第5章 強くなりたい
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目が覚めたけれどまた眠ったと、半透明の不機嫌そうなペローナはおれの目の前でそう言ってすぐに消えた。
怪我はほとんどないものの、うまく立ち上がれなかったらしい。数日間ぶっ続けで身体を鍛え続けていたのだ、むしろよく保ったなと感心すら覚える。
ヘンリーも、アスターが音を上げなかったことに毎晩のように驚いていた。先に身体の方がギブアップしてしまったようだ。
やはりいい拾い物をしたかもしれないと、改めて思った。
あてがわれた部屋のテラスから、斜め下のアスターの部屋を見下ろす。カーテンで遮られ、中の様子は見えない。
初めて見た時、その瞳は暗く淀んだ夜の色をしていた。
朝日を反射してきらめくそれも、優しくたゆたう母なる海の色も、夕焼けと夜の隙間にしか見られない彩りも、興味を惹かれるには充分な魅力があった。
海賊は海が好きだ。それはおれも御多分に洩れず。しかしそれだけではない何かがあると、ぼんやりと思う。
独占欲にも似た、それ。
おれは欲しいと思っているのだ。その瞳が、欲しいと。
砂になって階下におり、アスターの部屋をテラスから覗き見る。カーテンの隙間から、寝顔が見えた。疲労のせいだろう、目の下にはうっすらクマができている。
強くなりたいというのは自分で決めたこと、勝手にすればいい。けれど、今日の行動には驚かされた。
結果的には軽い怪我で済んだが、あれでは死にに行ったようなものだ。
目を覚ましたら、まずは説教だろうか。
しばらくそうして静かな寝息を聞いていたが、こちらに向かってくる気配を感じて、テラスからその身を躍らせた。
自室のテラスに戻ると、くわえていた葉巻に火をつける。
別に、こそこそ逃げ隠れる必要なんてないのにおれァ何やってんだ、と口元に苦笑を浮かべてから、煙を吐き出した。
今頃ペローナに甲斐甲斐しく世話を焼かれているであろう、アスターの瞳は何色を映しているのだろうか。
全部、見てみたいと思う。ワンピースと同じように、その全てを手に入れてやりたいと。
いつからこんな風に思っていたのかは正直言って分からない。最初からだったのかもしれないし、船に乗ってからかもしれない。いや、強くなりたいだなんて言い出した時、かも。
いつから、なんて大した問題じゃあねェか。
ひとりごちて、葉巻を咥えたままテラスから自室へと入った。
怪我はほとんどないものの、うまく立ち上がれなかったらしい。数日間ぶっ続けで身体を鍛え続けていたのだ、むしろよく保ったなと感心すら覚える。
ヘンリーも、アスターが音を上げなかったことに毎晩のように驚いていた。先に身体の方がギブアップしてしまったようだ。
やはりいい拾い物をしたかもしれないと、改めて思った。
あてがわれた部屋のテラスから、斜め下のアスターの部屋を見下ろす。カーテンで遮られ、中の様子は見えない。
初めて見た時、その瞳は暗く淀んだ夜の色をしていた。
朝日を反射してきらめくそれも、優しくたゆたう母なる海の色も、夕焼けと夜の隙間にしか見られない彩りも、興味を惹かれるには充分な魅力があった。
海賊は海が好きだ。それはおれも御多分に洩れず。しかしそれだけではない何かがあると、ぼんやりと思う。
独占欲にも似た、それ。
おれは欲しいと思っているのだ。その瞳が、欲しいと。
砂になって階下におり、アスターの部屋をテラスから覗き見る。カーテンの隙間から、寝顔が見えた。疲労のせいだろう、目の下にはうっすらクマができている。
強くなりたいというのは自分で決めたこと、勝手にすればいい。けれど、今日の行動には驚かされた。
結果的には軽い怪我で済んだが、あれでは死にに行ったようなものだ。
目を覚ましたら、まずは説教だろうか。
しばらくそうして静かな寝息を聞いていたが、こちらに向かってくる気配を感じて、テラスからその身を躍らせた。
自室のテラスに戻ると、くわえていた葉巻に火をつける。
別に、こそこそ逃げ隠れる必要なんてないのにおれァ何やってんだ、と口元に苦笑を浮かべてから、煙を吐き出した。
今頃ペローナに甲斐甲斐しく世話を焼かれているであろう、アスターの瞳は何色を映しているのだろうか。
全部、見てみたいと思う。ワンピースと同じように、その全てを手に入れてやりたいと。
いつからこんな風に思っていたのかは正直言って分からない。最初からだったのかもしれないし、船に乗ってからかもしれない。いや、強くなりたいだなんて言い出した時、かも。
いつから、なんて大した問題じゃあねェか。
ひとりごちて、葉巻を咥えたままテラスから自室へと入った。