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(高頭監督も無茶なこと頼むなぁ……)
きっと普段身長の高い部員ばかり見すぎていて、感覚が麻痺しているに違いない。
埃っぽくなった手を払って、宗一郎は部室を出る。
と、再び困ったように眉を寄せている結花を見つけた。
(今度は何を頼まれたんだろう)
思って駆け寄ろうとしたが、宗一郎はふと足を止めた。
宗一郎の目の前で結花は誰かを探すように体育館をきょろきょろと見渡すと、ある人物を見つけてパッと顔を輝かせた。
「紳一!」
名前を呼ばれて振り返る牧に結花が笑顔で駆け寄って、なにか文句を言いながら仲良さそうにじゃれあっている。
そのまま結花は牧に何かを頼むと、一緒にどこかへ向かって歩き出した。
いつもの見慣れた光景に、ずきりと胸が痛む。
「…………」
(俺には、結花さんから頼ってくれることなんてないのに)
三年間結花と同じクラスだったという牧。結花とここ最近話すようになった自分が、そんな牧と同じように接して欲しいと願うのは無謀な望みだとわかっている。わかってはいるけれど、宗一郎には結花が牧に向けるその気安さが、とても羨ましかった。
(結花さんにもっと俺を頼ってもらえるようにするには、どうすればいいんだろう……)
宗一郎は、ひとり淋しい気持ちで仲良く話す二人をじっと見つめていた。
「紳一!」
結花はきょろきょろと辺りを見回すと、牧を見つけて駆け寄った。
呼ばれた牧がその場で足を止める。結花に気づくと、結花がそばに来るのをにやにやしながら待ち受けていた。
「おう、なんだ結花? オレは神じゃないけどいいのか?」
「!」
牧のその言葉に、結花の顔が一瞬でカッと赤く染まる。
「なっ! ちょ、紳一! 急に何言い出すのよ!」
「いやー、ははは。お前はほんとわかりやすいよなと思って」
うろたえる結花を見て、牧がくつくつと肩を震わせた。
三年間同じクラスで、三年間学級委員を共に務めた縁はそう浅くなく、言ったわけではないのにどうしてか結花が宗一郎に対して抱いていたほのかな気持ちが、牧の知れるところとなってしまった。
気持ちといっても、まだはっきり恋と確信が持てたわけではない。
(それに、神くんは後輩だし、なによりもノブの大事な先輩だもの)
なんとなく、好きになってはいけない相手のような気もした。だけど、弟の信長から宗一郎のことを聞くたび、この体育館で彼のことを目にするたび、だんだんともっと知りたいと思うようになってしまった。
そんな結花の戸惑いをいち早く察知した牧が、それをネタに結花をからかってくるようになったのである。
ほんとうに、どうしてわかってしまったのだろう。まだ肩を震わせ笑っている牧を見て、結花は嫌な顔をする。
牧に言わせると、宗一郎の話題を振ると一転してあわてふためく結花がおもしろくて仕方ないらしい。
こちらとしてはいい迷惑だ。
ムスッと唇を尖らせて、結花は牧に乱暴に手を差し出す。
「もう、いい加減笑ってばっかいないで! 高頭先生に洗ってくるよう頼まれたので、今日使ったビブスをください」
わざと冷たい声でビジネスライクに言うと、牧が目をしばたたかせた。
きっと普段身長の高い部員ばかり見すぎていて、感覚が麻痺しているに違いない。
埃っぽくなった手を払って、宗一郎は部室を出る。
と、再び困ったように眉を寄せている結花を見つけた。
(今度は何を頼まれたんだろう)
思って駆け寄ろうとしたが、宗一郎はふと足を止めた。
宗一郎の目の前で結花は誰かを探すように体育館をきょろきょろと見渡すと、ある人物を見つけてパッと顔を輝かせた。
「紳一!」
名前を呼ばれて振り返る牧に結花が笑顔で駆け寄って、なにか文句を言いながら仲良さそうにじゃれあっている。
そのまま結花は牧に何かを頼むと、一緒にどこかへ向かって歩き出した。
いつもの見慣れた光景に、ずきりと胸が痛む。
「…………」
(俺には、結花さんから頼ってくれることなんてないのに)
三年間結花と同じクラスだったという牧。結花とここ最近話すようになった自分が、そんな牧と同じように接して欲しいと願うのは無謀な望みだとわかっている。わかってはいるけれど、宗一郎には結花が牧に向けるその気安さが、とても羨ましかった。
(結花さんにもっと俺を頼ってもらえるようにするには、どうすればいいんだろう……)
宗一郎は、ひとり淋しい気持ちで仲良く話す二人をじっと見つめていた。
「紳一!」
結花はきょろきょろと辺りを見回すと、牧を見つけて駆け寄った。
呼ばれた牧がその場で足を止める。結花に気づくと、結花がそばに来るのをにやにやしながら待ち受けていた。
「おう、なんだ結花? オレは神じゃないけどいいのか?」
「!」
牧のその言葉に、結花の顔が一瞬でカッと赤く染まる。
「なっ! ちょ、紳一! 急に何言い出すのよ!」
「いやー、ははは。お前はほんとわかりやすいよなと思って」
うろたえる結花を見て、牧がくつくつと肩を震わせた。
三年間同じクラスで、三年間学級委員を共に務めた縁はそう浅くなく、言ったわけではないのにどうしてか結花が宗一郎に対して抱いていたほのかな気持ちが、牧の知れるところとなってしまった。
気持ちといっても、まだはっきり恋と確信が持てたわけではない。
(それに、神くんは後輩だし、なによりもノブの大事な先輩だもの)
なんとなく、好きになってはいけない相手のような気もした。だけど、弟の信長から宗一郎のことを聞くたび、この体育館で彼のことを目にするたび、だんだんともっと知りたいと思うようになってしまった。
そんな結花の戸惑いをいち早く察知した牧が、それをネタに結花をからかってくるようになったのである。
ほんとうに、どうしてわかってしまったのだろう。まだ肩を震わせ笑っている牧を見て、結花は嫌な顔をする。
牧に言わせると、宗一郎の話題を振ると一転してあわてふためく結花がおもしろくて仕方ないらしい。
こちらとしてはいい迷惑だ。
ムスッと唇を尖らせて、結花は牧に乱暴に手を差し出す。
「もう、いい加減笑ってばっかいないで! 高頭先生に洗ってくるよう頼まれたので、今日使ったビブスをください」
わざと冷たい声でビジネスライクに言うと、牧が目をしばたたかせた。