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まだ何か言い募ろうとする結花を遮って、神はにこりと微笑んだ。
「じゃあ決まり。今日は二人で帰りましょう」
「神さん! 姉ちゃんよろしく頼んます!」
「もちろん。それじゃあお先失礼します」
体育館に残る二人に挨拶をして、神はまだ動揺覚めやらない様子の結花を伴って体育館を後にした。
しばらく歩いて、ようやく落ち着きを取り戻した様子の結花と他愛無い話をしながら、宗一郎は帰り道を歩く。
二人きりで帰るなんて初めてだ。宗一郎はこっそり隣りを歩く結花を見る。肩が触れそうなくらいの距離に結花がいた。
意識すると、どきどきと宗一郎の胸が高鳴った。
宗一郎の言葉に、笑顔を返してくれる結花がいる。眉を寄せて考える結花がいる。弾けたように笑う結花がいる。その表情やしぐさのすべてが、今は自分だけのものだと思うと、胸が張り裂けるくらいの高揚を感じた。
(ほんとうに、結花さんを自分だけのものに出来たらいいのに……)
ふと切ない痛みが胸を襲って、宗一郎は眉を下げた。
勇気を出して、聞いてみる。
まだ胸に残る、さっきの結花。牧を見て表情を輝かせ、楽しそうに話していた結花のこと。
「さっき、牧さんと何話してたんですか?」
「さっき?」
宗一郎の言葉に、結花がきょとんとした。
その表情に少し胸をときめかせながら、宗一郎は説明する。自分が余ったジャージをしまっている時に見た、牧と結花のこと。
「とても楽しそうだったので」
「ああ! あの時? あれはね、これがどこにあるかわからなくて、紳一に用意してもらってたの」
「これ?」
言って結花が顔の前に掲げた、少し大きめの袋を見て、宗一郎は首を傾げた。
「あれ、これってビブスですか?」
「そう! 洗濯機がこわれて大変だから、洗ってきて欲しいって高頭先生に頼まれたの。でもどこにあるのかわかんなくって」
どうして結花さんがビブスを? と眉を寄せる宗一郎に、結花が事情を話してくれながらあははと笑う。
なんだ、そんなことだったのか。思って宗一郎はホッと息を吐く。遠くから顔を赤らめているのが見えたから、もっと別の、違う話かと思った。
「それなら俺に言ってくれればよかったのに。俺だってビブスの場所くらいわかりますよ?」
「うん、ありがとう。でも大丈夫。あんまり神くんばっかり頼るわけにもいかないもの。それでなくても神くんにはたくさん助けてもらってるんだから」
その言葉に宗一郎はムッとした。心にもやもやとしたものが広がっていく。
「どうしてですか?」
「だって神くんにはノブがたくさんお世話になってるし」
「そんなの、気にしなくて大丈夫ですよ。俺だって、ノブに慕ってもらえるのは嬉しいですし」
それはそれ、これはこれだ。そんなの理由になっていない。
宗一郎の様子には気づかず、結花が前をみたままあははと笑う。
「ほんとう? 嬉しいなあ。でも、そんなわけで弟も神くんにお世話かけてるし、神くんはわたしにとってもかわいい後輩なので、やっぱりあんまり頼るわけにはいかないのです」
やわらかい口調で、けれどきっぱりと結花が言った。
宗一郎は思わず足を止める。
結花のその言葉は、少なからずショックだった。
(……俺が、後輩だから?)
年下だから、頼るわけにはいかないのだろうか。
それとも――。
「それって、どういう意味ですか?」
「じゃあ決まり。今日は二人で帰りましょう」
「神さん! 姉ちゃんよろしく頼んます!」
「もちろん。それじゃあお先失礼します」
体育館に残る二人に挨拶をして、神はまだ動揺覚めやらない様子の結花を伴って体育館を後にした。
しばらく歩いて、ようやく落ち着きを取り戻した様子の結花と他愛無い話をしながら、宗一郎は帰り道を歩く。
二人きりで帰るなんて初めてだ。宗一郎はこっそり隣りを歩く結花を見る。肩が触れそうなくらいの距離に結花がいた。
意識すると、どきどきと宗一郎の胸が高鳴った。
宗一郎の言葉に、笑顔を返してくれる結花がいる。眉を寄せて考える結花がいる。弾けたように笑う結花がいる。その表情やしぐさのすべてが、今は自分だけのものだと思うと、胸が張り裂けるくらいの高揚を感じた。
(ほんとうに、結花さんを自分だけのものに出来たらいいのに……)
ふと切ない痛みが胸を襲って、宗一郎は眉を下げた。
勇気を出して、聞いてみる。
まだ胸に残る、さっきの結花。牧を見て表情を輝かせ、楽しそうに話していた結花のこと。
「さっき、牧さんと何話してたんですか?」
「さっき?」
宗一郎の言葉に、結花がきょとんとした。
その表情に少し胸をときめかせながら、宗一郎は説明する。自分が余ったジャージをしまっている時に見た、牧と結花のこと。
「とても楽しそうだったので」
「ああ! あの時? あれはね、これがどこにあるかわからなくて、紳一に用意してもらってたの」
「これ?」
言って結花が顔の前に掲げた、少し大きめの袋を見て、宗一郎は首を傾げた。
「あれ、これってビブスですか?」
「そう! 洗濯機がこわれて大変だから、洗ってきて欲しいって高頭先生に頼まれたの。でもどこにあるのかわかんなくって」
どうして結花さんがビブスを? と眉を寄せる宗一郎に、結花が事情を話してくれながらあははと笑う。
なんだ、そんなことだったのか。思って宗一郎はホッと息を吐く。遠くから顔を赤らめているのが見えたから、もっと別の、違う話かと思った。
「それなら俺に言ってくれればよかったのに。俺だってビブスの場所くらいわかりますよ?」
「うん、ありがとう。でも大丈夫。あんまり神くんばっかり頼るわけにもいかないもの。それでなくても神くんにはたくさん助けてもらってるんだから」
その言葉に宗一郎はムッとした。心にもやもやとしたものが広がっていく。
「どうしてですか?」
「だって神くんにはノブがたくさんお世話になってるし」
「そんなの、気にしなくて大丈夫ですよ。俺だって、ノブに慕ってもらえるのは嬉しいですし」
それはそれ、これはこれだ。そんなの理由になっていない。
宗一郎の様子には気づかず、結花が前をみたままあははと笑う。
「ほんとう? 嬉しいなあ。でも、そんなわけで弟も神くんにお世話かけてるし、神くんはわたしにとってもかわいい後輩なので、やっぱりあんまり頼るわけにはいかないのです」
やわらかい口調で、けれどきっぱりと結花が言った。
宗一郎は思わず足を止める。
結花のその言葉は、少なからずショックだった。
(……俺が、後輩だから?)
年下だから、頼るわけにはいかないのだろうか。
それとも――。
「それって、どういう意味ですか?」