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仕事で疲れすぎて幻覚を見たんだと思っていた。
いやだって、仕事で疲れて深夜に帰宅して、推しキャラが私のベッドで窮屈そうに寝ていたら、ダイブするでしょ。そこに。その分厚い胸板に。
──
今月が山場だと、部署内は殺気立っていた。
キーボードを叩く音は日増しに荒くなり、人の出入りも多くなる。
降って来る仕事の量にため息をつく間も無く、ひたすら手と頭を動かす。
帰りたい。
早く帰ってワンピースの新刊を読みたい。
昨日買ったのに寝落ちてしまって読めていない。気になって仕方がない。
殺伐とした職場を後にしたのが午後10時。ちなみに昨日も一昨日もそうだった。
思考回路が焼き切れたように何も考えられない。
足が動くままに電車に乗り、コンビニでサラダだけ買ってアパートに帰ってくる。
廊下兼キッチンにコンビニの袋を置いてワンルームの電気をつけると。
「は?」
ベッドに見慣れない──いや、非常に見慣れた男が眠っていた。
黒髪のオールバック。頬を横切る傷跡。体を覆う黒いコート。
足を曲げて窮屈そうに眠っている彼はそう、ワンピースの私の推しキャラ、サー・クロコダイルその人だ。
「……幻覚??」
ついに疲れすぎて幻覚が見え出したらしい。
チラリと見上げた時計は午後11時の5分前。
明日はようやく土曜日で休み。思う存分惰眠をむさぼることができる。
ワンピースは気になるけど、この幻覚が見えているうちに添い寝したい。したいったらしたい。
ソファに放りっぱなしになっていたパジャマに着替えて、いざベッドへ。
わあ、目の前にサーがいる。すごい。幻覚すごいリアル。
そうっと頬に触れてみたが、起きる気配はない。
調子に乗ってコートをめくり、その中に入り込んだ。
あったかい。
幻覚なのにあったかいなんて変だと、後になって思うのだけれど。この時の私はすでに眠気がピークを超えていて、クロコダイルの胸板に顔を埋めてすぐに意識を手放してしまった。
それが、昨夜。
「お、おはようゴザイマス」
目覚めたのはいいものの。
「テメェ、何者だ。能力者か。ここはどこだ。おれに何をした」
職場とは違った、マジものの殺気をまとったクロコダイルにベッドドンされていた。
幻覚じゃない、逆トリだこれ。マジか。
「せ、説明しますのでその鉤爪をすこし引っ込めてもらえませんか……」
今日が土曜日でよかった。仕事だったら少なくとも遅刻していただろうし、もし休んだりしたら仕事量的に死んでいた。
かくかくしかじかでざっくり説明し、説明より見た方が早いと思ったものについては実物を見せた。ワンピースの漫画、しかり。
「ンだ、こりゃあ……」
隣に座ったクロコダイルにアラバスタ編をぱらぱらとめくって見せると、みるみる眉間のシワを深くして頭を抱えてしまった。
「どうやってここに来たか、全く覚えてないんですか」
「あァ」
絞り出すような声に、さすがの社長もここまで訳の分からない状況だとキレる前にうなだれるのかと、なんだか新鮮だ。
「……そこそこ貯金あるし、とりあえずここにいてもらっていいですよ」
でも、と、ベッドに視線を落とす。
「これじゃ狭いですよね。ベッド、見に行きましょうか」
IKE●だ、推しとI●EAに行ける。推しに着せる服を買える。推しを養える。やべえなんだこれ。仕事がんばるわ。
顔を上げたクロコダイルと、ばちりと目が合う。
「ッ──」
「テメェはそれでいいのか」
ひええ、顔が良い。人相悪いけど。
「っあ、う」
「? どうした」
小首をかしげるな!可愛いかよ!
なんて脳内では言葉が飛び交っているが、口からは何も出てこない。遅ればせながら昨夜添い寝した事実に自覚が追いついて来た。
は、恥ずかしい。ビッチか、私は。
「わた、わたしは、いいんです。だって好きだから」
あ?あれ?なんか私今告白しなかった?
