紅明が移動させた場所は何の変哲もない、マグノシュタットから数キロ離れた荒野に降ろされていた

「まったく、紅明にも困ったものだ」

「だがこれで」

「ソロモンが気づく前に帰るアル」

そこへ、見慣れた影たちが近づきナラ抱き上げその場を消えた











「お帰りなさい、ナラ。今宵は祝杯をあげましょう。シェヘラザートが死んだレームの盤石は揺らぎます。そして今回、マグノシュタットの”依り代”が役に立たなかったとはいえ・・・一回空いた「世界の穴」は数年間は彼女の能力をもってしても、ふがりません。すなわち・・・私たちが新たな「暗黒点」を仕上げれば、すぐにでも「我らが父」をお招きできる。今度は小競り合う暇もナラが出ることもなくね・・・・」













そのことに気づいた時にはもう、遅かった。

「ナラお姉さんはっ！？」

「忘れていました。あの女性、お知り合いのようですが何者ですか？マグノシュタットを消したわけではないと言っていましたが・・・・」

「そうそう、あの女。事情を聴くなら拾ってこなくちゃ」

「そうですね。では、呼び戻します」

感動の中ふと思い出した、ナラお姉さんの存在。気絶したままどこかへと避難させられたお姉さんを戻そうと、紅炎おじさんの隣にたたずむ紅明お兄さんに詰め寄る。お兄さんから出る疑問も紅覇くんたちの疑問も同じ、マグノシュタットを消しあの黒い触手を消した未知の魔法に目の色が変わる。だけど、今の僕には答えられない。そして、戻ってくるはずのお姉さんは帰ってこなかった。
焦りを感じる僕と戸惑う紅覇くんたちのところへティトス君が歩み寄る

「ナラ？街を消した？アラジンそれは、ユール様のことじゃ・・・」

「！！」

「おいマギ！何を隠している」

「っま、まだ話せない。マグノシュタットは僕が元に戻すから」

シェヘラザートさんからの記憶なのだろうか？ナラという名前でなく、ユールの名前を呟いたティトス君
それに、反応する紅炎おじさんにシンドバットおじさん。ますます、ここでは話しにくくなる僕はこのことについて頑なに口を閉ざし。
ある魔法式でマグノシュタットを元に戻すと、アリババ君たちとシンドリアへ帰ることになった。

お母さん・・・どこ？