しかし、アリババくんを連れ戻すすべは見つからなかった

何度何度も、膨大な量の知識と記憶の濁流に飲み込まれながら答えを探したけれど見つからない。

「アラジン……少し休まないと……」

「もう倒れちゃうよ！！」

「ーっこんなんじゃ、ダメだ。こんなのじゃ」

倒れるにはまだ、早いきっときっと何かあるはずなんだ

「いんや、休んだ方がいいぜ？お前が俺にかけた魔法解けちまってるからなァ？」

「お前はっ」

「……ジュダル、くん」

「わざわざ、魔法が解けたのを報告しに来てやったぜ。俺ってばやっさしぃ～」

意地悪そうな笑みを浮かべたジュダルが、入って来た。
確かに、ジュダルくんにかけていた魔法が解けている……

「お前らっアリババさんとアラジンさんを守るぞ！！」

「あぁ？なーに勘違いしてんだよ。今のこいつらをやったって何一つ面白くねーんだよ、というか勝負は実質俺らの勝ちだったしな。それは、アラジンは知ってたはずだぜェ？なぁ？？視えてるんだろ？」

「……未来は変わった。僕がジュダルくんをああして拘束した時点で本来くるべき未来が大きく変った、でもジュダルくん達の勝ちで、勝敗をつけるのであれば変わらなかった」

変わったのは、ジュダルくん達の扱いだけだ。本来は、こうして会話することすら先の戦いのあとはなかった。
そう、ここまでが視えた世界。

アリババくん……帰ってきておくれよ。君までいなくなったら僕はどうしたらいいかわからなくなっちゃいそうだよ

パタリ

アラジンは、ついに疲労で倒れた。
アリババとアラジンをジュダルから守るように囲っていたオルバたちは、慌ててアラジンをかかえて近くの寝台に乗せ、町医者を呼びに行った。
倒れたことに、満足したのかジュダルの姿は落ち着いたころにはなかった。