あれから、消えない。胸の痛みを感じながら、馬車に揺られ揺られ、何処かを目指す。

「白雄、白蓮一体どこへ行くの？」

「イスナーン殿の所だ。」

「イスナーンの？また、どうして？何かあったの？？」

「ナラお姉さん。お話の続き話してほしいな～」

ここしばらく会っていない、イスナーンとセッタのところにわざわざ赴くという。それに、疑問に思い、理由を聞こうとすればすぐ隣にいたテスに話の続きをせがまれ、意識がそちらに集中してしまう。

「え、えぇ。ごめなさいね・・・えっと、どこまで話したかしら？」

「そのさんれすすすいれん？ってところのお話」

「サンレス水郷よ。たくさんの緑に囲まれた人の手の付けられていない場所で、ここでは見たことのないモンスターがたくさんいたの」

彼女はまだ、気づかない。



























とある場所にある一室にて―

「・・・・・」

「やっと、目覚めたか。」

「少し遅かったんじゃないか？」

「えぇ。少し我らが父の所に戻っていたの・・・あの子たちは、まだ来ていないでしょう？」

今世界では、死んだと思われている。玉艶ことアルバがゆっくりと目を覚ました。その傍らには、イスナーンとセッタの姿

「まったく、予定通り帰ってきてくれないと困るじゃないかナラが心配してしまう」

「ただでさえ、記憶をいじって不安定だ。」

「そうね。でも、それなりに収穫もあったわ」

「「収穫？」」

それは、ナラがこちらに来てからのお楽しみにしておくわ



















レーム帝国　ソロモンとナラの家にて

仮初の人形に少しばかりのナラのルフが宿るものを帝国最高司祭であり、マギであるティトスから受け取ったソロモンは、ベットにそっと横たえさせた。

「ナラ」

そして、顔にかかった髪をはらうようにそっと指を這わせながら、ふと思い出す。
彼女と同じ容姿をもつ否、ソロモンの知らない彼女の言葉を

”あの子は、必ずあなたの元へ帰ってくる”

それは、自分も思っていること。何度、引き離されようとも自分とナラは一緒だと

「そうだろう？」

ﾋﾟｨ―・・・ﾋﾟｨ