Depend on me
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「避けてる? 俺が、結花さんを? まさか」
笑った声が、自分でも乾いて響いたのがわかった。
避けている。誰かに看破されるほどあからさまにしていたつもりはなかったのだけれど、信長に気付かれているようじゃ、これは相当わかりやすかったのかもしれない。
自身の行動を反省しながら、宗一郎は心の中だけでため息をつく。
「あの! 姉ちゃんがなんかしたならオレ、謝ります! 姉ちゃんにもよく言っておきますから、だからどうか許してやってください。姉ちゃん、最近元気なくて……」
「それは俺が原因だとは限らないだろ? それに、お前に謝ってもらう必要もない。結花さんは関係ないよ。これは俺個人の問題だから」
「…………」
斬って捨てるように言うと、信長がしんと黙り込んだ。
頼りなさげな声で、ぼそりと言う。
「あの……、神さんは姉ちゃんのことが嫌いですか?」
その一言に、宗一郎の体をカッと閃光のような怒りが走った。
(いっそ嫌いになれたなら、どんなに……っ!)
思った言葉は、違う叫びとなって信長に向かう。
「だから! そういうんじゃないって言ってるだろ!?」
思わず荒げてしまった自分の声にハッと驚いて信長を見る。信長は、瞳を見開いて体を硬直させていた。
「あ、の……」
うろたえた様子で必死に何か言おうとする信長にバツの悪い気持ちで背を向けて、宗一郎は表情を隠すように髪に手を突っ込んだ。
いったい、自分はなにをしているんだろう。
信長にまで八つ当たりして。
「……ごめん、ノブ。とにかく、ほんとうに結花さんのせいじゃないよ。お前のお姉さんなのに、嫌いになるわけないだろ? そうじゃないんだ、ほんとうに。ただ、俺が……」
そこで、声が途切れた。
不自然に言葉を止めた宗一郎を、信長が様子をうかがうように見上げてくる。
「神さん?」
その瞳が不安定に揺れてるのを見て、宗一郎は無理矢理頬を引っ張って微笑んだ。
「なんでもない。すぐに大丈夫になるから、頼むから今はそっとしておいて」
「……わかりました」
信長が納得いかない様子で、それでも不承不承頷いてくれたのを見て、宗一郎は申し訳なさを感じると共にホッと安堵の息を吐き出した。
次の日。宗一郎は憂鬱な気持ちで学校へ登校した。
相変わらず顔を見れない結花といい、信長への昨日の態度といい、ほとほと自分が嫌になる。
今日たまたま朝練がなかったことは不幸中の幸いだろう。今の気持ちのまま信長に会うのは避けたかった。
なんとか放課後練までには気持ちを回復して、いつもどおり振舞わなければ。
教室に入り、席に着くと、ふうと目を閉じる。
時計が進むにつれて、段々と騒がしくなる教室。無心になろうとそのざわめきを追い出そうとしていると、
「ねね。三年の牧先輩、彼女できたんだって!」
ふと、そんな言葉が耳に飛び込んできた。
宗一郎はうっすらと目を開けて自分のつま先を睨む。
笑った声が、自分でも乾いて響いたのがわかった。
避けている。誰かに看破されるほどあからさまにしていたつもりはなかったのだけれど、信長に気付かれているようじゃ、これは相当わかりやすかったのかもしれない。
自身の行動を反省しながら、宗一郎は心の中だけでため息をつく。
「あの! 姉ちゃんがなんかしたならオレ、謝ります! 姉ちゃんにもよく言っておきますから、だからどうか許してやってください。姉ちゃん、最近元気なくて……」
「それは俺が原因だとは限らないだろ? それに、お前に謝ってもらう必要もない。結花さんは関係ないよ。これは俺個人の問題だから」
「…………」
斬って捨てるように言うと、信長がしんと黙り込んだ。
頼りなさげな声で、ぼそりと言う。
「あの……、神さんは姉ちゃんのことが嫌いですか?」
その一言に、宗一郎の体をカッと閃光のような怒りが走った。
(いっそ嫌いになれたなら、どんなに……っ!)
思った言葉は、違う叫びとなって信長に向かう。
「だから! そういうんじゃないって言ってるだろ!?」
思わず荒げてしまった自分の声にハッと驚いて信長を見る。信長は、瞳を見開いて体を硬直させていた。
「あ、の……」
うろたえた様子で必死に何か言おうとする信長にバツの悪い気持ちで背を向けて、宗一郎は表情を隠すように髪に手を突っ込んだ。
いったい、自分はなにをしているんだろう。
信長にまで八つ当たりして。
「……ごめん、ノブ。とにかく、ほんとうに結花さんのせいじゃないよ。お前のお姉さんなのに、嫌いになるわけないだろ? そうじゃないんだ、ほんとうに。ただ、俺が……」
そこで、声が途切れた。
不自然に言葉を止めた宗一郎を、信長が様子をうかがうように見上げてくる。
「神さん?」
その瞳が不安定に揺れてるのを見て、宗一郎は無理矢理頬を引っ張って微笑んだ。
「なんでもない。すぐに大丈夫になるから、頼むから今はそっとしておいて」
「……わかりました」
信長が納得いかない様子で、それでも不承不承頷いてくれたのを見て、宗一郎は申し訳なさを感じると共にホッと安堵の息を吐き出した。
次の日。宗一郎は憂鬱な気持ちで学校へ登校した。
相変わらず顔を見れない結花といい、信長への昨日の態度といい、ほとほと自分が嫌になる。
今日たまたま朝練がなかったことは不幸中の幸いだろう。今の気持ちのまま信長に会うのは避けたかった。
なんとか放課後練までには気持ちを回復して、いつもどおり振舞わなければ。
教室に入り、席に着くと、ふうと目を閉じる。
時計が進むにつれて、段々と騒がしくなる教室。無心になろうとそのざわめきを追い出そうとしていると、
「ねね。三年の牧先輩、彼女できたんだって!」
ふと、そんな言葉が耳に飛び込んできた。
宗一郎はうっすらと目を開けて自分のつま先を睨む。