MILKY WAY
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七夕当日。
朝練を終えた仙道は、ひどいしかめっ面で教室に入ってきた。
おはようと声をかけようとした琴梨は、その表情に驚いた。
「彰くん、どうしたの? 練習でなにかあった?」
「……琴梨、ごめん」
「え?」
「七夕祭り、行けなくなった」
「……え?」
「昨日いきなり、湘北との練習試合が決まったって監督に言われたんだ」
仙道の言葉に、琴梨は一瞬だけ声を詰まらせるが、すぐに微笑んだ。
七夕祭りに行けなくなったのは正直残念だけど、だからってそれを仙道に悟られたくなかった。
仙道をよけい傷つけてしまう。
「なんだ、そんなこと? 気にしなくていいのに」
「気にするよ。琴梨、楽しみにしてただろ?」
「それは……まあ」
「ほら。俺、琴梨にいつも我慢させてばっかりだから、今日は喜んでもらおうと思ってたのに」
「彰くん……」
琴梨の胸がじんわりとあたたかくなった。
確かに七夕祭りに一緒に行けないのは残念かもしれないけど、なによりそんな風に自分を思ってくれている仙道の気持ちの方が嬉しかった。
琴梨は、うつむく仙道の腕にそっと手をかけると、にっこり微笑んだ。
「彰くん、本当に気にしないで。七夕祭りだから楽しみだったんじゃなくて、彰くんとのデートだから楽しみだったの。だから、今日は帰り道デートしようよ。湘北との練習試合、応援してていい?」
「それはもちろん。やる気でる」
「ふふ」
「……琴梨、本当にごめんな」
「うん」
真剣な瞳で謝ってくる仙道に、琴梨は安心させるように微笑んだ。
練習試合は五分五分で、紙一重で陵南の勝ちだった。
二人は、帰りに寄り道した海の防波堤に仲良く並んで座った。
琴梨は、隣りに座る仙道を見つめる。
仙道は、熱心に星空を見上げていた。
「天の川、でてる?」
琴梨の問いかけに、仙道は眉間のしわを深くしてゆるゆると首を振った。
「というよりも、どれがどれだかさっぱりわからん」
「ふふ、彰くんらしいね」
琴梨は空を見上げた。
満天に星が瞬いている。
いつも曇りや雨が多い七夕だが、今日は珍しく晴れていた。
琴梨は、空に輝く星のひとつに、すっとその綺麗な指を伸ばした。
「ほら、彰くん、あれが織姫だよ。それで、こっちが彦星。二人の間を流れている星の海が、天の川。わかる?」
「どれどれ」
琴梨の指す星を正確に見ようと、仙道は琴梨にぴったりと体をくっつけてきた。
琴梨の心臓が大きく飛び跳ねる。
ドキドキうるさい心臓を必死でなだめようとしている琴梨にはお構いなしに、仙道はさらに体を寄せてくる。
「琴梨、どれ? 指がさっきと指してる方向違うよ?」
「あ、ご、ごめん! えっとね、あれだよ。あれが織姫……んっ」
しっかりと織姫を指差し、仙道の方を向いた琴梨の唇を、仙道は不意に奪った。
咄嗟のことでされるがままになっている琴梨の体をきつく抱きしめると、仙道は深く深く琴梨に口付ける。
「んっ。あきら……く……ん」
「琴梨……」
仙道は息を吸うために一度唇を離すと、再び琴梨の唇を自身のそれでふさいだ。
今度はついばむように、何度も何度も琴梨にキスの雨を降らせる。
仙道から送られてくる甘い痺れにすっかり酔いしれていると、仙道が切ないような表情をして琴梨の頬に落ちる髪をかきあげた。
「琴梨」
「ん」
「織姫と彦星が、一年に一回しか逢えないなんてかわいそうって人は言うけど、俺は一年に一回でも琴梨に逢えるなら、それ以外の日の寂しさも耐えられるよ」
「彰くん……」
「それくらい、俺にとって琴梨は大切なんだ。だから、これからもずっと俺のそばにいて? 来年も一緒に、こうやって星を眺めよう」
「……うん」
空に瞬く天の川。
星空のもとで、二人は顔を寄せ微笑みあうと、もう一度キスを交わした。
