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「おーい、結花! 部活行かなくていいのか?」
「ふわぁっ!」
結花は突然聞こえてきた声に、がばりと身を起こした。
寝起きで霞む視界の先には愛しい彼氏の洋平の姿。
洋平は短く剃った眉を困ったように下げて薄く微笑んでいる。
「よ……へい? ほえ?」
結花はなんで洋平がここにいるのかわからなくて、首をかしげた。
今は4時間目の授業中で、今日は5時間授業だ。
つまり、あと1時間は退屈な授業に耐えなければならない。
と、いうよりも、今は授業中だ。なんで授業中に結花よりも後ろの席の洋平が前の席にいるのだろうか?
気付いて結花はぱっちり目を開ける。
「え、あれ洋平なにやってるの? 今は授業中だよ?」
「はは。結花チャンはまだ寝ぼけてるんですか? 今はもう放課後だよ」
「……放課後?」
信じがたい単語に、結花は恐る恐る視線を黒板上の時計に移した。
なんともう14時30分をまわっているではないか!
結花は驚いてイスを鳴らして立ち上がる。
「どえええ、もうこんな時間!? え、あれ、じゃあ5時間めの授業は!?」
言って結花はすっと顔を青ざめさせて洋平を見る。
「大変、洋平。わたしの時間が泥棒された!」
なんてこったと大騒ぎする結花に、洋平がぶはっと盛大に吹き出す。
「はは! そんなわけないだろ。お前2時間ぶっ通しで寝てたよ。すっげえ気持ち良さそうに」
「うっそだあ! 乙女のわたしがそんなことするわけないじゃん。時間盗まれたんだよ。モモの時間泥棒だよ」
「はいはい。よっぽど疲れてんだな。……大丈夫か?」
洋平が瞳を細めて結花の頬に触れた。
その感触にどきっと結花の心臓が音を立てる。
確かに地区大会も近づいてきて、ここのところ練習がさらにハードになってきていた。
朝は部員や先輩マネージャーの彩子よりも早く体育館に来て、夜はいつも一番最後に体育館を出ている。
おまけに、部活が休みの日や部活後にも花道や三井や流川に頼まれて自主練に付き合ったりもしていた。
さすがに最近はちょっと疲れが溜まり始めているのを否定できない。
結花は少しばかり後ろめたい気持ちで洋平の問いに頷いた。
「う、うん……」
「お前、花道の練習にずっと付き合ってんだろ? あいつのスタミナは半端じゃねえからな……。しかも流川とかミッチーにも気に入られてこき使われてる見てえだし……。ちょっとは断ることも覚えろよ?」
「大丈夫だよ。もうそろそろ地区大会だし! マネージャーのわたしにできることは元気よくサポートすることだけだもん」
そうだ。一番つらくて大変なのは選手なのに、マネージャーの自分が弱音なんて吐けない。
思って結花は洋平にちからこぶを作ってみせる。
そんな結花に洋平は苦笑して見せた。そしてふいにその表情を苦しげにゆがめる。
「まあ、そうかもしれねえけど。心配なんだよ。お前に倒れられたら、俺が困る」
「洋平……」
結花の胸がきゅっと苦しくなった。
洋平の大きなあたたかい手が、優しく結花の頭を撫でる。
「それにさ、お前気付いてる? ミッチーと流川のこと」
「? なに? ――ハッ、もしかしてあの二人体調悪いの!? わー、それは全然気付かなかったよう!」
どうしようと慌てふためいていると、唐突に洋平に抱きしめられた。
「よよよ洋平!?」
驚いて呼びかけると、ふうと洋平のため息が落ちてくる。
