金魚
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七夕祭り。
宗一郎に買ってもらったわたあめを食べながら、鈴乃は上からつるされている七夕飾りを眺めていた。
鈴乃は、濃紺に浮き出るような白い桜模様がちりばめられた浴衣を着、宗一郎は灰色に縦縞の入った甚平を着て、この七夕祭りに来ていた。
宗一郎の長身に、甚平は良く映えて似合っていた。
「あ、宗くん見て! あれ、今流行ってるマンガの絵だ。上手だね、誰が書いたんだろ」
「ほんとだ。あ、あっちは歌舞伎の人形? すごい顔してる……」
「うわぁ……。こわいね」
「鈴乃の怒った顔にそっくりだよ」
「ちょっと、宗くん!?」
「あはは」
耳を疑うような発言に鈴乃がこぶしを振り上げると、宗一郎は爽やかに振り下ろされる攻撃を防いだ。
鈴乃は、それがおもしろくなくて不服そうに頬を膨らませる。
「あ、その顔かわいい」
「!?」
瞬時に鈴乃の頬が真っ赤に染まる。
「あれ? なに赤くなってるの、鈴乃?」
「…………わかってるくせに」
「ん?」
わざと聞き返してくる宗一郎に、鈴乃の顔がますます赤く染まる。
「なんでもない! もうっ、宗くんの意地悪っ!」
ぷりぷり怒りながらメインストリートを進むと、出店の中に金魚すくいを見つけた。
「あ、金魚すくい!」
言うが早いか、鈴乃は屋台に向かって走り出す。
水槽の中には、かわいらしい金魚たちが所狭しと泳ぎまわっていた。
中には、出目金や、黒の金魚、黒の出目金などレアものもいる。
優雅に泳ぐそのさまをじいっと眺めていると、屋台のおっちゃんがにこやかに話しかけてきた。
「お嬢ちゃん、金魚好きなの?」
「はい! とってもかわいいですよね」
「はは、だよなあ。よし、お嬢ちゃんは美人さんだから特別だ。500円で二回。どう? やってくかい?」
「じゃあお願いします」
鈴乃が答えるより早く、頭上から声がした。
見上げると、いつのまに追いついたのか、宗一郎がおっちゃんに500円を渡していた。
「わわ、宗くん! いいよ、これくらい自分で出すよ」
「いいよ、たまにはかっこつけさせてよ」
宗一郎は、そう言っておっちゃんから手渡されたポイ二つのうち、一つを鈴乃に渡す。
「はい。まず一つ目」
「あ、ありがと……」
「どういたしまして。さ、がんばって」
鈴乃は、すっと腕まくりすると、水槽の前にしゃがみこんだ。
水槽の中心をゆっくり泳ぐ一匹に狙いを定めると、そっと静かにポイを水に沈める。
金魚に気付かれないように、真下までもぐりこませると、そのまま勢い良く持ち上げた。
一瞬取れたかに見えた金魚は、全身をびちびちいわせポイを破くと、またひらりと水の中へと舞い戻っていった。
「あっ」
鈴乃ががっくりと肩を落とす。
「ああ、残念だったね。でもほら、あともう一個あるよ」
そういって、最後のポイを差し出す宗一郎に、鈴乃はゆるゆると首を振る。
宗一郎に買ってもらったわたあめを食べながら、鈴乃は上からつるされている七夕飾りを眺めていた。
鈴乃は、濃紺に浮き出るような白い桜模様がちりばめられた浴衣を着、宗一郎は灰色に縦縞の入った甚平を着て、この七夕祭りに来ていた。
宗一郎の長身に、甚平は良く映えて似合っていた。
「あ、宗くん見て! あれ、今流行ってるマンガの絵だ。上手だね、誰が書いたんだろ」
「ほんとだ。あ、あっちは歌舞伎の人形? すごい顔してる……」
「うわぁ……。こわいね」
「鈴乃の怒った顔にそっくりだよ」
「ちょっと、宗くん!?」
「あはは」
耳を疑うような発言に鈴乃がこぶしを振り上げると、宗一郎は爽やかに振り下ろされる攻撃を防いだ。
鈴乃は、それがおもしろくなくて不服そうに頬を膨らませる。
「あ、その顔かわいい」
「!?」
瞬時に鈴乃の頬が真っ赤に染まる。
「あれ? なに赤くなってるの、鈴乃?」
「…………わかってるくせに」
「ん?」
わざと聞き返してくる宗一郎に、鈴乃の顔がますます赤く染まる。
「なんでもない! もうっ、宗くんの意地悪っ!」
ぷりぷり怒りながらメインストリートを進むと、出店の中に金魚すくいを見つけた。
「あ、金魚すくい!」
言うが早いか、鈴乃は屋台に向かって走り出す。
水槽の中には、かわいらしい金魚たちが所狭しと泳ぎまわっていた。
中には、出目金や、黒の金魚、黒の出目金などレアものもいる。
優雅に泳ぐそのさまをじいっと眺めていると、屋台のおっちゃんがにこやかに話しかけてきた。
「お嬢ちゃん、金魚好きなの?」
「はい! とってもかわいいですよね」
「はは、だよなあ。よし、お嬢ちゃんは美人さんだから特別だ。500円で二回。どう? やってくかい?」
「じゃあお願いします」
鈴乃が答えるより早く、頭上から声がした。
見上げると、いつのまに追いついたのか、宗一郎がおっちゃんに500円を渡していた。
「わわ、宗くん! いいよ、これくらい自分で出すよ」
「いいよ、たまにはかっこつけさせてよ」
宗一郎は、そう言っておっちゃんから手渡されたポイ二つのうち、一つを鈴乃に渡す。
「はい。まず一つ目」
「あ、ありがと……」
「どういたしまして。さ、がんばって」
鈴乃は、すっと腕まくりすると、水槽の前にしゃがみこんだ。
水槽の中心をゆっくり泳ぐ一匹に狙いを定めると、そっと静かにポイを水に沈める。
金魚に気付かれないように、真下までもぐりこませると、そのまま勢い良く持ち上げた。
一瞬取れたかに見えた金魚は、全身をびちびちいわせポイを破くと、またひらりと水の中へと舞い戻っていった。
「あっ」
鈴乃ががっくりと肩を落とす。
「ああ、残念だったね。でもほら、あともう一個あるよ」
そういって、最後のポイを差し出す宗一郎に、鈴乃はゆるゆると首を振る。
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