朝練を終えた仙道は、ひどいしかめっ面で教室に入ってきた。
おはようと声をかけようとした琴梨は、その表情に驚いた。
「彰くん、どうしたの? 練習でなにかあった?」
「……琴梨、ごめん」
「え?」
「七夕祭り、行けなくなった」
「……え?」
「昨日いきなり、湘北との練習試合が決まったって監督に言われたんだ」
仙道の言葉に、琴梨は一瞬だけ声を詰まらせるが、すぐに微笑んだ。
七夕祭りに行けなくなったのは正直残念だけど、だからってそれを仙道に悟られたくなかった。
仙道をよけい傷つけてしまう。
「なんだ、そんなこと? 気にしなくていいのに」
「気にするよ。琴梨、楽しみにしてただろ?」
「それは……まあ」
「ほら。俺、琴梨にいつも我慢させてばっかりだから、今日は喜んでもらおうと思ってたのに」
「彰くん……」
琴梨の胸がじんわりとあたたかくなった。
確かに七夕祭りに一緒に行けないのは残念かもしれないけど、なによりそんな風に自分を思ってくれている仙道の気持ちの方が嬉しかった。
琴梨は、うつむく仙道の腕にそっと手をかけると、にっこり微笑んだ。
「彰くん、本当に気にしないで。七夕祭りだから楽しみだったんじゃなくて、彰くんとのデートだから楽しみだったの。だから、今日は帰り道デートしようよ。湘北との練習試合、応援してていい?」
「それはもちろん。やる気でる」
「ふふ」
「……琴梨、本当にごめんな」
「うん」
真剣な瞳で謝ってくる仙道に、琴梨は安心させるように微笑んだ。
練習試合は五分五分で、紙一重で陵南の勝ちだった。
二人は、帰りに寄り道した海の防波堤に仲良く並んで座った。
琴梨は、隣りに座る仙道を見つめる。
仙道は、熱心に星空を見上げていた。
「天の川、でてる?」
琴梨の問いかけに、仙道は眉間のしわを深くしてゆるゆると首を振った。
「というよりも、どれがどれだかさっぱりわからん」
「ふふ、彰くんらしいね」
琴梨は空を見上げた。
満天に星が瞬いている。
いつも曇りや雨が多い七夕だが、今日は珍しく晴れていた。
琴梨は、空に輝く星のひとつに、すっとその綺麗な指を伸ばした。
「ほら、彰くん、あれが織姫だよ。それで、こっちが彦星。二人の間を流れている星の海が、天の川。わかる?」
「どれどれ」
琴梨の指す星を正確に見ようと、仙道は琴梨にぴったりと体をくっつけてきた。
琴梨の心臓が大きく飛び跳ねる。
ドキドキうるさい心臓を必死でなだめようとしている琴梨にはお構いなしに、仙道はさらに体を寄せてくる。
「琴梨、どれ? 指がさっきと指してる方向違うよ?」
「あ、ご、ごめん! えっとね、あれだよ。あれが織姫……んっ」
しっかりと織姫を指差し、仙道の方を向いた琴梨の唇を、仙道は不意に奪った。
咄嗟のことでされるがままになっている琴梨の体をきつく抱きしめると、仙道は深く深く琴梨に口付ける。
「んっ。あきら……く……ん」
「琴梨……」
仙道は息を吸うために一度唇を離すと、再び琴梨の唇を自身のそれでふさいだ。
今度はついばむように、何度も何度も琴梨にキスの雨を降らせる。
仙道から送られてくる甘い痺れにすっかり酔いしれていると、仙道が切ないような表情をして琴梨の頬に落ちる髪をかきあげた。
「琴梨」
「ん」
「織姫と彦星が、一年に一回しか逢えないなんてかわいそうって人は言うけど、俺は一年に一回でも琴梨に逢えるなら、それ以外の日の寂しさも耐えられるよ」
「彰くん……」
「それくらい、俺にとって琴梨は大切なんだ。だから、これからもずっと俺のそばにいて? 来年も一緒に、こうやって星を眺めよう」
「……うん」
空に瞬く天の川。
星空のもとで、二人は顔を寄せ微笑みあうと、もう一度キスを交わした。
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