曇り時々雨のち晴れ
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「さっきどこまで見てたの?」
蘇る光景に胸を軋ませながら、鈴乃は答えた。
「亜梨紗ちゃんに告白されて、宗くんがありがとうって言うところまで……」
「その先は?」
「……見てない」
その言葉に、宗一郎がはああと盛大なため息をついた。
鈴乃にまわした腕の力を緩めると、こつんと鈴乃の頭に自身のあごを乗せた。
その重みに、鈴乃の心臓がどぎまぎと音を立てる。
「鈴乃。そこから先が大事だったんだよ」
「え!? あ、でも、宗くんが抱きついてきた亜梨紗ちゃんに手を伸ばしたのは見たよ」
「うん。俺は、そのまま亜梨紗ちゃんに手を伸ばして、彼女を俺から引き剥がしたんだ」
「……え!? なんで!?」
鈴乃が驚いて宗一郎の顔を覗き込んだ。
「なんでって……ほんとうにわからないの?」
宗一郎が、見上げる鈴乃のおでこに自分のおでこをこつんと合わせた。
間近にみる宗一郎の顔に、鈴乃は思わず目を逸らす。
どきどきと心臓がはやまる。
密着したからだから、宗一郎に鼓動の音が聞こえちゃうんじゃないだろうか。
思って鈴乃は身を硬くする。
「わ、わからない……」
「ふうん。鈴乃は、俺の想像以上に鈍かったんだね」
「え?」
宗一郎が、腕から鈴乃を開放して意地悪く口の端を持ち上げた。
「ねえ、鈴乃。なんで俺が鈴乃をいつも部活に誘ってたか、考えてみたことある?」
「え? 和菓子屋の娘で家業が忙しいから、部活ができないことを不憫に思って……でしょ?」
「……ぜんぜん違う。でも、なんかすごいね、その思考回路。俺がいい人に聞こえる」
「宗くんは! いい人だよ!」
「はは、ありがとう」
ムキになって言い返す鈴乃に宗一郎は笑みを零すと、そっとその頬に触れた。
今まで涙が流れていたその場所に、そっと唇を寄せる。
「!」
「ふふ、鈴乃の涙でしょっぱいね」
「!!」
いつもより少し掠れた宗一郎の声が、耳元で聞こえてくる。
心臓がパンクしそうだ。
「そそ、宗くん!?」
「……好きだよ、鈴乃」
「!」
「俺のために、涙を流さなくてよかったのに……」
「う、そ……。だって亜梨紗ちゃんは?」
「ちゃんと断ったよ」
「なんで!?」
鈴乃は頭が混乱した。
だってだって、理想だって言ってたのに。せっかく両思いだったのに。
「なんでって。確かに亜梨紗ちゃんはタイプだけど、好きじゃない。かわいいなって思ったとしても、ただそれだけ。……触れたいとか、守りたいとか、愛しいとか、そういう風に思うのは鈴乃だけだよ。亜梨紗ちゃんには、なにも感じない」
「そんな、……もったいないよ」
「はは、もったいないってなに?」
「だって、理想が叶うなんて、素敵なことなのに」
鈴乃には、宗一郎がなにを考えているのかまったくわからなかった。
自分は、からかわれてるんだろうか?
「…………。ね、鈴乃。そんなに理想にこだわるなら、いいこと教えてあげようか」
「え?」
「俺の理想そのままなのが鈴乃だよ」
「え!? だって、前に宗くん、理想の女の子は天然で、ドジッ子で、放っておけないタイプだって……」
「そうだよ。ね、鈴乃にぴったりでしょ」
「う、うそぉ! わたし、天然じゃないよ! どっちかっていったらみんなに頼られるタイプだし……」
「そんなこと思ってたの、鈴乃。それ、他の人に言わないほうがいいよ」
「ええ!? なんで!?」
「だって、みんな鈴乃に頼ってるんじゃなくて、心配して寄ってきてるだけだから」
「うっそ」
「ほんとう」
鈴乃は軽くめまいがした。
なんだか、今後の人生観を大きく左右するような事を言われた気がする。
ショックで顔を抑えていると、少し拗ねたような宗一郎の声が耳に届いた。
「ね、鈴乃。返事は?」
「え?」
「鈴乃は、俺のことどう思ってるの?」
「!」
鈴乃の体が、瞬時に赤く染まる。
「き、気付いてるくせに……っ!」
「? なにが?」
にっと笑って顔を寄せてくる宗一郎。
なんだか、とっても悔しい。
「……き」
「え?」
鈴乃は顔をあげて、間近にある宗一郎の唇に自分の唇を触れ合わせた。
宗一郎が驚いたのが体の振動で伝わってくる。
鈴乃はゆっくり唇を離した。
「好きって言ったの!」
「!!」
宗一郎の白い肌が、耳まで真っ赤に染まってるのをみて、鈴乃は満足気に微笑んだ。
