オーバークック!
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神くんと!
「ちょっと、そんな目で見ないでよ」
「なに、どうしたの?」
ふいに響いた剣呑な声音に、宗一郎は驚いて隣りに座る結花を見た。
日曜の午後。珍しくお互いの部活の休みが重なったので、宗一郎の家でそれぞれ好きなことをしながら、まったりお家デートを満喫しているところだった。
結花はグッと眉間に皺を寄せ、口を真一文字に結んで、不機嫌そうに手に持っていたゲーム機を差し出す。
「神くん見てよこれ! このワンちゃんの目! ひどくない!? こんな目で見ないでほしい! 一生懸命頑張ったんだから!」
宗一郎は読んでいたバスケ雑誌を床に置くと、結花の手元の画面を覗き見る。
そこには、がっくりと肩を落とす玉ねぎの王様と、青い首輪をつけた可愛らしい犬が物言いたげな哀愁のある眼差しでこちらを時折見ながら落ち込んでいる様子が映っていた。
「あはは。めちゃくちゃ何か言いたそうだね、この子。それに、こっちの王様もすごく肩落としてる」
「いやいや神くん! この王様が落としてるのは肩ですけどね!? こっちは命を落としてるんですよ! それも何個も落としてるんですよ! そんな状態になりながらも必死に料理を作り続けたのに、ちょっと思うように行かなかったからって、こんながっかりしないで欲しい! こんな態度取るくらいなら、きちんとした料理環境を用意してくれればいいのに! マグマとか! 動く机とか! そんなもんあるから落ち着いて料理できないんでしょーが!」
「あはは、命落とすの? 確か結花が遊んでるのって、料理するゲームじゃなかった?」
「そうなの。料理するゲームなの。だからなのかわかんないけど、このゲーム、命よりも食材のが大事なんだよね」
結花の真剣に語る様がおかしくて、宗一郎は吹き出す。
「ぶっ、はは! そんなことあるの?」
「あるんですよ」
大真面目に結花が返す。かと思えば、張り詰めた緊張をほぐすように、ふぅ~と息を吐き出した。
「もー、疲れた! このゲーム難しいよー! ひとりじゃ限界! ねー、神くん一緒にやろう?」
「いいよ。テレビ繋ぐ?」
「わーい、いいの!? ありがとー! 繋ぐ繋ぐ!」
両手をあげて喜ぶ結花を見て、宗一郎の頬が自然と緩む。
「俺、そのゲームやったことないから上手くできないと思うけど、いい?」
結花からゲーム機を受け取って、ドックに差し込む。
パッとテレビに先ほどのゲーム画面が映し出された。
携帯機の状態と違い、大画面で映し出される玉ねぎ王様とワンちゃんの落胆した様子に、結花が一瞬嫌そうに顔をしかめる。
けれどすぐ気を取り直して宗一郎に向き直ると、瞳をきらきらと輝かせた。
「いいよ! 上手かどうかなんて関係ないよ! 一緒にやるのが楽しいんだよー」
相変わらず可愛いことを言う。
思いながら宗一郎は、コントローラーを結花に差し出す。
「はい」
「ありがと。じゃあ神くん、わたしが教えるからしっかりついてきてね」
「よろしくお願いします、料理長」
「うむ。お任せあれ!」
神くんと、オーバークック!
(ねえちょっと神くん! やったことないなんて嘘でしょ!?)
(はは、そんな嘘つかないよ)
(神くんうますぎ! なんで!? やっぱり頭か!? 頭がいいからなの!?)
(要は効率だよ。最小の動きで無駄なく効率良く作業するだけだから、ステージの仕組みを掴んじゃえばあとは簡単だよ)
(キィー! それが難しいのに! 羨ましい! その頭欲しい! その脳みそ食べたらわたしも賢くなれるかも!)
(はは! 発想が怖いね。頭はあげられないけど、いつでも俺が隣りでサポートするよ)
(……好き。次の面やろ!)
