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呼び出されて、クロコダイルの部屋に来てみれば、なかなかの惨状が広がっていた。
散乱した書類。
ぶちまけられたインク。
倒れた花瓶。
心の中で、ワーオ、と呟く。
「……オーナー、どうされたんですか」
当の本人は、ソファにどかりと座って、しかめ面。
機嫌はすこぶる悪そうだ。
「来い」
「はあ」
仕事中なのだが、断ればどんな仕打ちが待っているか分かりきっているので、素直に従う。
指し示された場所ーークロコダイルの膝の上に、できるだけそっと腰を下ろす。
何をそんなに荒れているのか、知らないけれど。
「どうしたの、クロコダイル」
「ハナからそう呼べ」
「ごめん、なさい」
腰に回された腕に、そっと左手を添える。
首元に埋められた頭に、そっと右手をのせる。
「なぁに、甘えたなの?」
「ウルセェ、黙ってろ」
ただ黙って私に甘える姿を、ひたすらに独り占めしたいと思った。こんな姿、そもそも他人には見せないだろうけれど。
「クロコダイル、ほんとに、どうしたの」
ここまで何も言わないのも、甘えて来るのも、初めてじゃないだろうか。
自分が何かしただろうかと首をひねるけれど、特に思い当たる節はない。たぶん、クロコダイルの側に何かあったのだろう。
「ねぇったら。私仕事中なんだよ。何もないなら戻らせてよ」
早く戻らないと、いくらオーナーの呼び出しとはいえ、カジノの支配人に怒られてしまう。
「……あァ」
答えておいてクロコダイルは、片手で器用に私のシャツのボタンを外していた。
「ちょっと!ダメダメ何して…い"ッ」
首元をぐいと広げられて、露わになった肩に、強く噛み付かれた。
抵抗は、しない。したところで無駄だとわかっているから。
それに、したくてもできない。
痛みを感じたのは一瞬で、すぐに離れたと思ったら、その跡をなぞるようにゆるゆると舌が這う。
熱を持つソレを、拒否などできるはずもない。
「んっ……ダメ、戻らなきゃ……あ、」
口では抵抗すれど、身体は緩い愛撫につられてじわりと熱を持ち始める。
クロコダイルは私の嬌声に満足したのか、きつく吸い付いて鬱血痕を残すと、私を腕の中から解放した。
よろよろと立ち上がって振り返ると、あいも変わらず眉間にしわを寄せて仏頂面のクロコダイル。
「ばか、もう……仕事が終わってからにしてよ」
軽く睨み付けると、シャツを元どおりキチッと着て、部屋を後にした。
残されたクロコダイルは、
「……クソ、柄にもねぇ」
葉巻をくわえて火をつけると、天井を仰いだ。
柔らかい物腰は客商売に必要だが、度がすぎると厄介な客を引き寄せる。
どいつもこいつも、ただのウエイターに入れ込みやがって腹が立つ。
それが自分もであることは重々承知している。
けれど、正面きってこれはおれの女だと言うこともできず。
「ハァ……」
見える位置に所有印の一つでもつけてやればよかった。
煙を吐き出して、部屋の惨状に目をやる。
花瓶はともかく、書類はまずい。
そしてこの状況をオールサンデーに見られるのも癪だ。
つい30分ほど前の自分にまで腹を立てつつ、重い腰を上げた。
さっさと仕事を終わらせて、ゆっくりとアスターを待つことにしよう。
明日から心穏やかに計画に当たれるように。
散乱した書類。
ぶちまけられたインク。
倒れた花瓶。
心の中で、ワーオ、と呟く。
「……オーナー、どうされたんですか」
当の本人は、ソファにどかりと座って、しかめ面。
機嫌はすこぶる悪そうだ。
「来い」
「はあ」
仕事中なのだが、断ればどんな仕打ちが待っているか分かりきっているので、素直に従う。
指し示された場所ーークロコダイルの膝の上に、できるだけそっと腰を下ろす。
何をそんなに荒れているのか、知らないけれど。
「どうしたの、クロコダイル」
「ハナからそう呼べ」
「ごめん、なさい」
腰に回された腕に、そっと左手を添える。
首元に埋められた頭に、そっと右手をのせる。
「なぁに、甘えたなの?」
「ウルセェ、黙ってろ」
ただ黙って私に甘える姿を、ひたすらに独り占めしたいと思った。こんな姿、そもそも他人には見せないだろうけれど。
「クロコダイル、ほんとに、どうしたの」
ここまで何も言わないのも、甘えて来るのも、初めてじゃないだろうか。
自分が何かしただろうかと首をひねるけれど、特に思い当たる節はない。たぶん、クロコダイルの側に何かあったのだろう。
「ねぇったら。私仕事中なんだよ。何もないなら戻らせてよ」
早く戻らないと、いくらオーナーの呼び出しとはいえ、カジノの支配人に怒られてしまう。
「……あァ」
答えておいてクロコダイルは、片手で器用に私のシャツのボタンを外していた。
「ちょっと!ダメダメ何して…い"ッ」
首元をぐいと広げられて、露わになった肩に、強く噛み付かれた。
抵抗は、しない。したところで無駄だとわかっているから。
それに、したくてもできない。
痛みを感じたのは一瞬で、すぐに離れたと思ったら、その跡をなぞるようにゆるゆると舌が這う。
熱を持つソレを、拒否などできるはずもない。
「んっ……ダメ、戻らなきゃ……あ、」
口では抵抗すれど、身体は緩い愛撫につられてじわりと熱を持ち始める。
クロコダイルは私の嬌声に満足したのか、きつく吸い付いて鬱血痕を残すと、私を腕の中から解放した。
よろよろと立ち上がって振り返ると、あいも変わらず眉間にしわを寄せて仏頂面のクロコダイル。
「ばか、もう……仕事が終わってからにしてよ」
軽く睨み付けると、シャツを元どおりキチッと着て、部屋を後にした。
残されたクロコダイルは、
「……クソ、柄にもねぇ」
葉巻をくわえて火をつけると、天井を仰いだ。
柔らかい物腰は客商売に必要だが、度がすぎると厄介な客を引き寄せる。
どいつもこいつも、ただのウエイターに入れ込みやがって腹が立つ。
それが自分もであることは重々承知している。
けれど、正面きってこれはおれの女だと言うこともできず。
「ハァ……」
見える位置に所有印の一つでもつけてやればよかった。
煙を吐き出して、部屋の惨状に目をやる。
花瓶はともかく、書類はまずい。
そしてこの状況をオールサンデーに見られるのも癪だ。
つい30分ほど前の自分にまで腹を立てつつ、重い腰を上げた。
さっさと仕事を終わらせて、ゆっくりとアスターを待つことにしよう。
明日から心穏やかに計画に当たれるように。
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