金魚
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「わたし、実は金魚すくいすごく下手なんだよね……。宗くんお願い、取って!」
「俺?」
「うん! 宗くん、金魚すくい得意?」
言われて、宗一郎が首をかしげる。
「得意ってほどじゃないけど……。普通かな」
「じゃあ、宗くんお願い! 宗くんの方が取れる可能性高いもん」
「いいよ。でも、取れなくても恨まないでよ」
「約束する」
「よし」
今度は宗一郎が腕をまくって水槽の前にしゃがみこむ。
水槽の中の金魚をぐるっと見回すと、端っこのほうにぽつんといる赤い小さな金魚に狙いを定め、ポイを頭上に構えた。
息を殺してポイを金魚に近づけ、すっと掬い上げようとしたそのとき、どこから現れたのか、黒い金魚が赤い金魚を庇うようにして、一緒にポイに飛び乗ってきた。
そのまま手にした器にポイを返し、二匹ゲットすると、鈴乃が嬌声を上げた。
「わあ、すごい宗くん! 二匹同時ゲットだよ!?」
「二匹同時ゲットっていうか、この黒い金魚が赤いのを庇おうとしたように見えたけど」
「そうだね。二人は仲良しさんだったのかなぁ?」
「ふふ、俺と鈴乃みたいだね」
「なっ! もう、宗くん何言ってるの!?」
鈴乃は真っ赤な顔して勢い良く宗一郎を叩いた。
その拍子に、三匹目を狙っていた宗一郎のポイが破ける。
「あ! 宗くんごめんなさい!!」
「いいよ。この二匹だけのほうがなんかいいし。おじさん、取った金魚ってもらえるんだよね?」
「もちろんだとも!」
にかっといい笑顔でいうおっちゃんに、宗一郎は二匹の金魚の入った器を差し出し、袋に入れなおしてもらうと、おっちゃんにお礼を言ってそこを後にした。
家路に向かう道の途中、鈴乃にその袋を差し出す。
「はい、鈴乃」
「ありがとう!」
袋の中の金魚は、顔を寄せ合うように仲良く泳いでいる。
鈴乃は、それを見て自然と顔をほころばせた。
「ふふ。本当に仲良しだね」
「ほんとだね。案外、この黒いやつは、赤いやつを守ろうとしたのかもしれないね」
「うん。きっとそうだよ」
「ますます俺たちみたいだね」
「え?」
宗一郎が、隣をあるく鈴乃の肩を不意に引き寄せ、その額に唇を落とした。
「俺も、鈴乃のことを全力で守るよ」
切なくなるくらい、真剣で甘い声。
鈴乃の胸の奥が、ジンと震える。
「宗くん……」
宗一郎は、今度は鈴乃の唇を奪うと、鈴乃のさらさらと流れる髪を撫でた。
いつのまにか、鈴乃の家の前についていたらしい。
ずっと宗一郎を見つめる鈴乃に、宗一郎はもう一度だけ浅い口付けを落とす。
「金魚、俺と鈴乃だと思って大事にしてよ」
「うん。一緒の金魚鉢に入れて、二匹が仲良く暮らせるようにするね」
赤がわたしで、黒が宗くん。
この二匹の金魚たちみたいに、宗くんとずっと仲良くいられますように…………。
「俺?」
「うん! 宗くん、金魚すくい得意?」
言われて、宗一郎が首をかしげる。
「得意ってほどじゃないけど……。普通かな」
「じゃあ、宗くんお願い! 宗くんの方が取れる可能性高いもん」
「いいよ。でも、取れなくても恨まないでよ」
「約束する」
「よし」
今度は宗一郎が腕をまくって水槽の前にしゃがみこむ。
水槽の中の金魚をぐるっと見回すと、端っこのほうにぽつんといる赤い小さな金魚に狙いを定め、ポイを頭上に構えた。
息を殺してポイを金魚に近づけ、すっと掬い上げようとしたそのとき、どこから現れたのか、黒い金魚が赤い金魚を庇うようにして、一緒にポイに飛び乗ってきた。
そのまま手にした器にポイを返し、二匹ゲットすると、鈴乃が嬌声を上げた。
「わあ、すごい宗くん! 二匹同時ゲットだよ!?」
「二匹同時ゲットっていうか、この黒い金魚が赤いのを庇おうとしたように見えたけど」
「そうだね。二人は仲良しさんだったのかなぁ?」
「ふふ、俺と鈴乃みたいだね」
「なっ! もう、宗くん何言ってるの!?」
鈴乃は真っ赤な顔して勢い良く宗一郎を叩いた。
その拍子に、三匹目を狙っていた宗一郎のポイが破ける。
「あ! 宗くんごめんなさい!!」
「いいよ。この二匹だけのほうがなんかいいし。おじさん、取った金魚ってもらえるんだよね?」
「もちろんだとも!」
にかっといい笑顔でいうおっちゃんに、宗一郎は二匹の金魚の入った器を差し出し、袋に入れなおしてもらうと、おっちゃんにお礼を言ってそこを後にした。
家路に向かう道の途中、鈴乃にその袋を差し出す。
「はい、鈴乃」
「ありがとう!」
袋の中の金魚は、顔を寄せ合うように仲良く泳いでいる。
鈴乃は、それを見て自然と顔をほころばせた。
「ふふ。本当に仲良しだね」
「ほんとだね。案外、この黒いやつは、赤いやつを守ろうとしたのかもしれないね」
「うん。きっとそうだよ」
「ますます俺たちみたいだね」
「え?」
宗一郎が、隣をあるく鈴乃の肩を不意に引き寄せ、その額に唇を落とした。
「俺も、鈴乃のことを全力で守るよ」
切なくなるくらい、真剣で甘い声。
鈴乃の胸の奥が、ジンと震える。
「宗くん……」
宗一郎は、今度は鈴乃の唇を奪うと、鈴乃のさらさらと流れる髪を撫でた。
いつのまにか、鈴乃の家の前についていたらしい。
ずっと宗一郎を見つめる鈴乃に、宗一郎はもう一度だけ浅い口付けを落とす。
「金魚、俺と鈴乃だと思って大事にしてよ」
「うん。一緒の金魚鉢に入れて、二匹が仲良く暮らせるようにするね」
赤がわたしで、黒が宗くん。
この二匹の金魚たちみたいに、宗くんとずっと仲良くいられますように…………。
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