middle/あまいなみだ
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気づくと、薄暗い、見慣れない部屋の天井をぼんやりと見ていた。
おそらく夜が明けたばかりなのだろう。カーテンの隙間から、ほのかに光が差し込んでいる。
外からは、そこまで強くはない、優しい雨の音が聞こえてくる。
湿気を含んだ冷たい空気が少しずつ部屋の中へ入ってきており、肌寒さを感じて、両腕を布団の中へしまった。腕は冷えてしまっており、すぐ隣にある温もりを求めて寝返りを打つ。
陣内さんの寝顔は、普段よりさらに若く見える。
物珍しくじっと見ていたら、否応なく昨夜の情事が脳裏によぎってしまい、両手で顔を覆った。
酔っていたせいか、はたまた数回求められたからか、情事後の記憶がない。おそらく裸のまま寝落ちたと思うのだが、今の私はパンツを履いているし、陣内さんのものと思われるTシャツを着ている。
つまり状況からするに、陣内さんが事後処理をして、着せてくれたとしか思えない訳で。
圧倒的な恥ずかしさと、少しの嬉しさと、未だくすぶる恐怖感と。
顔を覆ったまま、深呼吸を一度。
そうっと両手を外すと、規則的な寝息を立てる陣内さんがそこにいて。
「……りい、ちさん」
昨夜も快楽の波間で切れ切れに呼んだ記憶があるが、面と向かって呼ぶのはやはりまだ照れが勝つ。
「ん……もう起きたの」
「す、すみません起こしてしまいましたか」
うっすらと目を開けた陣内さんが、まだ眠そうな声でもう一回呼んで、と言ってまた目を閉じる。
と同時に、陣内さんに抱き寄せられた。
「呼んで。アスターちゃん」
「っ──、り、いちさん」
「うん。まだ、起きるにははやいよ……」
額に軽く唇が触れ、すぐにまた寝息が聞こえてくる。どうやら半分寝ぼけていたようだ。
しかし、寝起きの少し掠れた声で、しかも耳元で名前を呼ばれるのは破壊力抜群だ。それに、寝ぼけ方が、色気がありすぎて困る。
どくどくと高鳴る心臓を落ち付けようと目を閉じる。腰のあたりに回された腕にホールドされていて、あまり身動きが取れないけれど、むしろそれが少し心地良い。
陣内さんの鼓動を聞いていたら、いつの間にかまた睡魔が襲ってきて。
今まで記憶にある中で1番暖かいまどろみだと思いながら、意識を手放した。