序章 旅の始まり
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
眩しい、と思った。天国だか地獄だか知らないけれど、こんなに眩しいものなのか。
「っう……」
ようやく目が慣れて来てそうっと開くと、そこは真っ白な部屋だった。
小さな窓から日が差し込んでいて、それがちょうど寝ていた私に当たっていたようだ。
部屋にはベッド以外何もない。分厚そうな扉は、押しても引いてもびくともしない。鍵がかかっているようだ。
どうやら死んだわけでもなさそうだし、状況がよく飲み込めないでいた。
「よォ、ようやくお目覚めか」
誰もいなかったはずの空間から突然感じる気配と声。振り向くとそこには、あの男がいた。
黒いシャツとパンツ。くわえている葉巻に火はついていない。完璧に整えられた、オールバック。かなり大柄で、身長は2メートルをゆうに超える。
そしてその男に、部屋の隅へ追い詰められた私。
「……あの、私」
「テメェ何物だ?能力者か?」
こんな貧弱そうな能力者がいてたまるか、と、私の喉に鉤爪を当てながら呟く。ひんやりとした、殺気の感触。
「能力っ…て、悪魔の実の…?そんな、」
「ちげェのか。ならなぜおれの能力が効かない」
このおれが殺そうとしたのになぜ死んでいないのかと、鉤爪を押し当てられる。けれど、心当たりなんてなかった。本当に無かったのだけれど。
「う、み」
「あ?」
口が、勝手に動いて、言葉を話す。
「海だから」
海だから。
私は、海だから。
悪魔の実の能力は効かない。
でも人だから、刺されれば痛いし心臓を狙われれば死ぬ。
それが、海の加護。
どうやらそうらしいと自分の中で腑に落ちたものの、目の前の男はそうでもないようで。意味がわからん、と呟くと、扉に向かって入れと短く声をかけた。
入ってきたのは、輪をかけて無愛想な男。見るからに堅気の人間ではない。
「後は適当にやっておけ、ダズ」
「イエス、サー・クロコダイル」
ギョッとした。その名前はよく知っている。
元、王下七武海。かのインペルダウンを脱獄した凶悪な海賊。そのニュースが世界を震わせたのは、確か一年ほど前だったか。直接見たことはなかったがこの人が。
後ろ姿を見ながら気づいてしまった。そんな人に拾われてしまったのだという事に。
「ダズだ。よろしく」
「あ、えと、アスターです」
そうして、状況が全くわからないまま、白い空間での生活が始まった。