第5章 強くなりたい
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おれたちの歓迎の宴だと、鷹の目はワインやウイスキーをたくさん準備していた。
テーブルに広がる料理の数々はロッシュとペローナで作ったらしい。でかいスキンヘッドとフリフリの女の取り合わせが意外だが、存外気は合うらしい。
ペローナは人使いが荒いとぶつくさ言っていたが、隣に座ったアスターが彼女が作ったらしいローストビーフを食べて美味しいと笑いかけると、すぐに文句を言うのはやめた。
◆
食事が始まって3時間ほど経っただろうか、飲めや歌えの宴もそろそろお開きという頃、隣に座るアスターがつんつんと突いてきた。
「あの、サー、ゾロが話がしたいって」
「あァ?」
振り向いたのはおれだけではなく、隣のダズもゾロを見てほんの少しの警戒を向けた。
「何の用だ……」
「よォ、久しぶりだな。Mr.1」
その呼び名は、アラバスタの頃の。そうか、こいつらは直接戦ったことがあったんだった。
「こんなところで再会するとはな」
ダズの口元に苦笑が漏れる。
「明日からおれと戦ってくれんだろ?簡単に斬られてくれるなよ」
「フン、言ってろ」
あの頃のおれとは違う、と睨むダズを、おれだってそうだと睨み返すゾロ。けれどゾロはすぐにその視線をおれに向けた。
「で、だ。クロコダイル」
居住まいを正したゾロが、おもむろにこちらに頭を下げる。
「うちの船長が世話んなった」
船長、モンキー・D・ルフィ。一年と少し前、マリンフォードでの頂上戦争で白ひげとともに大暴れした海賊のルーキー。
もっと前、アラバスタでの一件は世間には伏せられており、当事者以外は知らぬ真実だ。
「話はそれだけだ」
笑うでもなく、申し訳なさそうでもなく、少々複雑な表情をしたゾロが、アスターに軽く目配せした後部屋を出て行った。
かつて敵同士であったおれに頭を下げたのだ、それは複雑な心境だろう。表情に出るあたり、まだ青い。
「オイ鷹の目、お前か」
「うん?ああ、麦わらの事か。事実を言ったまでだが」
鷹の目は、何かまずかったか?と、小首を傾げている。
「おれァあのガキを助けた覚えはねえぞ」
「しかし結果を見ればそういう事になっている。現に、お前の懸賞金は麦わらと同時に上がったしな」
鷹の目はニヤリと笑った。
礼を言われる筋合いもないし、麦わらのような『イイヤツ』になったつもりもない。グラスのウイスキーを飲み干したのに紛れさせて、溜息をついた。
あの時はただ、海軍が喜ぶのが嫌だっただけで。それがたまたま、麦わらを死から遠ざける結果になっただけで。
しかし、Dの隠し名とは一体何なのか。それも、歴史の真実と共にラフテルに眠っているのだろうか。
連れ立って部屋を出て行くペローナとアスターの後ろ姿を見ながら、未だ遠い、海賊王への道を想った。
テーブルに広がる料理の数々はロッシュとペローナで作ったらしい。でかいスキンヘッドとフリフリの女の取り合わせが意外だが、存外気は合うらしい。
ペローナは人使いが荒いとぶつくさ言っていたが、隣に座ったアスターが彼女が作ったらしいローストビーフを食べて美味しいと笑いかけると、すぐに文句を言うのはやめた。
◆
食事が始まって3時間ほど経っただろうか、飲めや歌えの宴もそろそろお開きという頃、隣に座るアスターがつんつんと突いてきた。
「あの、サー、ゾロが話がしたいって」
「あァ?」
振り向いたのはおれだけではなく、隣のダズもゾロを見てほんの少しの警戒を向けた。
「何の用だ……」
「よォ、久しぶりだな。Mr.1」
その呼び名は、アラバスタの頃の。そうか、こいつらは直接戦ったことがあったんだった。
「こんなところで再会するとはな」
ダズの口元に苦笑が漏れる。
「明日からおれと戦ってくれんだろ?簡単に斬られてくれるなよ」
「フン、言ってろ」
あの頃のおれとは違う、と睨むダズを、おれだってそうだと睨み返すゾロ。けれどゾロはすぐにその視線をおれに向けた。
「で、だ。クロコダイル」
居住まいを正したゾロが、おもむろにこちらに頭を下げる。
「うちの船長が世話んなった」
船長、モンキー・D・ルフィ。一年と少し前、マリンフォードでの頂上戦争で白ひげとともに大暴れした海賊のルーキー。
もっと前、アラバスタでの一件は世間には伏せられており、当事者以外は知らぬ真実だ。
「話はそれだけだ」
笑うでもなく、申し訳なさそうでもなく、少々複雑な表情をしたゾロが、アスターに軽く目配せした後部屋を出て行った。
かつて敵同士であったおれに頭を下げたのだ、それは複雑な心境だろう。表情に出るあたり、まだ青い。
「オイ鷹の目、お前か」
「うん?ああ、麦わらの事か。事実を言ったまでだが」
鷹の目は、何かまずかったか?と、小首を傾げている。
「おれァあのガキを助けた覚えはねえぞ」
「しかし結果を見ればそういう事になっている。現に、お前の懸賞金は麦わらと同時に上がったしな」
鷹の目はニヤリと笑った。
礼を言われる筋合いもないし、麦わらのような『イイヤツ』になったつもりもない。グラスのウイスキーを飲み干したのに紛れさせて、溜息をついた。
あの時はただ、海軍が喜ぶのが嫌だっただけで。それがたまたま、麦わらを死から遠ざける結果になっただけで。
しかし、Dの隠し名とは一体何なのか。それも、歴史の真実と共にラフテルに眠っているのだろうか。
連れ立って部屋を出て行くペローナとアスターの後ろ姿を見ながら、未だ遠い、海賊王への道を想った。