守りたいもの[緑谷]
名前変換
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「な、奈々ちゃん··········!」
『!あー!出久君!』
奈々ちゃんのクラスを探し、綺麗な白い髪を見つけ、恥ずかしがりながらも大きめの声でその後ろ姿に声をかける。
『同じ幼稚園だったんだってー!昨日ね、お母さんに聞いたのー!後で探しに行こうと思ってたんだー!』
僕に気づきパタパタと駆け寄ると、嬉しそうにピョンピョンと跳ねている。
·····可愛いなぁ。
『?出久君??』
「へ!?あ、ごめんね!また帰りに「デーク、なに女子と、喋ってんだよ」!?か·····かっちゃん·····!」
奈々ちゃんと話していると、横から声をかけられた。いつもの取り巻きを従えさせてこちらを見て笑っている。
「女子なんかと話してダッセー·····な·····。」
僕を馬鹿にしながら近付いて来たと思ったら何故か固まるかっちゃん。
固く瞑っていた目を開きかっちゃんの目線の先を追うと、奈々ちゃんが僕の前で両手を広げて立っていた。
『·····かっちゃん、って前に出久君がいいかけてた子だ·····。出久君いじめないで!』
「な、なんだよ·····お前····!」
「奈々ちゃん·····。」
きっと、反抗されるのが初めてなのだろう。かっちゃんがたじろいでいる。でも何故かほんのり顔が赤いような·····。
「お前·····デクのなんだよ!」
『大切な友達だよ!あと、お前じゃない!ちゃんと 夕闇奈々っていう名前あるんだから!かっちゃん!』
「夕闇奈々·····覚えておいてやる!」
名前が聞けてちょっと満足気なかっちゃんは、ジッと僕を見てクラスに戻っていった。
『もう!なんなの!いつもあんな感じなのかっちゃんは!』
「う、うん·····あとかっちゃんは爆豪勝己っていうんだよ」
『ふーん·····いいや、かっちゃんで!』
プンプンと顔を膨らませて怒っている奈々ちゃんに、かっちゃんから守ってくれた事、大切な友達と言ってくれたこ事に嬉しくなって胸がなんかホワホワと暖かい。
それからその日がきっかけとなり、かっちゃんはよく奈々ちゃんに突っかかるようになった。ついでに僕もいじる感じで·····。
よく3人でいる事が多くなった。後々分かったが奈々ちゃんのお家はかっちゃんのお家の人とも中がいいらしい。
「おい奈々!今度遊びにこいよ!母ちゃんが会いたいって言ってるから!」
『ほんとー?じゃあ今度出久君と一緒に遊びに行こーかなー!』
「!なんでデクもくんだよ!」
『いいでしょ!3人でいた方が楽しいもん!かっちゃんまだ出久君の事いじめてるの!?』
「·····い、いじめてねぇし·····なぁデク!」
「ぅえ!?·····う、うん!大丈夫だよ!」
『ふーん·····じゃあいいけど。』
疑いの目を向けながら、遊具で遊んでいると
「なぁ、奈々!お前の"個性"はなんだよ」
「("個性"·····僕も気になってた·····)」
『んー?私の"個性"はねー、お父さんと一緒で水を操る"個性"だよ』
そういうと、奈々ちゃんは手から水を ピュッとだしてかっちゃんにかけた。
「!?つめてっ!!」
『あはははは!』
奈々てめー!! とワイワイしている2人を、僕は遠く見つめていた。
"個性"がある2人。 "無個性"な僕。
いいな··········僕はあそこに入れない·····。
ギュッ·····!
『出久君!』
「!!」
『行こう!』
僕の手を握り、笑顔いっぱいでジャングルジムの上に引っ張る奈々ちゃん·····。
僕はこの子の笑顔を守りたいと思った。
ずっと、僕の隣で笑ってほしい。
これからもずっと近くにいるものだと思ってた。
一年後のあの日の事件があるまでは。
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