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クリスマスもイベントをやろう。
そう言い出したのはいったい誰だったのか。副支配人も支配人も、ハロウィンの売り上げが良かったものだから乗り気になってしまって、また全員がサンタかトナカイのコスプレで働く事になった。
女性用のトナカイ衣装はなぜかかなりキワドイ露出度で、仕方なくサンタの方を選んだ。
ハロウィンのことを思うと、オーナーはまた、コスプレしてフロアに来るのだろうか?前回の事はかなりご近所で噂になっていたので、客入りが多すぎないか、少し怖い。
ようやく新人ディーラーから脱しかけているというのに、ここでミスしてしまったら逆戻りだ。少しでも手元が狂わないよう、イベントまで、ほとんどずっとトランプを持って過ごした。
いよいよ当日。
残念ながらクロコダイル様はとてもお忙しいようで、フロアに来たのは支配人のオールサンデーさんだけだった。
ちょっと楽しみにしていただけに、テンションは下がり気味だったけれど。開店と同時になだれ込んで来た客数にそうも言っていられず、必死にポーカーフェイスをキープしながらカードを繰った。
そうして10時間の営業を何事もなく終えて、全員で片付けていると。オールサンデーさんが私の肩を叩いた。
「オーナーが呼んでるわ。ここはやっておくから、執務室に行ってもらえる?」
「は、はい。急ぎですか?」
「……ええ、たぶん」
「う、じゃぁこのまま行ってきます……」
サンタの衣装はミニスカートなので正直少し恥ずかしかったけれど、仕方ない。
小走りで執務室まで到着すると、ノックを5回、した。
ハロウィンイベントが終わったあとも今日のように呼び出されたのだが、その時にこうしろと言われたのだ。
扉が中から開いたと思ったら引っ張り込まれて、次の瞬間には部屋の中で、クロコダイル様が目の前にいた。
「イベント、ご苦労」
その顔はいつもより、少し疲れて見えた。
「オーナーこそ、お疲れですか」
「小娘に心配されるほどじゃねェさ」
にやりと口元だけで笑う悪い顔に、私の胸はどきどきと高鳴る。
何か言うよりも先に、私は抱きしめられていた。
いや、抱き上げられたと言った方が正しい。私よりも1m近く背が高いのだから、仕方のないことだけれど。
クロコダイル様はそのままソファにどかりと腰を下ろして、私の首筋に顔を埋めた。おずおずと大きな背に手を回してみると、抱きしめる力が少しだけ強くなる。
小さな小さな声で、メリークリスマス、と呟いてみた。
いつもは特訓と言う名の2人きりのポーカーをするその場所で、クロコダイル様は私に噛みつくようなキスをした。
20171227
拍手より格納。
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