第5章 強くなりたい
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今までの暴走とどこか違うと、遠くから観察していた。
今までで一番大きい。おそらく強さも、これまでをはるかに超えている。だからこそ制御できていないのだろうが。
アカリ島の山岳地帯で薬草を探している時に、落ちていたその実を味見のつもりで齧ったモリスから、どうやら悪魔の実を食べたらしいと連絡が来た時は驚いた。
同時に、ラッキーだとも思った。戦力は多いに越したことはない。
けれどその能力の制御にはかなり難儀しているようだった。
「チッ、馬鹿どもが」
傍観を決め込むつもりだったが、モリスの力が想定以上だったようで、ロッシュが弾き飛ばされるのが見えて腰を上げた。
そして、その場に到着する前に、騒動は思わぬ結末を見せた。
「ッアスター!!」
まず自分の喉から発せられたその声の大きさと、彼女の行動に驚いた。
アスターは寄りにもよって、モリスの前に立ちふさがったのだ。巨大なヒグマの前に。
間に合わないと理解しながら、右手を砂に変えモリスへと向ける。同時に自分もアスターの元へ。
モリスがアスターをなぎ払おうと右前脚を振るうが、彼女は少しかがんだだけですんなりと避ける。まるで、攻撃を読んでいたかのように。
さらにアスターは、そのままモリスに抱きつくようにぶつかった。後脚で立ち上がっていたモリスが、凍りついたように動かなくなる。
ここでようやく右手がモリスに届き、口をふさぐように顔を覆う。
そして。
彼女の名を呼んで2秒と経たない内に、おれがモリスを枯らす前に、事態は収拾した。
暴走が止まったのだ。モリスはその身を震わせながら人間の姿に戻り、ぐったりとアスターにもたれかかっている。
ぐらりと後ろに体勢を崩した彼女を、モリスごと受け止める。
「……あ、サー、」
胸元から見上げてくる顔はいつもより青白い。だというのに、服の上からでもわかるほど、体が熱い。
モリスの変化が解けたのはおそらく例の"海の加護"とやらのせいだろう。
しかし、攻撃を避けたのには驚いた。まるで見聞色の覇気のようだった。
「勝手に死にかけてんじゃあねェよ」
「……すみ、ません」
ほんの少し見開いた目が、ゆっくりと閉じられていく。
「なんか、すごい…ねむ……」
言いながら、気を失うように眠りに落ちたアスター。ようやく駆け寄って来たヘンリーが、モリスを肩へ抱え上げる。
「ボス、申し訳ありませんでした」
「いや、おれも少々油断していた」
脇腹を押さえたロッシュが謝るが、謝るのはむしろこちらだ。
モリスはもしかすると一足飛びに覚醒しようとしているのかもしれない。だとすると、並みの力では抑えきれないのも道理だ。
能力者になってひと月どころか、10日ほどしか経っていないのでさすがに想定外だった。
暴走してしまうのはいただけないが、大きな戦力であることは間違いない。この島にいるうちに、可能な限り自分の力にしてほしいものだ。
しかし、さすがに肝が冷えたと、腕の中で眠るアスターを見下ろす。
ともかく彼女を寝かせるべく、そのまま抱えて城へ向かうヘンリーの後を追った。
今までで一番大きい。おそらく強さも、これまでをはるかに超えている。だからこそ制御できていないのだろうが。
アカリ島の山岳地帯で薬草を探している時に、落ちていたその実を味見のつもりで齧ったモリスから、どうやら悪魔の実を食べたらしいと連絡が来た時は驚いた。
同時に、ラッキーだとも思った。戦力は多いに越したことはない。
けれどその能力の制御にはかなり難儀しているようだった。
「チッ、馬鹿どもが」
傍観を決め込むつもりだったが、モリスの力が想定以上だったようで、ロッシュが弾き飛ばされるのが見えて腰を上げた。
そして、その場に到着する前に、騒動は思わぬ結末を見せた。
「ッアスター!!」
まず自分の喉から発せられたその声の大きさと、彼女の行動に驚いた。
アスターは寄りにもよって、モリスの前に立ちふさがったのだ。巨大なヒグマの前に。
間に合わないと理解しながら、右手を砂に変えモリスへと向ける。同時に自分もアスターの元へ。
モリスがアスターをなぎ払おうと右前脚を振るうが、彼女は少しかがんだだけですんなりと避ける。まるで、攻撃を読んでいたかのように。
さらにアスターは、そのままモリスに抱きつくようにぶつかった。後脚で立ち上がっていたモリスが、凍りついたように動かなくなる。
ここでようやく右手がモリスに届き、口をふさぐように顔を覆う。
そして。
彼女の名を呼んで2秒と経たない内に、おれがモリスを枯らす前に、事態は収拾した。
暴走が止まったのだ。モリスはその身を震わせながら人間の姿に戻り、ぐったりとアスターにもたれかかっている。
ぐらりと後ろに体勢を崩した彼女を、モリスごと受け止める。
「……あ、サー、」
胸元から見上げてくる顔はいつもより青白い。だというのに、服の上からでもわかるほど、体が熱い。
モリスの変化が解けたのはおそらく例の"海の加護"とやらのせいだろう。
しかし、攻撃を避けたのには驚いた。まるで見聞色の覇気のようだった。
「勝手に死にかけてんじゃあねェよ」
「……すみ、ません」
ほんの少し見開いた目が、ゆっくりと閉じられていく。
「なんか、すごい…ねむ……」
言いながら、気を失うように眠りに落ちたアスター。ようやく駆け寄って来たヘンリーが、モリスを肩へ抱え上げる。
「ボス、申し訳ありませんでした」
「いや、おれも少々油断していた」
脇腹を押さえたロッシュが謝るが、謝るのはむしろこちらだ。
モリスはもしかすると一足飛びに覚醒しようとしているのかもしれない。だとすると、並みの力では抑えきれないのも道理だ。
能力者になってひと月どころか、10日ほどしか経っていないのでさすがに想定外だった。
暴走してしまうのはいただけないが、大きな戦力であることは間違いない。この島にいるうちに、可能な限り自分の力にしてほしいものだ。
しかし、さすがに肝が冷えたと、腕の中で眠るアスターを見下ろす。
ともかく彼女を寝かせるべく、そのまま抱えて城へ向かうヘンリーの後を追った。