middle/あまいなみだ
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泣いちゃダメ。
そう思えど、涙腺は言うことなど聞いてくれず。
「ッ……う、ひっ」
個室で1人、後から後から出てくる涙をタオルでぬぐっていた。
早く泣き止まないと、メイクも崩れるし目も腫れてしまう。
「ふ、うー……」
呼吸は深く、ゆっくりと。大丈夫、すぐに止まる。
そもそも、なぜ泣いているのか自分でもよくわからない。声が、温もりが、全てが好きで、ドキドキして、好きすぎて少し怖い。
怖い。
そう、怖いのだ。
私の大事なひとは、大好きなひとは、みんないなくなってしまった。
失わないためには、大事だと、好きだと言わない方がいい。
でも、好きで、大好きで、一緒に居たい。触れたいし触れられたい。
板挟みの私。
だから好きな気持ちは封印しておきたかったのだ。もう抑えられないところまで来てしまって、ようやく気づくなんて。
「はー……とまった」
どうしたいのか、までは答えは出ないけれど、ともかく戻らなければと個室を出る。
たぶん、10分くらい待たせてしまっている。
「じんのうちさ、」
トイレから出て正面にいた陣内さんは、携帯で電話中だった。
「出て来たからもう大丈夫、ああ、仕事中にすまなかったね」
話しながらこちらへ近づいて来て、目の前でぱくりと折りたたみ携帯を閉じる。
「アスターちゃん、体調悪い?もっとゆっくりできるコースに変えようか」
声音が少し厳しくて、反射的に俯いてしまう。
「い、いえ、急にすみませんでした大丈夫です。体は、元気です」
「本当に?」
「はい。ほんと、です」
ぎゅう、と握りしめた両の拳に、陣内さんが手を重ねる。
「一個だけ、約束してくれない?」
私の右手を、ゆっくりとほどいて、
「へ…」
手の甲へ、口付ける。
「今度から、泣くときは1人にならないで、俺のそばにいて?」
少し、寂しそうな笑顔で、そんな事を言われて。断れるわけがなかった。
一度小さく頷くと、陣内さんはいい子、と呟いて私の頭をそっと撫でた。
そう思えど、涙腺は言うことなど聞いてくれず。
「ッ……う、ひっ」
個室で1人、後から後から出てくる涙をタオルでぬぐっていた。
早く泣き止まないと、メイクも崩れるし目も腫れてしまう。
「ふ、うー……」
呼吸は深く、ゆっくりと。大丈夫、すぐに止まる。
そもそも、なぜ泣いているのか自分でもよくわからない。声が、温もりが、全てが好きで、ドキドキして、好きすぎて少し怖い。
怖い。
そう、怖いのだ。
私の大事なひとは、大好きなひとは、みんないなくなってしまった。
失わないためには、大事だと、好きだと言わない方がいい。
でも、好きで、大好きで、一緒に居たい。触れたいし触れられたい。
板挟みの私。
だから好きな気持ちは封印しておきたかったのだ。もう抑えられないところまで来てしまって、ようやく気づくなんて。
「はー……とまった」
どうしたいのか、までは答えは出ないけれど、ともかく戻らなければと個室を出る。
たぶん、10分くらい待たせてしまっている。
「じんのうちさ、」
トイレから出て正面にいた陣内さんは、携帯で電話中だった。
「出て来たからもう大丈夫、ああ、仕事中にすまなかったね」
話しながらこちらへ近づいて来て、目の前でぱくりと折りたたみ携帯を閉じる。
「アスターちゃん、体調悪い?もっとゆっくりできるコースに変えようか」
声音が少し厳しくて、反射的に俯いてしまう。
「い、いえ、急にすみませんでした大丈夫です。体は、元気です」
「本当に?」
「はい。ほんと、です」
ぎゅう、と握りしめた両の拳に、陣内さんが手を重ねる。
「一個だけ、約束してくれない?」
私の右手を、ゆっくりとほどいて、
「へ…」
手の甲へ、口付ける。
「今度から、泣くときは1人にならないで、俺のそばにいて?」
少し、寂しそうな笑顔で、そんな事を言われて。断れるわけがなかった。
一度小さく頷くと、陣内さんはいい子、と呟いて私の頭をそっと撫でた。