序章 旅の始まり
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──"偉大なる航路"前半の、とある島。
その不幸な事件は、突然起こった。
「……かあ、さん。とおさん?」
私が買い物から戻ると、家のドアが半壊していて中が見えた。
見えたその惨状に、力が抜け重力に負けてその場に尻餅をつく。
「あ、あ……」
前触れなどなかった。最近この辺りを騒がせている盗賊だろうと、妙に冷えた頭でそんなことを考えていたけれど。その惨状を前に、ただ呆然としていた。
その時、黒いコートの男が家の中へと足を踏み入れた。
「チ、ひと足遅かったか……」
派手にやりやがって、と、男は心底面倒臭そうな表情ですぐに家から出て来た。
「ア?小娘、この家のモンか」
葉巻をくわえた男から、情のひとかけらもない、容赦のない視線と煙が降ってくる。
「ひと思いに殺してやろうか」
それはその男にすれば情のある行動だったのかもしれない。ピクリとも動かない私を見て肯定ととったのか諦めたのか、男は私の頭に手を当てた。
「じゃあな」
ザザ、と周囲に砂埃が舞う。
くらくらと目眩がして、そこで意識が途切れた。
その不幸な事件は、突然起こった。
「……かあ、さん。とおさん?」
私が買い物から戻ると、家のドアが半壊していて中が見えた。
見えたその惨状に、力が抜け重力に負けてその場に尻餅をつく。
「あ、あ……」
前触れなどなかった。最近この辺りを騒がせている盗賊だろうと、妙に冷えた頭でそんなことを考えていたけれど。その惨状を前に、ただ呆然としていた。
その時、黒いコートの男が家の中へと足を踏み入れた。
「チ、ひと足遅かったか……」
派手にやりやがって、と、男は心底面倒臭そうな表情ですぐに家から出て来た。
「ア?小娘、この家のモンか」
葉巻をくわえた男から、情のひとかけらもない、容赦のない視線と煙が降ってくる。
「ひと思いに殺してやろうか」
それはその男にすれば情のある行動だったのかもしれない。ピクリとも動かない私を見て肯定ととったのか諦めたのか、男は私の頭に手を当てた。
「じゃあな」
ザザ、と周囲に砂埃が舞う。
くらくらと目眩がして、そこで意識が途切れた。
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