この状態の私が、目を開けるというのは語弊があるかもしれない。白いソロモンのルフと黒いイル・イラーのルフが混じった。私は、記憶だけの存在が虚空をさまよう。

「・・・・」

それだけ、この何もない虚空を一人さまよい漂っただろうか一つの終着点に着く、というのも何かにぶつかったのだ。

「久しいな・・・神子よ。」

「ダビ、デ？？」

「その名は最早、私を認識させる記号でしかない。私は、あの時代から長らく神と一体化し今や私自身が神である」

「神・・・・あなたのたどり着きたかった場所はそこなのね？」

人間を超える最も上位に立つ絶対的な存在。

「そうだ。神になってからさらにたくさんの物が、視えるようになった。そうお前の視ている世界もお前が抱えていた闇も」

「・・・・・」

「今のお前は、自分が作り出した記憶だけの存在でしかない。私との会話は忘れてしまうだろう」

「そう・・・忘れてしまうのね。せっかく、また会えたのに」

確かに、記憶での存在というのは、酷く不安定である。あれだけ虚空をさまよって、ダビデとあまり話していないのに、消えてしまいそうだ。

「なに、また会えるさ。次はそう近くないうちにな。それまでは休むがいい」

目覚めたときには、そのそばに私の再現者がいるだろう