middle/あまいなみだ
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大抵、休みの日は家事で終わる。
お昼頃まで眠り、洗濯、掃除、洗い物を片付け、買い物に行き、作り置きのおかずを2品ほど作る。
合間の時間で、通勤時間に読んだ小説のレビューを書くのがお決まりだ。
しかし今日はといえばどうだろう。昨夜帰りが遅かったにもかかわらず、仕事の日と同じ時間に目覚め、午前中で洗濯掃除洗い物が済んでしまった。
ふわふわと不思議なーー否、昨日自覚してしまった恋による高揚感に包まれていて、じっとしていられず新宿まで出かけることにした。
何を買うでもなくウインドウショッピングを楽しむ。楽しむ、とは言え、私はあまり顔には出ないのだけれど。おかげで、面倒な客引きやスカウト、ナンパ等に声をかけられたことは人生で1回もない。
あ、と小さく声が漏れた。
そうそう、下着がだいぶへたってきていたのだった。新しいものを買わなければ。
こんな気になるのも久しぶりだ。…前の彼と別れて以来だろう。
ーーそこでふと、陣内さんのいたずらっぽい笑顔を思い浮かべてしまい、イヤイヤ、と首を横に振る。
確かに自分の気持ちは自覚はしたし、もう認めないなんて無駄な抵抗はしないけれど、この恋は前に進むべきなのだろうか、とも思う。
年の差も、出身の差もある。もし万が一両思いになったとして、やっていける自信はこれっぽっちもなかった。
まあ、もし万が一、両思いになったとして、だが。
なんて言い訳をしながら、しっかりと両思いになった時を想像してしまっているのだけれど。
どんな下着が好みだろう。
なんて。
見られる事を想像してしまって。
珍しく顔に出そうになって、慌てて無表情の仮面を被りなおす。
結局下着は、ベージュ系のもの、白のもの、黒のものという3つを購入し、その店を出た。
次に本屋へ向かう。
OZ内で見て気になった本を自分の目でこうして探してみるが好きだ。OZを否定するわけではないけれど、やはり自分で見て触って経験することに勝るものはない。
それに、電子書籍で読んでからやっぱり実物の本が欲しくなって買うこともある。
今日もそのパターンで、昨日の朝読み終えた小説の文庫版が出ている事を知って探しに来たのだった。
お目当の小説を見つけて購入すると、ひとまずは帰途についた。
今年度に入ってようやく寮から出て、一人暮らしを始めるべく引越した。ふた月ほど経ってようやく生活に慣れて来たところだ。
駐屯地内の寮にいた頃と違って、1人の時間がかなり増えた。自由になる時間はあまり変わっていないが、ほとんどずっと緊張感のある生活から解放されてかなり気は楽だ。
もともと一人っ子であるし、両親や祖父母もすでに他界している。親戚はいることにはいるので天涯孤独と言うほどでもないが、限りなくそれに近い。
家に帰ってくると、心地よい疲れに身を任せてベッドにダイブした。
もう、お風呂は明日の朝でいいや。
こんな自堕落が許されるのも、一人暮らしの特権だ。
目を閉じると、するすると眠りに引き込まれていった。