混乱のあまり何を言ってるかよく分からなくなって来た。
誤魔化すように立ち上がって、チェストから着替えを引っ張り出した。
「シャワー浴びて来ます!お、おとなしくしててくださいね!」
目も合わせずに脱衣所に駆け込んでドアを閉めてから、ずるずるとその場に崩れ落ちる。
どうしよう。
初対面の女から告白されても訳わかんないよな。しかもこんな状況で何言ってるんだ私。
今晩から2人で過ごすのか。すごい。どうしよう。嬉しいけどこわい。
でも一番怖いのは、シャワーを浴びて部屋に戻ったら誰もいなかったらどうしよう。やっぱり幻覚でした〜なんて。
史上最速と言わんばかりのスピードでシャワーを浴びて恐る恐る部屋に戻ると。
「……チッ」
右手を見て舌打ちをしているクロコダイルがいた。
いたよ。よかった幻覚じゃなさそう。
「お待たせしました。とりあえず、危険物は置いて、買い物に行きましょう」
「これもか」
鉤爪をこちらに向けて来たので、慌てて半歩下がる。
「です。心配しなくても命を狙って来るやつなんていません」
「……」
そうして、なんとか2人の生活が始まろうとしていた。
続かない。
20170418
続きません。書きたいところだけ書いた感しかない…
お仕事が大変な皆様に贈る。
この後の展開は皆様でご自由に妄想ください、どうぞ。
いやだって、仕事で疲れて深夜に帰宅して、推しキャラが私のベッドで窮屈そうに寝ていたら、ダイブするでしょ。そこに。その分厚い胸板に。
──
今月が山場だと、部署内は殺気立っていた。
キーボードを叩く音は日増しに荒くなり、人の出入りも多くなる。
降って来る仕事の量にため息をつく間も無く、ひたすら手と頭を動かす。
帰りたい。
早く帰ってワンピースの新刊を読みたい。
昨日買ったのに寝落ちてしまって読めていない。気になって仕方がない。
殺伐とした職場を後にしたのが午後10時。ちなみに昨日も一昨日もそうだった。
思考回路が焼き切れたように何も考えられない。
足が動くままに電車に乗り、コンビニでサラダだけ買ってアパートに帰ってくる。
廊下兼キッチンにコンビニの袋を置いてワンルームの電気をつけると。
「は?」
ベッドに見慣れない──いや、非常に見慣れた男が眠っていた。
黒髪のオールバック。頬を横切る傷跡。体を覆う黒いコート。
足を曲げて窮屈そうに眠っている彼はそう、ワンピースの私の推しキャラ、サー・クロコダイルその人だ。
「……幻覚??」
ついに疲れすぎて幻覚が見え出したらしい。
チラリと見上げた時計は午後11時の5分前。
明日はようやく土曜日で休み。思う存分惰眠をむさぼることができる。
ワンピースは気になるけど、この幻覚が見えているうちに添い寝したい。したいったらしたい。
ソファに放りっぱなしになっていたパジャマに着替えて、いざベッドへ。
わあ、目の前にサーがいる。すごい。幻覚すごいリアル。
そうっと頬に触れてみたが、起きる気配はない。
調子に乗ってコートをめくり、その中に入り込んだ。
あったかい。
幻覚なのにあったかいなんて変だと、後になって思うのだけれど。この時の私はすでに眠気がピークを超えていて、クロコダイルの胸板に顔を埋めてすぐに意識を手放してしまった。
それが、昨夜。
「お、おはようゴザイマス」
目覚めたのはいいものの。
「テメェ、何者だ。能力者か。ここはどこだ。おれに何をした」
職場とは違った、マジものの殺気をまとったクロコダイルにベッドドンされていた。
幻覚じゃない、逆トリだこれ。マジか。
「せ、説明しますのでその鉤爪をすこし引っ込めてもらえませんか……」
今日が土曜日でよかった。仕事だったら少なくとも遅刻していただろうし、もし休んだりしたら仕事量的に死んでいた。
かくかくしかじかでざっくり説明し、説明より見た方が早いと思ったものについては実物を見せた。ワンピースの漫画、しかり。
「ンだ、こりゃあ……」
隣に座ったクロコダイルにアラバスタ編をぱらぱらとめくって見せると、みるみる眉間のシワを深くして頭を抱えてしまった。
「どうやってここに来たか、全く覚えてないんですか」
「あァ」
絞り出すような声に、さすがの社長もここまで訳の分からない状況だとキレる前にうなだれるのかと、なんだか新鮮だ。
「……そこそこ貯金あるし、とりあえずここにいてもらっていいですよ」
でも、と、ベッドに視線を落とす。
「これじゃ狭いですよね。ベッド、見に行きましょうか」
IKE●だ、推しとI●EAに行ける。推しに着せる服を買える。推しを養える。やべえなんだこれ。仕事がんばるわ。
顔を上げたクロコダイルと、ばちりと目が合う。
「ッ──」
「テメェはそれでいいのか」
ひええ、顔が良い。人相悪いけど。
「っあ、う」
「? どうした」
小首をかしげるな!可愛いかよ!
なんて脳内では言葉が飛び交っているが、口からは何も出てこない。遅ればせながら昨夜添い寝した事実に自覚が追いついて来た。
は、恥ずかしい。ビッチか、私は。
「わた、わたしは、いいんです。だって好きだから」
あ?あれ?なんか私今告白しなかった?
混乱のあまり何を言ってるかよく分からなくなって来た。
誤魔化すように立ち上がって、チェストから着替えを引っ張り出した。
「シャワー浴びて来ます!お、おとなしくしててくださいね!」
目も合わせずに脱衣所に駆け込んでドアを閉めてから、ずるずるとその場に崩れ落ちる。
どうしよう。
初対面の女から告白されても訳わかんないよな。しかもこんな状況で何言ってるんだ私。
今晩から2人で過ごすのか。すごい。どうしよう。嬉しいけどこわい。
でも一番怖いのは、シャワーを浴びて部屋に戻ったら誰もいなかったらどうしよう。やっぱり幻覚でした〜なんて。
史上最速と言わんばかりのスピードでシャワーを浴びて恐る恐る部屋に戻ると。
「……チッ」
右手を見て舌打ちをしているクロコダイルがいた。
いたよ。よかった幻覚じゃなさそう。
「お待たせしました。とりあえず、危険物は置いて、買い物に行きましょう」
「これもか」
鉤爪をこちらに向けて来たので、慌てて半歩下がる。
「です。心配しなくても命を狙って来るやつなんていません」
「……」
そうして、なんとか2人の生活が始まろうとしていた。
続かない。
20170418
続きません。書きたいところだけ書いた感しかない…
お仕事が大変な皆様に贈る。
この後の展開は皆様でご自由に妄想ください、どうぞ。
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