Depend on me
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え?」
宗一郎の硬い声音に驚いて、結花が振り返る。
「神くん?」
「俺が、後輩だから? 年下だから? だから、駄目なんですか?」
(俺は、こんなにも貴女に頼りにされたいと思っているのに)
それとも、そもそも自分は頼りたいと思えるような相手ではないのか。
「神くん? ちょ、どうしたの?」
慌てたように宗一郎の様子を窺う結花の表情を見て、宗一郎はぎりっと奥歯を噛み締める。
困惑したような、どこか泣きそうな結花の表情。
(こんな顔、させたいわけじゃない……)
「――いえ、すみません。なんでもないです。気にしないでください」
なんとか平静を取り繕おうと努力する。
だけど、無力感と絶望と悔しさと、色んなものがないまぜになった感情をすぐに引っ込めることは難しくて、抑揚なくそれだけ呟いた後は、無言で結花を家まで送り届けるのがやっとだった。
それからしばらく、宗一郎は結花を避けて過ごした。
放課後の体育館。休憩の合図を聞いて、宗一郎は俯いて首筋をすべる汗をぬぐう。
結花を避けることになんの意味もないってわかってるけど、でもそうせずにはいられなかった。
結花を前にすると、どうしてもどす黒い嫌な感情が胸に広がってしまってうまく接する事が出来なかった。
何度か結花のもの言いたげな眼差しを強く感じたけれど、でも向き合うわけにはいかない。結花を傷つけてしまうかもしれないなら、それが落ち着くまで距離を置くしかない。そう思った。
この前の結花のあの言葉は、振られたも同然だ。
宗一郎には男を感じないと、かわいい後輩としか見られない、だからあんまり頼るわけにはいかないと、そう言われたようなものだった。
もちろん、結花は宗一郎の気持ちなんて知らないのだから、結花にはなんの悪意も責任もないのだけれど……。
(こんなの、ただのこどもみたいだ……)
欲しかったおもちゃが手に入らなくて、ずっと駄々をこねて拗ねている。そんな小さな子供と、自分のやっていることはまるで変わらない。
それがわかるから、宗一郎には余計つらかった。
こんなの、結花に相手にされなくて当たり前だ。
喉の渇きを感じて、宗一郎は憂いを振り切るようにして部室に入る。
と、信長が追いかけてきた。
「神さん!」
「ノブ? どうした?」
そこにおいてあったドリンクボトルに口をつけながら聞くと、信長がどこか緊張したように唇を持ち上げた。
「あの、神さん!」
「ん?」
「あの……。もしかして、姉ちゃん、神さんになんかしましたか?」
「――!?」
飲み物が喉に引っかかって、危うく咽るところだった。
宗一郎は慌てて平静を取り繕って、気持ちを落ち着けるようにゆっくりとドリンクボトルを下ろす。
「どうして? そんなことないよ」
冷静さを取り戻して信長を見ると、信長が言いにくそうに目を伏せた。
「あ、いえ……。神さん、なんか姉ちゃんのこと避けてるみたいだから」
宗一郎の硬い声音に驚いて、結花が振り返る。
「神くん?」
「俺が、後輩だから? 年下だから? だから、駄目なんですか?」
(俺は、こんなにも貴女に頼りにされたいと思っているのに)
それとも、そもそも自分は頼りたいと思えるような相手ではないのか。
「神くん? ちょ、どうしたの?」
慌てたように宗一郎の様子を窺う結花の表情を見て、宗一郎はぎりっと奥歯を噛み締める。
困惑したような、どこか泣きそうな結花の表情。
(こんな顔、させたいわけじゃない……)
「――いえ、すみません。なんでもないです。気にしないでください」
なんとか平静を取り繕おうと努力する。
だけど、無力感と絶望と悔しさと、色んなものがないまぜになった感情をすぐに引っ込めることは難しくて、抑揚なくそれだけ呟いた後は、無言で結花を家まで送り届けるのがやっとだった。
それからしばらく、宗一郎は結花を避けて過ごした。
放課後の体育館。休憩の合図を聞いて、宗一郎は俯いて首筋をすべる汗をぬぐう。
結花を避けることになんの意味もないってわかってるけど、でもそうせずにはいられなかった。
結花を前にすると、どうしてもどす黒い嫌な感情が胸に広がってしまってうまく接する事が出来なかった。
何度か結花のもの言いたげな眼差しを強く感じたけれど、でも向き合うわけにはいかない。結花を傷つけてしまうかもしれないなら、それが落ち着くまで距離を置くしかない。そう思った。
この前の結花のあの言葉は、振られたも同然だ。
宗一郎には男を感じないと、かわいい後輩としか見られない、だからあんまり頼るわけにはいかないと、そう言われたようなものだった。
もちろん、結花は宗一郎の気持ちなんて知らないのだから、結花にはなんの悪意も責任もないのだけれど……。
(こんなの、ただのこどもみたいだ……)
欲しかったおもちゃが手に入らなくて、ずっと駄々をこねて拗ねている。そんな小さな子供と、自分のやっていることはまるで変わらない。
それがわかるから、宗一郎には余計つらかった。
こんなの、結花に相手にされなくて当たり前だ。
喉の渇きを感じて、宗一郎は憂いを振り切るようにして部室に入る。
と、信長が追いかけてきた。
「神さん!」
「ノブ? どうした?」
そこにおいてあったドリンクボトルに口をつけながら聞くと、信長がどこか緊張したように唇を持ち上げた。
「あの、神さん!」
「ん?」
「あの……。もしかして、姉ちゃん、神さんになんかしましたか?」
「――!?」
飲み物が喉に引っかかって、危うく咽るところだった。
宗一郎は慌てて平静を取り繕って、気持ちを落ち着けるようにゆっくりとドリンクボトルを下ろす。
「どうして? そんなことないよ」
冷静さを取り戻して信長を見ると、信長が言いにくそうに目を伏せた。
「あ、いえ……。神さん、なんか姉ちゃんのこと避けてるみたいだから」