第6章 小さな変化
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ほぼ島の中心だろうと思われる場所に、桃のような果実が鈴生りになっていた。見た目はほぼ桃だけれど、その実は形がバラバラで、オレンジ色をしている。
モリスが念入りに観察してからOKを出し、ウィリアムと2人で収穫し始める。
モリスは道中に使えそうな薬草があったからと一足先に来た道を戻り、クロコダイルは桃の木の周囲をゆっくり歩き回って、なにやら険しい顔で戻って来た。
「どうしたんですか?」
「ここを縄張りにしてる獣がいる。引き上げるぞ」
そう言うのと、船の方角からモリスの雄叫びが聞こえたのがほとんど同時だった。
「ッチ……遅かったか」
「ウィル、戻ろう」
「うん。姐さん、半分持ちますよ」
桃がたくさん入った袋が2つ。1つは担いで、もう1つを抱きかかえていた。
ウィルの方が強いから、私が持つべきかと思うのだけれど──なんて考えていたら、横から現れた鉤爪が袋を引っ掛けて行ってしまった。
「え、サー!待って」
慌ててウィリアムとともに追いかけるが、その黒い背中に追いついた時には、すでに事は終わった後だった。
「……死んでる?」
「いや、危うく殺しかけたけど、気を失ってるだけ」
モリスの足元に伸びていたのは、真っ白な毛並みのイタチだった。が、私が知っているイタチより随分と大きい。尻尾を含めると、私の身長と同じくらいあるんじゃないだろうか。
「殺さずに立ち去る方がいい。この島の主みたいだ。ボス、いいですよね?」
「……噛み付かれたお前が構わねェなら好きにしろ。もうこの島に用はなさそうだしな」
「気づかなくてすみません。こいつも果物の匂いとほとんど同じだったから」
またアスターを危険にさらすところだったと、モリスは肩を落とした。
噛み付かれた腕を、抑えながら。
「大丈夫、さっき切り傷によく効く薬草があったから、すぐ治るよ」
じっと見ていたウィリアムと私をなだめるように、分厚いレンズの向こうの目が優しく笑う。
ああ、守られてばかりで、居心地が悪い。
モリスが念入りに観察してからOKを出し、ウィリアムと2人で収穫し始める。
モリスは道中に使えそうな薬草があったからと一足先に来た道を戻り、クロコダイルは桃の木の周囲をゆっくり歩き回って、なにやら険しい顔で戻って来た。
「どうしたんですか?」
「ここを縄張りにしてる獣がいる。引き上げるぞ」
そう言うのと、船の方角からモリスの雄叫びが聞こえたのがほとんど同時だった。
「ッチ……遅かったか」
「ウィル、戻ろう」
「うん。姐さん、半分持ちますよ」
桃がたくさん入った袋が2つ。1つは担いで、もう1つを抱きかかえていた。
ウィルの方が強いから、私が持つべきかと思うのだけれど──なんて考えていたら、横から現れた鉤爪が袋を引っ掛けて行ってしまった。
「え、サー!待って」
慌ててウィリアムとともに追いかけるが、その黒い背中に追いついた時には、すでに事は終わった後だった。
「……死んでる?」
「いや、危うく殺しかけたけど、気を失ってるだけ」
モリスの足元に伸びていたのは、真っ白な毛並みのイタチだった。が、私が知っているイタチより随分と大きい。尻尾を含めると、私の身長と同じくらいあるんじゃないだろうか。
「殺さずに立ち去る方がいい。この島の主みたいだ。ボス、いいですよね?」
「……噛み付かれたお前が構わねェなら好きにしろ。もうこの島に用はなさそうだしな」
「気づかなくてすみません。こいつも果物の匂いとほとんど同じだったから」
またアスターを危険にさらすところだったと、モリスは肩を落とした。
噛み付かれた腕を、抑えながら。
「大丈夫、さっき切り傷によく効く薬草があったから、すぐ治るよ」
じっと見ていたウィリアムと私をなだめるように、分厚いレンズの向こうの目が優しく笑う。
ああ、守られてばかりで、居心地が悪い。