守りたいもの[緑谷]
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__僕には、守りたい人がいる。
「ぅう·····っ·····ヒック·····」
ある日、公園でかっちゃんに虐められベンチで泣いていた時だ。目の前に影ができ、声がふってきた。
『どうしたの?』
屈んで顔を覗き込んできたその子は赤い目に白くて綺麗な髪をしていた。
『大丈夫?』
ブンブン
「わっ!?」
見とれていると、固まって動かなくなったのが不審に思ったのか顔の前で、手を降ってきた。
そこでハッとし、やっと反応ができた。
『あ、ごめんね。驚かせて、泣いてたから気になっちゃって。』
その子は僕の事をジーッと頭から足まで見ると
『怪我してる訳じゃないんだ!よかった!』
状態を確認して、異常がないとわかると笑顔になり僕の横に座った。
『怪我してないのに、なんで泣いてたの?』
「ん·····それは、かっちゃ··········友達に無個性ってバカにされてっ·····ヒーローになれないって····他の子にも言われて...ぅ...っ」
思い出すとまた涙が滲んできた。
そこで、自分が無個性だと言ってしまった。しまったと、その子に顔を向け、また馬鹿にされると思いバッと顔を背けた。
『なんで無個性だとヒーローになれないの?』
「·····へ?」
ん?と首を傾げ僕を見つめてくる。
『個性がなくなったって、ヒーローなれるよ!
君は君でしょ!私もヒーローになりたいの!
一緒に頑張ろうよ!』
「!!」
ね!と手を掴まれ、ふふっと笑った。
「(...あったかい··········)」
あぁ、この子は優しい子だなと掴まれた手と顔を交互に見て、嬉しくてまた泣いてしまった。
欲しかった言葉、母や周りの人から言われなかった言葉··········ヒーローになれると。
『あ、名前聞いてなかったね!
私 夕闇奈々!君の名前は?』
「え、えと·····僕は緑谷出久。」
『出久·····出久君って呼んでいい?』
「う、うん!僕も奈々ちゃんて呼んで·····
いいかな·····?」
いいよー!と満面の笑みで両手を握り、その後どのヒーローが好きなのか、家はどの辺とか聞いてたら
「えぇ!?奈々ちゃんもオールマイト好きなの!?それに、家も僕のお家の近くだよ!」
『もー大好きだよ!カッコイイよね!
凄いねー、こんな偶然があるんだねー!』
じゃあ一緒に帰ろうと、手を握り家に帰る間もオールマイトのここが凄い、ここが良い、とたくさん話していた。
「(嬉しいなぁ·····それに·····お、女の子の友達が出来ちゃった·····!)」
今考えると、さっきからずっと手を繋でるし距離が近いし、顔がどんどん熱くなっていく。
隣で笑いながらオールマイトの話をしている
奈々ちゃんは凄く楽しそう·····なんだかこっちも楽しくなってきた。
『それでね··········!あ、もうお家着いちゃった』
「え!?·····奈々ちゃんのお家、僕の隣だ」
なんと、よく見るお隣さんの家が奈々ちゃんのお家だった。
『ふふっ·····凄いね!これでまた出久君といっぱい遊べるね!また、遊ぼうね!』
奈々ちゃんはそう言うと、手を離し玄関まで行くと、またねー!と手を振って家の中に入って行ってしまった。
「··········お、お母さーーん!!」
「な、なぁに出久!?おかえり!」
急いで家に帰り、母の元に行くと今日起きた事を全て話した。
「あー、お隣の夕闇さんね。そういえば奈々ちゃんに最近会えてなかったから今度挨拶行かなきゃね!」
「うん!僕 奈々ちゃんともっと仲良くなりたい!」
奈々ちゃんのお家の人と母はお友達なのだそうだ。僕がまだ無個性とわかる前に奈々ちゃんと何回か会った事があるらしい。
「(早く会いたいなー····そういえば奈々ちゃんの"個性"、聞いてないなー、あるのかな)」
たった1日、初めて会った女の子。
同い年で、まだお互い小さいのに、僕は想った。
奈々ちゃんと、ずっと一緒にいたいと。
そして次の日、クラスは違うが同じ幼稚園だと知り、奈々ちゃんに会いに行った。