第8章 "ボス"
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目が覚めると、嘘のように痛みも倦怠感も治まっていた。どうやら痛み止めと、モリスが作った薬湯が効いたようだ。
部屋の中は薄暗いが、おそらく朝だろう。軽くストレッチをしてから銃の分解清掃を済ませたところで、この自分の武器にまだ名前をつけていなかったことを思い出す。
「……ナギ、かな」
ナギ──つまり、凪。
思いつきではあったけれど、口に出してみるとなんとなく馴染む。ようやく、手に持つ狙撃銃が自分のものになった気がした。
これが人を殺せる道具であることを、忘れてはならない。
サン・ファルドで人を撃った感覚が、銃を持つたびにありありと脳裏に浮かぶ。訓練で引鉄に指を置くたび、次は殺してしまうかもしれないと思う。そして、殺されてしまうかもしれない、とも。
けれど、すぐに同時に思い出す。
この銃を売ってくれたリズさんが、逃げろと、死ぬなと言ったことを。
クロコダイルに、勝手に死ぬことは許さないと、二度も言わせてしまったことを。
それに、他ならぬ私自身が言ったんだ。殺さずに生き延びる、と。
彼と、クロコダイルと共にありたいと思ったのは、惚れた腫れたの浮ついた気持ちからじゃなかったはずだ。いや、そういう気持ちがなかったと言えば嘘になるかもしれない。
でも、彼が何を成すのか見たい、彼の辿り着く先を見たい、そんな純粋な憧憬れが、大元にあった気持ちだ。
だから、苦しくて胸が痛いこの気持ちには蓋をして、なかった事にして、綺麗さっぱり忘れて。諦めて、しまわないと。
滲みかけた涙をぐっと堪えて、持ったままだった銃をカバーに入れて背負う。
食事の準備をしに行こう。食事を終えたら、ウォーターセブンに着くまであともう少しだ。
部屋の中は薄暗いが、おそらく朝だろう。軽くストレッチをしてから銃の分解清掃を済ませたところで、この自分の武器にまだ名前をつけていなかったことを思い出す。
「……ナギ、かな」
ナギ──つまり、凪。
思いつきではあったけれど、口に出してみるとなんとなく馴染む。ようやく、手に持つ狙撃銃が自分のものになった気がした。
これが人を殺せる道具であることを、忘れてはならない。
サン・ファルドで人を撃った感覚が、銃を持つたびにありありと脳裏に浮かぶ。訓練で引鉄に指を置くたび、次は殺してしまうかもしれないと思う。そして、殺されてしまうかもしれない、とも。
けれど、すぐに同時に思い出す。
この銃を売ってくれたリズさんが、逃げろと、死ぬなと言ったことを。
クロコダイルに、勝手に死ぬことは許さないと、二度も言わせてしまったことを。
それに、他ならぬ私自身が言ったんだ。殺さずに生き延びる、と。
彼と、クロコダイルと共にありたいと思ったのは、惚れた腫れたの浮ついた気持ちからじゃなかったはずだ。いや、そういう気持ちがなかったと言えば嘘になるかもしれない。
でも、彼が何を成すのか見たい、彼の辿り着く先を見たい、そんな純粋な憧憬れが、大元にあった気持ちだ。
だから、苦しくて胸が痛いこの気持ちには蓋をして、なかった事にして、綺麗さっぱり忘れて。諦めて、しまわないと。
滲みかけた涙をぐっと堪えて、持ったままだった銃をカバーに入れて背負う。
食事の準備をしに行こう。食事を終えたら、ウォーターセブンに着くまであともう少しだ。