曇り時々雨のち晴れ
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「え?」
いつの間に。
なにがなんだかよくわからなかった。否。わかりたくなかった。
そのとき、急にさっき見た映像が、きちんとした意味を伴って鈴乃の頭によみがえった。
亜梨紗が告白して、宗一郎がそれを受け止めた。
さっきまで必死に抗おうとしていたその事実が、鈴乃の胸のやわらかいところに、突然すとんとおさまった。
「あ……」
鈴乃の瞳から、ぽろぽろととめどなく涙が溢れ出した。
そうだ。
あの時亜梨紗は告白して。それから。それから……。
胸が、苦しい。押しつぶされそうだ。
「お、おい!?」
目の前の人物が、さらに涙を零す鈴乃に慌てたのがわかった。
鈴乃はしゃくり上げながらも必死に言葉を紡ぐ。
「あ、の……。わた、し、は大丈夫……ですから。すみ、ませ……」
「……。ちょっとこっち来い」
「ひゃ!」
ぐいと、腕を引っ張られた。
宗一郎と亜梨紗がいたのとは反対側の体育館脇に連れて行かれる。
「あ、あの……」
「ほら」
そう言って無愛想に差し出されたハンカチを鈴乃は受け取った。
どれほどそうしていただろうか。
二十分近くハンカチを目頭にあてて、泣きじゃくっていた気がする。
だいぶ気分も落ち着いて、涙も枯れ始めた頃になってようやく、鈴乃はいま一緒にいてくれる人が誰なのかわからないことに気付いた。
(た、大変! ぶつかった挙句ハンカチまで借りて、おまけに長時間つき合わせてしまった……!)
そのかわいそうな被害者は、泣きじゃくる鈴乃を慰めるでもなく、元気づけるでもなく、ただ黙って前を向いて鈴乃の隣りに腰を降ろしていた。
慌てて謝罪を口にしようとした鈴乃だが、今始めてはっきりと認識したその人物に目を丸くして、全然違う言葉を吐き出してしまう。
「え、藤真……さん?」
「お。落ち着いたか?」
鈴乃の声に気付いて、藤真が振り向いた。
目は真っ赤に腫れているものの、涙が止まった様子の鈴乃を見て小さく笑う。
「はは、ウサギみたいになってんぞ、お前」
「え!?」
反射的に手を顔に当てた。
恥ずかしい。
(ってそうじゃなくて!)
鈴乃は思い直して唇を持ち上げる。
「あの……、すみませんでした。いきなりぶつかった挙句、いろいろ……お世話になって……」
「ああ、いいよ気にすんな。――俺も、興味ないやつだったらそのままほっぽって帰ってるから」
「え?」
どういう意味だろうと、鈴乃は藤真に顔を向けた。
藤真は、コートにいるときと同じ真剣な瞳をして、鈴乃を見つめる。
いつも観客席から見ている鈴乃と違って、選手の藤真が遠い観客席にいる自分のことを知っているわけがなかった。
なのにその視線はひどく熱を帯びていて、鈴乃を落ち着かなくさせる。
「あの……?」
いつの間に。
なにがなんだかよくわからなかった。否。わかりたくなかった。
そのとき、急にさっき見た映像が、きちんとした意味を伴って鈴乃の頭によみがえった。
亜梨紗が告白して、宗一郎がそれを受け止めた。
さっきまで必死に抗おうとしていたその事実が、鈴乃の胸のやわらかいところに、突然すとんとおさまった。
「あ……」
鈴乃の瞳から、ぽろぽろととめどなく涙が溢れ出した。
そうだ。
あの時亜梨紗は告白して。それから。それから……。
胸が、苦しい。押しつぶされそうだ。
「お、おい!?」
目の前の人物が、さらに涙を零す鈴乃に慌てたのがわかった。
鈴乃はしゃくり上げながらも必死に言葉を紡ぐ。
「あ、の……。わた、し、は大丈夫……ですから。すみ、ませ……」
「……。ちょっとこっち来い」
「ひゃ!」
ぐいと、腕を引っ張られた。
宗一郎と亜梨紗がいたのとは反対側の体育館脇に連れて行かれる。
「あ、あの……」
「ほら」
そう言って無愛想に差し出されたハンカチを鈴乃は受け取った。
どれほどそうしていただろうか。
二十分近くハンカチを目頭にあてて、泣きじゃくっていた気がする。
だいぶ気分も落ち着いて、涙も枯れ始めた頃になってようやく、鈴乃はいま一緒にいてくれる人が誰なのかわからないことに気付いた。
(た、大変! ぶつかった挙句ハンカチまで借りて、おまけに長時間つき合わせてしまった……!)
そのかわいそうな被害者は、泣きじゃくる鈴乃を慰めるでもなく、元気づけるでもなく、ただ黙って前を向いて鈴乃の隣りに腰を降ろしていた。
慌てて謝罪を口にしようとした鈴乃だが、今始めてはっきりと認識したその人物に目を丸くして、全然違う言葉を吐き出してしまう。
「え、藤真……さん?」
「お。落ち着いたか?」
鈴乃の声に気付いて、藤真が振り向いた。
目は真っ赤に腫れているものの、涙が止まった様子の鈴乃を見て小さく笑う。
「はは、ウサギみたいになってんぞ、お前」
「え!?」
反射的に手を顔に当てた。
恥ずかしい。
(ってそうじゃなくて!)
鈴乃は思い直して唇を持ち上げる。
「あの……、すみませんでした。いきなりぶつかった挙句、いろいろ……お世話になって……」
「ああ、いいよ気にすんな。――俺も、興味ないやつだったらそのままほっぽって帰ってるから」
「え?」
どういう意味だろうと、鈴乃は藤真に顔を向けた。
藤真は、コートにいるときと同じ真剣な瞳をして、鈴乃を見つめる。
いつも観客席から見ている鈴乃と違って、選手の藤真が遠い観客席にいる自分のことを知っているわけがなかった。
なのにその視線はひどく熱を帯びていて、鈴乃を落ち着かなくさせる。
「あの……?」
