一方、ジュダルと共に空中で下にいる白龍とアリババを見守っているアラジン。

「そういやよーあの女どうしたんだよ？」

「・・・・」

「ニセもんだったんだろう？壊したのか？いや、お優しいお前のことだシンドバットにでも預けたかぁ？」

ジュダルは、いじらしく笑いながら先の話題を出しアラジンに揺さぶりをかけようとしたが、その反応は酷く冷静だった。そして、その瞳は何もかも見透かしているかのようでジュダルは、無意識に震えた。

「僕を許してくれとはいわない。だって、僕たちが選んだことだ」

「はぁ？お、前なにを」

「知らなくていいことだよ。ほら、ジュダルくん。君の王が呼んでいるよ？」

訳のわからない事言うアラジンに、怯むジュダルがその言葉の意味を問うが、答えは語られなかった。









それを、理解するのは少し後のことだった。
ジュダルの魔法で巧妙に隠していた白龍の黒ルフが金属器を使うことによって、ルフを見れるアラジンにばれたところでアリババ達の話し合いも、アラジン達の話しも中途半端に終わりそれぞれ武器を構える。
先手は、白龍の新たな金属器による記憶操作魔法がアラジンとアリババに発動する。

「な・・・・んだ！！？この景色は・・・？？」

「！！？」

アリババたちの脳内に広がる、リアルな景色・・・練紅炎率いる軍がアリババたちの大切な人たちが殺されていく景色・・・・

練紅炎はバルバットの仇だ
練紅炎は親の仇だ　　

練紅炎はバルバットの仇だ
練紅炎は親の仇だ　

バルバットの仇。練紅炎を殺す・・・！！そのためには・・・・白龍と手を組まなければ
親の仇。練紅炎を殺すそのためには・・・白龍君と手を・・・・

「違う！！こんなのは・・・僕の・・・・記憶じゃない！！」

その魔法で作られた記憶を打ち破ったのは、アラジン。いまだ頭を抱え苦しむアリババをできるだけ白龍たちの元からはなす
魔法から逃れたアラジンを不思議そうに見るジュダル。

「なんでチビにだけ、『べリアル』の効き目が弱ぇーんだ！？・・・なるほど防御魔法か！防御魔法は悪意ある攻撃をはじく技。べリアルの技も魔法である以上、ひっかかちまうみてーだな。」

「・・・・」

「ハハッ、残念だったな白龍よォ！」

「フン、どの道、アリババを書き換えるにも6日間拘束し続けなければならん。腕や脚の一本や二本奪ってでも力で従わせてみせる。そうでなくては。」

しかし、魔法が一度失敗したからといっても、それは白龍たちの想定の範囲内。ここからは、実力行使かの如く再びその武器を構え、魔法を発動させんと力を籠める。

「その通りだぜ・・・・！！」

「何ィ・・・！？」

「「戦わなくては、意味がない！！！！」」