Depend on me
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、ビブスを? なんでマネージャーでもないお前が? そもそも裏に洗濯機があっただろ」
「それ、壊れちゃったんだって。大きなものはマネージャーさんが持って帰って洗うみたいだけど、ビブスはそんなに量も多くないから頼む、とのことです」
普段マネージャーでもない結花に雑用ばかり押し付けてくるくせに、どの口がそういうかと言わんばかりに牧を睨みつけてやると、牧がはははと気まずそうに笑った。
「そうか。それはすまないな」
「大丈夫。わたしもかわりに内申良く書いてくれるよう頼んだから」
結花は、このまま附属の海南大学に進学予定だ。
成績では既に合格ラインをゆうに超えており、面接と簡単な学力テストのみという、もっとも受かりやすい入学試験枠を確保している。
これで内申書が完璧なら、合格はほぼ確定も同然だ。
高校三年生にもなって、帰宅部の結花がわざわざ校内で一番忙しいといっても過言ではない部活に頻繁に顔を出すのは、そういう理由もあったからだ。
これまで一番有利な推薦枠を確保するために勉強をがんばってきたのだ。最後の一年くらい、弟と、それから仲の良いクラスメイトを応援しながら、学校生活を楽しんでもバチは当たらないはずだ。
「お前……。それは不正じゃないのか?」
まるで犯罪者でも見るような目つきでそう言ってくる牧に、ふふんと腕を組んで高飛車に言い返す。
「ノンノン。これは立派な課外活動です」
「あ、そ」
呆れたように瞳を細めて言って、牧が歩き出す。
結花もその後を追いかけた。
牧は体育倉庫のボールカゴの横に無造作に置かれた袋を掴むと、ぽんとそれを結花に放り投げる。
「わっ」
「ほら、それがビブスだ。毎度毎度すまないな、結花。助かるよ」
「どういたしまして。別に家帰ってもやることないし、部活を見てるのは楽しいからいいよ」
「神にも会えるしな」
それまで普通だったのに、また牧がにやっと意地悪く口の端を持ち上げた。
「もう! 紳一!」
結花は怒って、牧の肩に強烈なパンチをお見舞いした。
放課後練の終了後、日課の自主練をこなした宗一郎は、パスだしを付き合ってくれた結花に短くお礼を言うと、周囲に散らばったボールを片付け始めた。
「わたしも手伝うよ」
「ありがとうございます」
言ってボールを拾い出す結花にもう一度お礼を言って、宗一郎は散らばったボールに目線を落とす。
こんなにもそばにいてくれているのに、先ほどの光景が胸に染みついて、結花をとても遠くに感じさせていた。
あれだけアピールしているのに、頼れる人の候補に自分が入っていないのは、結構心にくる。
宗一郎はボールを拾い終えると、今度こそ結花と別れてボールカゴを倉庫へ戻しにいった。
そのまま部室で制服へと着替え、また体育館に顔を出す。
牧と信長は、まだ熱心に1対1の練習をしていた。
「まだやってるねえ」
先にそこにいた結花の隣りに並ぶと、結花が二人を見て呟いた。
あの厳しい放課後練習を終えて、どこにそんな体力が残っているのかと疑いたくなるくらい激しくぶつかりあいをしている二人を見つめて、宗一郎も眉尻を下げる。
「ノブは熱心ですから。吸収も早いですし、この海南を背負って立つのもそう遠くないんじゃないんですかね」
「それ、壊れちゃったんだって。大きなものはマネージャーさんが持って帰って洗うみたいだけど、ビブスはそんなに量も多くないから頼む、とのことです」
普段マネージャーでもない結花に雑用ばかり押し付けてくるくせに、どの口がそういうかと言わんばかりに牧を睨みつけてやると、牧がはははと気まずそうに笑った。
「そうか。それはすまないな」
「大丈夫。わたしもかわりに内申良く書いてくれるよう頼んだから」
結花は、このまま附属の海南大学に進学予定だ。
成績では既に合格ラインをゆうに超えており、面接と簡単な学力テストのみという、もっとも受かりやすい入学試験枠を確保している。
これで内申書が完璧なら、合格はほぼ確定も同然だ。
高校三年生にもなって、帰宅部の結花がわざわざ校内で一番忙しいといっても過言ではない部活に頻繁に顔を出すのは、そういう理由もあったからだ。
これまで一番有利な推薦枠を確保するために勉強をがんばってきたのだ。最後の一年くらい、弟と、それから仲の良いクラスメイトを応援しながら、学校生活を楽しんでもバチは当たらないはずだ。
「お前……。それは不正じゃないのか?」
まるで犯罪者でも見るような目つきでそう言ってくる牧に、ふふんと腕を組んで高飛車に言い返す。
「ノンノン。これは立派な課外活動です」
「あ、そ」
呆れたように瞳を細めて言って、牧が歩き出す。
結花もその後を追いかけた。
牧は体育倉庫のボールカゴの横に無造作に置かれた袋を掴むと、ぽんとそれを結花に放り投げる。
「わっ」
「ほら、それがビブスだ。毎度毎度すまないな、結花。助かるよ」
「どういたしまして。別に家帰ってもやることないし、部活を見てるのは楽しいからいいよ」
「神にも会えるしな」
それまで普通だったのに、また牧がにやっと意地悪く口の端を持ち上げた。
「もう! 紳一!」
結花は怒って、牧の肩に強烈なパンチをお見舞いした。
放課後練の終了後、日課の自主練をこなした宗一郎は、パスだしを付き合ってくれた結花に短くお礼を言うと、周囲に散らばったボールを片付け始めた。
「わたしも手伝うよ」
「ありがとうございます」
言ってボールを拾い出す結花にもう一度お礼を言って、宗一郎は散らばったボールに目線を落とす。
こんなにもそばにいてくれているのに、先ほどの光景が胸に染みついて、結花をとても遠くに感じさせていた。
あれだけアピールしているのに、頼れる人の候補に自分が入っていないのは、結構心にくる。
宗一郎はボールを拾い終えると、今度こそ結花と別れてボールカゴを倉庫へ戻しにいった。
そのまま部室で制服へと着替え、また体育館に顔を出す。
牧と信長は、まだ熱心に1対1の練習をしていた。
「まだやってるねえ」
先にそこにいた結花の隣りに並ぶと、結花が二人を見て呟いた。
あの厳しい放課後練習を終えて、どこにそんな体力が残っているのかと疑いたくなるくらい激しくぶつかりあいをしている二人を見つめて、宗一郎も眉尻を下げる。
「ノブは熱心ですから。吸収も早いですし、この海南を背負って立つのもそう遠くないんじゃないんですかね」