曇り時々雨のち晴れ
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「じゃあ、鈴乃はどうして泣いてるの?」
宗一郎が膝を曲げて鈴乃の顔を覗き込む。
鈴乃がそれに、慌ててもっと深く頭を下げた。
こんな醜い顔、見られたくなかった。
宗一郎はなんにも悪くない。全部自分の中だけで起こったことだから、自分でうまく処理して、宗一郎におめでとうって笑って、亜梨紗とのことを祝福したかった。
こんなどろどろの汚い感情のまま、宗一郎と向き合いたくなんてない。
そう思ってたのに、もう逃げられないと鈴乃は悟った。
しゃがみ込む宗一郎の肩を、鈴乃はとんと押した。
予期せぬその行動に、宗一郎が少し後ろへよろける。
「おっ、と。なに、鈴乃?」
「……が……ってる」
「え?」
聞き返す宗一郎に、鈴乃は意を決して顔を上げた。
流れる涙を止めることはできなかったけど、なんとか笑顔を浮かべることが出来た。
こんな風に涙を流してしまったら、きっと宗一郎は自分の気持ちに気付いてしまうだろう。
気持ちが叶わなくても、せめて今までどおり友達でいられたら。
そんな望みも、もうダメになってしまった。
自分の気持ちがバレてしまってなお、鈴乃はそのままでなんていられない。
「宗くん。亜梨紗ちゃんが待ってるよ」
「――え。鈴乃、まさかさっきの……」
「よかったね、宗くん。亜梨紗ちゃんとうまくいって」
宗一郎にかぶせるように言う鈴乃の言葉に、亜梨紗……? と後ろで藤真が呟く声が聞こえた。
鈴乃はそれにも構わず先を続ける。
「宗くん、亜梨紗ちゃんのこと理想だって言ってたもんね。ほんとは笑顔で祝福したかったんだけど……。宗くん、わたしがまだ心の準備できてないのに来ちゃうんだもん……。ほんと、いやになっちゃう」
「鈴乃、違う、あれは……」
「気持ちがバレちゃったから、もう友達でもいられなくなっちゃったね。はは、失敗……」
「だから、鈴乃あれは……!」
涙に濡れた瞳で鈴乃に見つめられ、宗一郎は一瞬言葉を失った。
不謹慎にも、綺麗だ、なんて思っていると、鈴乃の瞳から新たな雫が宝石のようにきらきら輝いて零れ落ちた。
「鈴乃……」
宗一郎は鈴乃の肩を掴んだ。
びくりと震える、宗一郎の手の中の小さな体。
鈴乃は首を小さく横に振った。
「宗くん。ほんと、わたしはいいからもう行って。送る約束のこと気にしてるなら、大丈夫だから。わたし、ひとりで帰れる。むしろこの状態で送ってもらうほうがきつい……か、ら!?」
ふいに、鈴乃の語尾が驚きに取って代わられた。
力強くまわされる腕。視界の端にうつる、宗一郎のさらさらの黒髪。ふわりと香る、宗一郎の匂い。
一瞬の戸惑いの後、宗一郎に抱きしめられてるんだってやっと理解して、さらに鈴乃は混乱を深めた。
「え、そ、宗くん!?」
宗一郎の肩越しに見える、驚いた顔の藤真。
藤真は見開いていた瞳を細めると、さびしそうに笑って、唇を持ち上げた。
よ、か、っ、た、な。
音にはせず、口の動きだけで鈴乃に向けてそう言うと、藤真はひらひらと手を振ってその場を立ち去った。
「え? え?」
分けがわからず、パニックになる鈴乃。
宗一郎は、鈴乃を抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
「そ、宗……くん?」
「…………鈴乃、勘違いしてる」
「え?」
宗一郎が膝を曲げて鈴乃の顔を覗き込む。
鈴乃がそれに、慌ててもっと深く頭を下げた。
こんな醜い顔、見られたくなかった。
宗一郎はなんにも悪くない。全部自分の中だけで起こったことだから、自分でうまく処理して、宗一郎におめでとうって笑って、亜梨紗とのことを祝福したかった。
こんなどろどろの汚い感情のまま、宗一郎と向き合いたくなんてない。
そう思ってたのに、もう逃げられないと鈴乃は悟った。
しゃがみ込む宗一郎の肩を、鈴乃はとんと押した。
予期せぬその行動に、宗一郎が少し後ろへよろける。
「おっ、と。なに、鈴乃?」
「……が……ってる」
「え?」
聞き返す宗一郎に、鈴乃は意を決して顔を上げた。
流れる涙を止めることはできなかったけど、なんとか笑顔を浮かべることが出来た。
こんな風に涙を流してしまったら、きっと宗一郎は自分の気持ちに気付いてしまうだろう。
気持ちが叶わなくても、せめて今までどおり友達でいられたら。
そんな望みも、もうダメになってしまった。
自分の気持ちがバレてしまってなお、鈴乃はそのままでなんていられない。
「宗くん。亜梨紗ちゃんが待ってるよ」
「――え。鈴乃、まさかさっきの……」
「よかったね、宗くん。亜梨紗ちゃんとうまくいって」
宗一郎にかぶせるように言う鈴乃の言葉に、亜梨紗……? と後ろで藤真が呟く声が聞こえた。
鈴乃はそれにも構わず先を続ける。
「宗くん、亜梨紗ちゃんのこと理想だって言ってたもんね。ほんとは笑顔で祝福したかったんだけど……。宗くん、わたしがまだ心の準備できてないのに来ちゃうんだもん……。ほんと、いやになっちゃう」
「鈴乃、違う、あれは……」
「気持ちがバレちゃったから、もう友達でもいられなくなっちゃったね。はは、失敗……」
「だから、鈴乃あれは……!」
涙に濡れた瞳で鈴乃に見つめられ、宗一郎は一瞬言葉を失った。
不謹慎にも、綺麗だ、なんて思っていると、鈴乃の瞳から新たな雫が宝石のようにきらきら輝いて零れ落ちた。
「鈴乃……」
宗一郎は鈴乃の肩を掴んだ。
びくりと震える、宗一郎の手の中の小さな体。
鈴乃は首を小さく横に振った。
「宗くん。ほんと、わたしはいいからもう行って。送る約束のこと気にしてるなら、大丈夫だから。わたし、ひとりで帰れる。むしろこの状態で送ってもらうほうがきつい……か、ら!?」
ふいに、鈴乃の語尾が驚きに取って代わられた。
力強くまわされる腕。視界の端にうつる、宗一郎のさらさらの黒髪。ふわりと香る、宗一郎の匂い。
一瞬の戸惑いの後、宗一郎に抱きしめられてるんだってやっと理解して、さらに鈴乃は混乱を深めた。
「え、そ、宗くん!?」
宗一郎の肩越しに見える、驚いた顔の藤真。
藤真は見開いていた瞳を細めると、さびしそうに笑って、唇を持ち上げた。
よ、か、っ、た、な。
音にはせず、口の動きだけで鈴乃に向けてそう言うと、藤真はひらひらと手を振ってその場を立ち去った。
「え? え?」
分けがわからず、パニックになる鈴乃。
宗一郎は、鈴乃を抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
「そ、宗……くん?」
「…………鈴乃、勘違いしてる」
「え?」