曇り時々雨のち晴れ
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「よく、さ。試合見に来てただろ? 最初は、なんとなく目を惹かれただけだったんだ。だけど、そのうちにだんだん君を捜すようになって。……神を見に来てるんだってのは気付いてたんだけど、それでも目で追うのを止められなかった」
藤真の綺麗な茶色い瞳に射すくめられて、鈴乃の体は縛られたように動けなくなった。
藤真の大きな手がすっと伸びてきて、まだ涙のあとが残る鈴乃の頬をぐいと拭う。
「こんなになるまで泣いて……。――神と、何かあった?」
その言葉に、再び鈴乃の目尻に涙が浮かんだ。
小さく首を横に振る。
「違います。わたしと、……宗くんは。何かが起こるほどの関係じゃないんです」
「ふうん?」
「わたしが一人で憧れて。一人で追いかけて。それで……見失ったんです」
鈴乃の瞳から、透明な涙がひとしずく零れ落ちる。
儚く、睫毛を震わせながら言うその姿に、藤真は胸を衝かれた。
気付いたときには藤真は鈴乃のその華奢な体を引き寄せて、抱きしめていた。
「ふ、藤真さん!?」
鈴乃は驚いて身じろぎした。
逃れようと藤真の体を強く押すが、びくりとも動かない。
「は、はなしてください……!」
「俺にしないか?」
「え?」
鈴乃は驚愕に目を見開いた。
「俺、いい加減な気持ちじゃないよ。君の名前も、性格も、趣味もまだ何も知らないけど、こんなにも知りたいと思った女の子は君が初めてなんだ」
「――!」
「無理に、神のことを忘れろとは言わない。俺の隣りで、ゆっくりと忘れていってくれればいいから。だから、俺と付き合ってくれないか……?」
「藤真……さん」
藤真の真剣な声音に、胸が締め付けられる。
――でも。
鈴乃が唇を持ち上げたそのときだった。
「鈴乃!」
聞き覚えのある声に顔を向けると、宗一郎が血相を変えてこちらに走ってきていた。
「そ、うくん……」?
宗一郎はそばまでくると、藤真の腕から呆然としている鈴乃を奪いさり、自分の背中に庇う。
鈴乃の頬を伝う涙を見て、宗一郎が鋭い視線を藤真に向けた。
「鈴乃に何をしたんですか」
「神……。お前こそ、何をしたんだ?」
当たり前のように鈴乃を自分から引き剥がす宗一郎に苛立ちを感じながら、藤真が双眸をきつく絞って言い放つ。
藤真の言葉の意味がわからず、宗一郎は眉を潜めた。
「どういうことです?」
「彼女を泣かせたのは、俺じゃない。お前だよ」
「え?」
宗一郎は目を瞠った。
そんな風にいわれても、宗一郎には思い当たる節がない。
宗一郎は後ろに首をめぐらせ、顔を伏せている鈴乃に問いかけた。
「鈴乃、どういうこと? 俺、なんかした?」
鈴乃は小さく首を振る。
「宗くんはなにもしてないよ」
藤真の綺麗な茶色い瞳に射すくめられて、鈴乃の体は縛られたように動けなくなった。
藤真の大きな手がすっと伸びてきて、まだ涙のあとが残る鈴乃の頬をぐいと拭う。
「こんなになるまで泣いて……。――神と、何かあった?」
その言葉に、再び鈴乃の目尻に涙が浮かんだ。
小さく首を横に振る。
「違います。わたしと、……宗くんは。何かが起こるほどの関係じゃないんです」
「ふうん?」
「わたしが一人で憧れて。一人で追いかけて。それで……見失ったんです」
鈴乃の瞳から、透明な涙がひとしずく零れ落ちる。
儚く、睫毛を震わせながら言うその姿に、藤真は胸を衝かれた。
気付いたときには藤真は鈴乃のその華奢な体を引き寄せて、抱きしめていた。
「ふ、藤真さん!?」
鈴乃は驚いて身じろぎした。
逃れようと藤真の体を強く押すが、びくりとも動かない。
「は、はなしてください……!」
「俺にしないか?」
「え?」
鈴乃は驚愕に目を見開いた。
「俺、いい加減な気持ちじゃないよ。君の名前も、性格も、趣味もまだ何も知らないけど、こんなにも知りたいと思った女の子は君が初めてなんだ」
「――!」
「無理に、神のことを忘れろとは言わない。俺の隣りで、ゆっくりと忘れていってくれればいいから。だから、俺と付き合ってくれないか……?」
「藤真……さん」
藤真の真剣な声音に、胸が締め付けられる。
――でも。
鈴乃が唇を持ち上げたそのときだった。
「鈴乃!」
聞き覚えのある声に顔を向けると、宗一郎が血相を変えてこちらに走ってきていた。
「そ、うくん……」?
宗一郎はそばまでくると、藤真の腕から呆然としている鈴乃を奪いさり、自分の背中に庇う。
鈴乃の頬を伝う涙を見て、宗一郎が鋭い視線を藤真に向けた。
「鈴乃に何をしたんですか」
「神……。お前こそ、何をしたんだ?」
当たり前のように鈴乃を自分から引き剥がす宗一郎に苛立ちを感じながら、藤真が双眸をきつく絞って言い放つ。
藤真の言葉の意味がわからず、宗一郎は眉を潜めた。
「どういうことです?」
「彼女を泣かせたのは、俺じゃない。お前だよ」
「え?」
宗一郎は目を瞠った。
そんな風にいわれても、宗一郎には思い当たる節がない。
宗一郎は後ろに首をめぐらせ、顔を伏せている鈴乃に問いかけた。
「鈴乃、どういうこと? 俺、なんかした?」
鈴乃は小さく首を振る。
「宗くんはなにもしてないよ」