(仰せのままに)
「ちょっと、そんな目で見ないでよ」
「なに、どうしたの?」
ふいに響いた剣呑な声音に、宗一郎は驚いて隣りに座る結花を見た。
日曜の午後。珍しくお互いの部活の休みが重なったので、宗一郎の家でそれぞれ好きなことをしながら、まったりお家デートを満喫しているところだった。
結花はグッと眉間に皺を寄せ、口を真一文字に結んで、不機嫌そうに手に持っていたゲーム機を差し出す。
「神くん見てよこれ! このワンちゃんの目! ひどくない!? こんな目で見ないでほしい! 一生懸命頑張ったんだから!」
宗一郎は読んでいたバスケ雑誌を床に置くと、結花の手元の画面を覗き見る。
そこには、がっくりと肩を落とす玉ねぎの王様と、青い首輪をつけた可愛らしい犬が物言いたげな哀愁のある眼差しでこちらを時折見ながら落ち込んでいる様子が映っていた。
「あはは。めちゃくちゃ何か言いたそうだね、この子。それに、こっちの王様もすごく肩落としてる」
「いやいや神くん! この王様が落としてるのは肩ですけどね!? こっちは命を落としてるんですよ! それも何個も落としてるんですよ! そんな状態になりながらも必死に料理を作り続けたのに、ちょっと思うように行かなかったからって、こんながっかりしないで欲しい! こんな態度取るくらいなら、きちんとした料理環境を用意してくれればいいのに! マグマとか! 動く机とか! そんなもんあるから落ち着いて料理できないんでしょーが!」
「あはは、命落とすの? 確か結花が遊んでるのって、料理するゲームじゃなかった?」
「そうなの。料理するゲームなの。だからなのかわかんないけど、このゲーム、命よりも食材のが大事なんだよね」
結花の真剣に語る様がおかしくて、宗一郎は吹き出す。
「ぶっ、はは! そんなことあるの?」
「あるんですよ」
大真面目に結花が返す。かと思えば、張り詰めた緊張をほぐすように、ふぅ~と息を吐き出した。
「もー、疲れた! このゲーム難しいよー! ひとりじゃ限界! ねー、神くん一緒にやろう?」
「いいよ。テレビ繋ぐ?」
「わーい、いいの!? ありがとー! 繋ぐ繋ぐ!」
両手をあげて喜ぶ結花を見て、宗一郎の頬が自然と緩む。
「俺、そのゲームやったことないから上手くできないと思うけど、いい?」
結花からゲーム機を受け取って、ドックに差し込む。
パッとテレビに先ほどのゲーム画面が映し出された。
携帯機の状態と違い、大画面で映し出される玉ねぎ王様とワンちゃんの落胆した様子に、結花が一瞬嫌そうに顔をしかめる。
けれどすぐ気を取り直して宗一郎に向き直ると、瞳をきらきらと輝かせた。
「いいよ! 上手かどうかなんて関係ないよ! 一緒にやるのが楽しいんだよー」
相変わらず可愛いことを言う。
思いながら宗一郎は、コントローラーを結花に差し出す。
「はい」
「ありがと。じゃあ神くん、わたしが教えるからしっかりついてきてね」
「よろしくお願いします、料理長」
「うむ。お任せあれ!」
神くんと、オーバークック!
(ねえちょっと神くん! やったことないなんて嘘でしょ!?)
(はは、そんな嘘つかないよ)
(神くんうますぎ! なんで!? やっぱり頭か!? 頭がいいからなの!?)
(要は効率だよ。最小の動きで無駄なく効率良く作業するだけだから、ステージの仕組みを掴んじゃえばあとは簡単だよ)
(キィー! それが難しいのに! 羨ましい! その頭欲しい! その脳みそ食べたらわたしも賢くなれるかも!)
(はは! 発想が怖いね。頭はあげられないけど、いつでも俺が隣りでサポートするよ)
(……好き。次の面やろ!)
(仰せのままに)
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