腕、筋肉質なのに落ち着くなぁ……
「……その『癖』は……変わらないな」
セルさんはぽつりと呟いた。
癖……?どういう意味だろ……
……まぁいいや、起きてから聞こう……
横抱きにされる感覚を覚えながら、私は眠りに落ちていった。
続く