第5章 強くなりたい
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ほんのり甘い香りが鼻孔をくすぐり、目が覚めた。
視界に飛び込んで来たのは、心配そうにこちらを覗き込む大きな目。
「目が覚めたか」
「ペローナ……」
「全く、怪我の手当てはゾロだけで充分だ」
「ごめん」
「謝るならやるな、バカ」
その目に滲む涙に、私はよほどやらかしてしまったらしいと記憶を遡る。
「どう、したんだっけ」
けれど、何故か思い出せない。
「暴走したモリスってやつを止めたとだけ聞いたけど」
「……モリス。あぁ、そっか」
向かってくる巨大なクマに向かうように、自然と身体が動いた。その記憶はあるけれど、そこから先は朧げで、やはり思い出せなかった。
「うー、強く、なりたい……」
仲間たちとの組手でもまだ勝てたことがない。それも、おそらく手加減してくれている状態で。
射撃訓練は最初よりかなり上達したと思うけれど、的にかすらない時もまだある。
悔しい。じれったい。それこそ悪魔の実でも食べたら、もっと早く強くなれるのに。
「……悪魔の実はオススメしない」
「っ、な、なんで」
「能力を自在に使いこなすのに1年くらいはかかる。覚醒に踏み込むなら最低3年は見ておいた方がいい。けど生身なら、半年あればそれなりに戦える。海軍の最初の訓練も半年らしいしな」
経験者が言うんだから間違いない、と、ペローナは胸を張った後、マグカップを差し出してきた。
「飲めるか?」
「ありがと」
ホワホワと湯気が上がっている。中身はホットミルクだった。ひと口、飲み込んで胃に温もりが落ちて行くのを黙って感じていた。
そんな私を見てようやくホッとしたのか、ペローナは肩の力を抜いた。
「ありがと」
「それはさっき聞いた」
「さっきのはホットミルク用意してくれたから。今のは手当てしてくれたお礼」
「お、おう。あ、いや、けど礼ならクロコダイルにしてやれよ。ここまで運んだのはアイツだ」
その言葉に、ぼんやりとクロコダイルに抱きかかえられていたような感覚を思い出す。
「うん、そうだね」
こくりとホットミルクをまた一口、飲み込む。
むず痒いような苦しいような、嬉しいような暖かいような、色々な感情が胸の内で混ざり合う。
それを誤魔化すように立ち上がろうとして、けれどすぐにベッドに後戻りしてしまった。
「え?」
「無理すんな、バカ」
筋肉痛もあったが、どうも足に力が入らないのだ。
「急に体酷使しすぎなんじゃねえか?1日くらい休めよ」
自分の身体のなのに、自分のものではないみたいに言うことを聞かない。
寝てろ、と促して布団をかけてくるペローナに頷きだけ返して、目を閉じた。
視界に飛び込んで来たのは、心配そうにこちらを覗き込む大きな目。
「目が覚めたか」
「ペローナ……」
「全く、怪我の手当てはゾロだけで充分だ」
「ごめん」
「謝るならやるな、バカ」
その目に滲む涙に、私はよほどやらかしてしまったらしいと記憶を遡る。
「どう、したんだっけ」
けれど、何故か思い出せない。
「暴走したモリスってやつを止めたとだけ聞いたけど」
「……モリス。あぁ、そっか」
向かってくる巨大なクマに向かうように、自然と身体が動いた。その記憶はあるけれど、そこから先は朧げで、やはり思い出せなかった。
「うー、強く、なりたい……」
仲間たちとの組手でもまだ勝てたことがない。それも、おそらく手加減してくれている状態で。
射撃訓練は最初よりかなり上達したと思うけれど、的にかすらない時もまだある。
悔しい。じれったい。それこそ悪魔の実でも食べたら、もっと早く強くなれるのに。
「……悪魔の実はオススメしない」
「っ、な、なんで」
「能力を自在に使いこなすのに1年くらいはかかる。覚醒に踏み込むなら最低3年は見ておいた方がいい。けど生身なら、半年あればそれなりに戦える。海軍の最初の訓練も半年らしいしな」
経験者が言うんだから間違いない、と、ペローナは胸を張った後、マグカップを差し出してきた。
「飲めるか?」
「ありがと」
ホワホワと湯気が上がっている。中身はホットミルクだった。ひと口、飲み込んで胃に温もりが落ちて行くのを黙って感じていた。
そんな私を見てようやくホッとしたのか、ペローナは肩の力を抜いた。
「ありがと」
「それはさっき聞いた」
「さっきのはホットミルク用意してくれたから。今のは手当てしてくれたお礼」
「お、おう。あ、いや、けど礼ならクロコダイルにしてやれよ。ここまで運んだのはアイツだ」
その言葉に、ぼんやりとクロコダイルに抱きかかえられていたような感覚を思い出す。
「うん、そうだね」
こくりとホットミルクをまた一口、飲み込む。
むず痒いような苦しいような、嬉しいような暖かいような、色々な感情が胸の内で混ざり合う。
それを誤魔化すように立ち上がろうとして、けれどすぐにベッドに後戻りしてしまった。
「え?」
「無理すんな、バカ」
筋肉痛もあったが、どうも足に力が入らないのだ。
「急に体酷使しすぎなんじゃねえか?1日くらい休めよ」
自分の身体のなのに、自分のものではないみたいに言うことを聞かない。
寝てろ、と促して布団をかけてくるペローナに頷きだけ返して、目を閉じた。