曇り時々雨のち晴れ
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「もちろん。鈴乃もノブや牧さん、藤真さんじゃなくて、ちゃんと俺を応援しててよね」
「まっかせて!」
二人で談笑しているうちに、いつの間にか体育館についていた。
宗一郎と別れて、二階の観客席に向かうと、もうそこにはかなりの数のギャラリーがいた。
公表していないなんてうそみたいな賑わいだ。
鈴乃は、なんとか一番前にあいている席を見つけると、そこに腰をおろした。
翔陽高校は、もうすでに到着していたらしい。
眼下に、仲良く話している宗一郎と翔陽マネージャーの姿を見つけて、鈴乃の胸がツキンと痛んだ。
確か、亜梨紗という名前のその翔陽マネージャーは、天然で、ドジっ子で、放っておけないタイプだと、以前宗一郎から聞いた。
そういう女の子が好みなんだと、照れたように話していた宗一郎の顔が、脳裏によみがえる。
(わたしとは、まるで真逆……)
宗一郎の理想の女の子の亜梨紗と、しっかりもので、どちらかといえば頼られる存在の鈴乃とはかけ離れた存在だった。
宗一郎のはじけるような笑顔が、亜梨紗へと一身に注がれる。
その視線の先に、自分はいない。
再び、胸がギュッと掴まれたようにズキンと痛み、鈴乃が深くため息をついた瞬間、宗一郎と目があった。
鈴乃に気付いて、宗一郎はにこやかに手を振ってくる。
鈴乃も手を振り返そうとするが、宗一郎につられてこちらを向いた亜梨紗に気付き、思わず身を潜めてしまった。
(! いけない、思わず隠れちゃった……)
このままじゃ怪しまれること必至だが、いまさら出るわけにもいかず、鈴乃は試合開始のブザーまでそのままひざを抱えてすごした。
試合は海南の勝利で終わった。
かなりの接戦だったけれど、最後の最後に宗一郎のスリーポイントが決まって、ワンゴール差での勝利だった。
鈴乃は体育館の出入り口脇に立って、宗一郎が出てくるのを待った。
視線はグラウンドに転じて、そこで部活に励む生徒たちを眺めながら、ふと先ほどの試合のことをぼんやり思い返していた。
鈴乃の口から知らずため息が零れる。
(宗くん……かっこよかったな)
だけど。その姿は眩しすぎた。
宗一郎の試合を見るのは大好きだ。でも、試合後に毎度のように感じるこの胸の切なさには、どうしても慣れることが出来なかった。
クラスにいると、宗一郎があまりにも普通に接してくれるので忘れてしまうが、部活の彼を見ると嫌というほど思い知らされる。
自分と彼の距離。その距離は、近いようでいて果てしなく遠い。
(どんなに手を伸ばしても、届かない……)
体育館にいる女子の声援は牧や清田や藤真にも注がれていたが、宗一郎にも同じくらい送られていた。
思って、鈴乃は再び、はあとため息を吐く。
(わたしって不毛だな)
そんな風に鈴乃が思ったときだった。
宗一郎がこちらに向かってくるのが見えた。
「そうく……!」
声をかけようとして、しかし鈴乃は思わず柱に隠れた。
背の高い宗一郎の隣りに、寄り添うように翔陽マネージャーの亜梨紗が並んで、二人は仲良く体育館を出て行った。
「まっかせて!」
二人で談笑しているうちに、いつの間にか体育館についていた。
宗一郎と別れて、二階の観客席に向かうと、もうそこにはかなりの数のギャラリーがいた。
公表していないなんてうそみたいな賑わいだ。
鈴乃は、なんとか一番前にあいている席を見つけると、そこに腰をおろした。
翔陽高校は、もうすでに到着していたらしい。
眼下に、仲良く話している宗一郎と翔陽マネージャーの姿を見つけて、鈴乃の胸がツキンと痛んだ。
確か、亜梨紗という名前のその翔陽マネージャーは、天然で、ドジっ子で、放っておけないタイプだと、以前宗一郎から聞いた。
そういう女の子が好みなんだと、照れたように話していた宗一郎の顔が、脳裏によみがえる。
(わたしとは、まるで真逆……)
宗一郎の理想の女の子の亜梨紗と、しっかりもので、どちらかといえば頼られる存在の鈴乃とはかけ離れた存在だった。
宗一郎のはじけるような笑顔が、亜梨紗へと一身に注がれる。
その視線の先に、自分はいない。
再び、胸がギュッと掴まれたようにズキンと痛み、鈴乃が深くため息をついた瞬間、宗一郎と目があった。
鈴乃に気付いて、宗一郎はにこやかに手を振ってくる。
鈴乃も手を振り返そうとするが、宗一郎につられてこちらを向いた亜梨紗に気付き、思わず身を潜めてしまった。
(! いけない、思わず隠れちゃった……)
このままじゃ怪しまれること必至だが、いまさら出るわけにもいかず、鈴乃は試合開始のブザーまでそのままひざを抱えてすごした。
試合は海南の勝利で終わった。
かなりの接戦だったけれど、最後の最後に宗一郎のスリーポイントが決まって、ワンゴール差での勝利だった。
鈴乃は体育館の出入り口脇に立って、宗一郎が出てくるのを待った。
視線はグラウンドに転じて、そこで部活に励む生徒たちを眺めながら、ふと先ほどの試合のことをぼんやり思い返していた。
鈴乃の口から知らずため息が零れる。
(宗くん……かっこよかったな)
だけど。その姿は眩しすぎた。
宗一郎の試合を見るのは大好きだ。でも、試合後に毎度のように感じるこの胸の切なさには、どうしても慣れることが出来なかった。
クラスにいると、宗一郎があまりにも普通に接してくれるので忘れてしまうが、部活の彼を見ると嫌というほど思い知らされる。
自分と彼の距離。その距離は、近いようでいて果てしなく遠い。
(どんなに手を伸ばしても、届かない……)
体育館にいる女子の声援は牧や清田や藤真にも注がれていたが、宗一郎にも同じくらい送られていた。
思って、鈴乃は再び、はあとため息を吐く。
(わたしって不毛だな)
そんな風に鈴乃が思ったときだった。
宗一郎がこちらに向かってくるのが見えた。
「そうく……!」
声をかけようとして、しかし鈴乃は思わず柱に隠れた。
背の高い宗一郎の隣りに、寄り添うように翔陽マネージャーの亜梨紗が並んで、二人は仲良く体育館を出て行った。