「ばーかちげえよ。あの二人、多分結花のこと狙ってる」
「え!?」
「あの二人、タオルもドリンクも自主練も全部お前に頼むだろ?」
結花は思案気に頷く。
「う、うん。確かにそうだけど……。じゃあ花道も? 花道もそれ、全部わたしに頼んでくるよ?」
「いや。あれは違うだろ。花道は完全にハルコチャンだ」
「うん。なのに三井先輩と流川くんは違うの?」
「まあ、お前はわかんなくていいけど。ただ、頼むからあんまりそいつらと二人きりにはなるな。俺の目の届かないときは、特に」
言葉とともに、からだに回された洋平の腕が強まった。
結花は自分の腕を洋平のからだにまわして、ぎゅっと抱きしめ返す。
「うん、わかった。気をつけるね」
「よろしく」
「あはは、洋平はヤキモチ焼きだねえ」
「結花チャンがあんまりかわいいからな」
「……洋平。それって殺し文句って言うデスよ。知ってる?」
「うん? こんなのまだまだだぜ。俺が本気で殺し文句言おうとしたらすごいよ。お前多分卒倒する。……聞きたい?」
「か、勘弁してください……!」
耳元で低く囁かれた声に、結花はぶんぶんと首を振った。
耳朶をくすぐる洋平の吐息がくすぐったくて、そこから全身が火がついたように熱くなる。
この状態でこれ以上甘い言葉を囁かれたら、多分燃え尽きて炭か灰にでもなってしまう。
「はは、残念。……じゃあ、今はこれで許してやるよ」
そう言って洋平が結花の唇にキスを落とした。
優しく触れるだけのそれだけど、結花のからだの内側がジンとしびれて満たされるような感覚になる。
「洋平」
「ん?」
唇が触れるか触れないかの距離で二人は微笑みあう。
「好き」
「はは。俺はもっと好きだよ」
再び洋平の唇が結花のそれに重なった。
ゆっくり唇が離れていったかと思うと、洋平が穏やかに微笑む。
「じゃあ結花チャン。部活に行きますか?」
「ぎゃあもうこんな時間!」
時計は15時をまわっていた。
これはもしかしたらもしかするとお叱りを受けるかもしれない。
結花が慌てて掴んだカバンを、洋平がさりげなく奪い取る。
「結花。俺、今日バイトないから一緒に帰ろうぜ」
「うん! あ、でも部活……」
「待ってるよ。花道もからかいてえし、なによりミッチーと流川にちゃんと睨みきかせとかねえとな」
「ふふふ。本場の睨みですね」
「まあな。俺たちのラブラブっぷりを見せ付けてやるのもいいけどな」
「それは恥ずかしいからダメです」
「ちぇっ」
結花は隣りで拗ねたように唇を突き出す洋平の腕を取ると、微笑んだ。
「大好きだよ!」
だから、ずっとそばにいてね。
「ふわぁっ!」
結花は突然聞こえてきた声に、がばりと身を起こした。
寝起きで霞む視界の先には愛しい彼氏の洋平の姿。
洋平は短く剃った眉を困ったように下げて薄く微笑んでいる。
「よ……へい? ほえ?」
結花はなんで洋平がここにいるのかわからなくて、首をかしげた。
今は4時間目の授業中で、今日は5時間授業だ。
つまり、あと1時間は退屈な授業に耐えなければならない。
と、いうよりも、今は授業中だ。なんで授業中に結花よりも後ろの席の洋平が前の席にいるのだろうか?
気付いて結花はぱっちり目を開ける。
「え、あれ洋平なにやってるの? 今は授業中だよ?」
「はは。結花チャンはまだ寝ぼけてるんですか? 今はもう放課後だよ」
「……放課後?」
信じがたい単語に、結花は恐る恐る視線を黒板上の時計に移した。
なんともう14時30分をまわっているではないか!