いつまでも主導権なんて握らせないんだから。
蘇る光景に胸を軋ませながら、鈴乃は答えた。
「亜梨紗ちゃんに告白されて、宗くんがありがとうって言うところまで……」
「その先は?」
「……見てない」
その言葉に、宗一郎がはああと盛大なため息をついた。
鈴乃にまわした腕の力を緩めると、こつんと鈴乃の頭に自身のあごを乗せた。
その重みに、鈴乃の心臓がどぎまぎと音を立てる。
「鈴乃。そこから先が大事だったんだよ」
「え!? あ、でも、宗くんが抱きついてきた亜梨紗ちゃんに手を伸ばしたのは見たよ」
「うん。俺は、そのまま亜梨紗ちゃんに手を伸ばして、彼女を俺から引き剥がしたんだ」
「……え!? なんで!?」
鈴乃が驚いて宗一郎の顔を覗き込んだ。
「なんでって……ほんとうにわからないの?」
宗一郎が、見上げる鈴乃のおでこに自分のおでこをこつんと合わせた。
間近にみる宗一郎の顔に、鈴乃は思わず目を逸らす。
どきどきと心臓がはやまる。
密着したからだから、宗一郎に鼓動の音が聞こえちゃうんじゃないだろうか。
思って鈴乃は身を硬くする。
「わ、わからない……」
「ふうん。鈴乃は、俺の想像以上に鈍かったんだね」
「え?」
宗一郎が、腕から鈴乃を開放して意地悪く口の端を持ち上げた。
「ねえ、鈴乃。なんで俺が鈴乃をいつも部活に誘ってたか、考えてみたことある?」
「え? 和菓子屋の娘で家業が忙しいから、部活ができないことを不憫に思って……でしょ?」
「……ぜんぜん違う。でも、なんかすごいね、その思考回路。俺がいい人に聞こえる」
「宗くんは! いい人だよ!」
「はは、ありがとう」
ムキになって言い返す鈴乃に宗一郎は笑みを零すと、そっとその頬に触れた。
今まで涙が流れていたその場所に、そっと唇を寄せる。
「!」
「ふふ、鈴乃の涙でしょっぱいね」
「!!」
いつもより少し掠れた宗一郎の声が、耳元で聞こえてくる。
心臓がパンクしそうだ。
「そそ、宗くん!?」
「……好きだよ、鈴乃」
「!」
「俺のために、涙を流さなくてよかったのに……」
「う、そ……。だって亜梨紗ちゃんは?」
「ちゃんと断ったよ」
「なんで!?」
鈴乃は頭が混乱した。
だってだって、理想だって言ってたのに。せっかく両思いだったのに。
「なんでって。確かに亜梨紗ちゃんはタイプだけど、好きじゃない。かわいいなって思ったとしても、ただそれだけ。……触れたいとか、守りたいとか、愛しいとか、そういう風に思うのは鈴乃だけだよ。亜梨紗ちゃんには、なにも感じない」
「そんな、……もったいないよ」
「はは、もったいないってなに?」
「だって、理想が叶うなんて、素敵なことなのに」
鈴乃には、宗一郎がなにを考えているのかまったくわからなかった。
自分は、からかわれてるんだろうか?
「…………。ね、鈴乃。そんなに理想にこだわるなら、いいこと教えてあげようか」
「え?」
「俺の理想そのままなのが鈴乃だよ」
「え!? だって、前に宗くん、理想の女の子は天然で、ドジッ子で、放っておけないタイプだって……」
「そうだよ。ね、鈴乃にぴったりでしょ」
「う、うそぉ! わたし、天然じゃないよ! どっちかっていったらみんなに頼られるタイプだし……」
「そんなこと思ってたの、鈴乃。それ、他の人に言わないほうがいいよ」
「ええ!? なんで!?」
「だって、みんな鈴乃に頼ってるんじゃなくて、心配して寄ってきてるだけだから」
「うっそ」
「ほんとう」
鈴乃は軽くめまいがした。
なんだか、今後の人生観を大きく左右するような事を言われた気がする。
ショックで顔を抑えていると、少し拗ねたような宗一郎の声が耳に届いた。
「ね、鈴乃。返事は?」
「え?」
「鈴乃は、俺のことどう思ってるの?」
「!」
鈴乃の体が、瞬時に赤く染まる。
「き、気付いてるくせに……っ!」
「? なにが?」
にっと笑って顔を寄せてくる宗一郎。
なんだか、とっても悔しい。
「……き」
「え?」
鈴乃は顔をあげて、間近にある宗一郎の唇に自分の唇を触れ合わせた。
宗一郎が驚いたのが体の振動で伝わってくる。
鈴乃はゆっくり唇を離した。
「好きって言ったの!」
「!!」
宗一郎の白い肌が、耳まで真っ赤に染まってるのをみて、鈴乃は満足気に微笑んだ。
いつまでも主導権なんて握らせないんだから。
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