結花は驚いてイスを鳴らして立ち上がる。
「どえええ、もうこんな時間!? え、あれ、じゃあ5時間めの授業は!?」
言って結花はすっと顔を青ざめさせて洋平を見る。
「大変、洋平。わたしの時間が泥棒された!」
なんてこったと大騒ぎする結花に、洋平がぶはっと盛大に吹き出す。
「はは! そんなわけないだろ。お前2時間ぶっ通しで寝てたよ。すっげえ気持ち良さそうに」
「うっそだあ! 乙女のわたしがそんなことするわけないじゃん。時間盗まれたんだよ。モモの時間泥棒だよ」
「はいはい。よっぽど疲れてんだな。……大丈夫か?」
洋平が瞳を細めて結花の頬に触れた。
その感触にどきっと結花の心臓が音を立てる。
確かに地区大会も近づいてきて、ここのところ練習がさらにハードになってきていた。
朝は部員や先輩マネージャーの彩子よりも早く体育館に来て、夜はいつも一番最後に体育館を出ている。
おまけに、部活が休みの日や部活後にも花道や三井や流川に頼まれて自主練に付き合ったりもしていた。
さすがに最近はちょっと疲れが溜まり始めているのを否定できない。
結花は少しばかり後ろめたい気持ちで洋平の問いに頷いた。
「う、うん……」
「お前、花道の練習にずっと付き合ってんだろ? あいつのスタミナは半端じゃねえからな……。しかも流川とかミッチーにも気に入られてこき使われてる見てえだし……。ちょっとは断ることも覚えろよ?」
「大丈夫だよ。もうそろそろ地区大会だし! マネージャーのわたしにできることは元気よくサポートすることだけだもん」
そうだ。一番つらくて大変なのは選手なのに、マネージャーの自分が弱音なんて吐けない。
思って結花は洋平にちからこぶを作ってみせる。
そんな結花に洋平は苦笑して見せた。そしてふいにその表情を苦しげにゆがめる。
「まあ、そうかもしれねえけど。心配なんだよ。お前に倒れられたら、俺が困る」
「洋平……」
結花の胸がきゅっと苦しくなった。
洋平の大きなあたたかい手が、優しく結花の頭を撫でる。
「それにさ、お前気付いてる? ミッチーと流川のこと」
「? なに? ――ハッ、もしかしてあの二人体調悪いの!? わー、それは全然気付かなかったよう!」
どうしようと慌てふためいていると、唐突に洋平に抱きしめられた。
「よよよ洋平!?」
驚いて呼びかけると、ふうと洋平のため息が落ちてくる。
「ばーかちげえよ。あの二人、多分結花のこと狙ってる」
「え!?」
「あの二人、タオルもドリンクも自主練も全部お前に頼むだろ?」
結花は思案気に頷く。
「う、うん。確かにそうだけど……。じゃあ花道も? 花道もそれ、全部わたしに頼んでくるよ?」
「いや。あれは違うだろ。花道は完全にハルコチャンだ」
「うん。なのに三井先輩と流川くんは違うの?」
「まあ、お前はわかんなくていいけど。ただ、頼むからあんまりそいつらと二人きりにはなるな。俺の目の届かないときは、特に」
言葉とともに、からだに回された洋平の腕が強まった。
結花は自分の腕を洋平のからだにまわして、ぎゅっと抱きしめ返す。
「うん、わかった。気をつけるね」
「よろしく」
「あはは、洋平はヤキモチ焼きだねえ」
「結花チャンがあんまりかわいいからな」
「……洋平。それって殺し文句って言うデスよ。知ってる?」
「うん? こんなのまだまだだぜ。俺が本気で殺し文句言おうとしたらすごいよ。お前多分卒倒する。……聞きたい?」
「か、勘弁してください……!」
耳元で低く囁かれた声に、結花はぶんぶんと首を振った。
耳朶をくすぐる洋平の吐息がくすぐったくて、そこから全身が火がついたように熱くなる。
この状態でこれ以上甘い言葉を囁かれたら、多分燃え尽きて炭か灰にでもなってしまう。
「はは、残念。……じゃあ、今はこれで許してやるよ」
そう言って洋平が結花の唇にキスを落とした。
優しく触れるだけのそれだけど、結花のからだの内側がジンとしびれて満たされるような感覚になる。
「洋平」
「ん?」
唇が触れるか触れないかの距離で二人は微笑みあう。
「好き」
「はは。俺はもっと好きだよ」
再び洋平の唇が結花のそれに重なった。
ゆっくり唇が離れていったかと思うと、洋平が穏やかに微笑む。
「じゃあ結花チャン。部活に行きますか?」
「ぎゃあもうこんな時間!」
時計は15時をまわっていた。
これはもしかしたらもしかするとお叱りを受けるかもしれない。
結花が慌てて掴んだカバンを、洋平がさりげなく奪い取る。
「結花。俺、今日バイトないから一緒に帰ろうぜ」
「うん! あ、でも部活……」
「待ってるよ。花道もからかいてえし、なによりミッチーと流川にちゃんと睨みきかせとかねえとな」
「ふふふ。本場の睨みですね」
「まあな。俺たちのラブラブっぷりを見せ付けてやるのもいいけどな」
「それは恥ずかしいからダメです」
「ちぇっ」
結花は隣りで拗ねたように唇を突き出す洋平の腕を取ると、微笑んだ。
「大好きだよ!」
だから、ずっとそばにいてね。
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