Depend on me
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結花は二人に見られていたことを知ると、やれやれというように肩をすくめてみせて、くるりとどこかへ駆けていった。
その背中を見送りながら、信長が嘆息する。
「姉ちゃん……。だからあんまり見に来なくていいって言ってんのに」
「はは。結花さんも大変だね」
宗一郎も苦笑する。
これまで、頼まれたものがなんなのかよくわからなくて困っている結花を、宗一郎もよく見かけていた。そういうときに結花がいつも頼るのは牧か、弟の信長だった。
もちろん宗一郎も気付いたらすぐ助けにいっているけれど、結花から助けを求められたことはまだ一度もない。
(俺は、結花さんにもっと俺を頼って欲しいけど)
信長とはまた違う気持ちで、宗一郎もその背中を見送った。
練習後。全ての片づけを終えて宗一郎が体育館を見渡すと、困った様子の結花を見つけた。
(結花さん?)
どうしたんだろう。
宗一郎は、急いでそちらに向かう。
「結花さん。どうしたんですか?」
声をかけると、結花がホッとしたように微笑んだ。
「あ、神くん。あのね、高頭先生にこれしまっといてくれって頼まれたんだけど……」
言って結花が見せてきたのは、発注してあまった部員用ジャージだった。強豪の海南大附属高校では、発注時と納品時の部員の数が違うことがままあり、こんな風にあまってしまうことも珍しいことではない。
結花の腕に山盛りに抱えられたそれらを見て、宗一郎は苦笑する。
「ああ、これ。今年もこんなにやめたんですね。まだ二ヶ月も経ってないのに」
言いながら結花からジャージを受け取った。あ、と顔をあげる結花に、宗一郎はにこりと微笑む。
「これ、俺が片付けときますよ」
「え? でも悪いわ。わたしが頼まれたのに」
「大丈夫。俺、もうやることないですから。それに、悪いというならこちらのほうですよ。結花さん、部員でもマネージャーでもないのにいろいろ手伝ってもらっちゃって」
「ありがとう。そんなこと言ってくれるの神くんだけよ。ほんと神くんは優しいね。まったく、紳一と高頭先生に神くんのつめの垢でも煎じて飲ませてやりたいわ」
後半を邪悪に呟いて、結花が眉間に皺を寄せる。
宗一郎はそんな結花にくすくす笑いながら言った。
「それだけ結花さんを頼りにしてるってことじゃないですか?」
「どうだか。仲の良さを逆手にとっていいようにこき使ってるとしか思えないな。特に紳一ね。あいつには今度なにか奢ってもらわなくっちゃ」
「あ、その時はぜひご一緒したいです」
「もちろん。二人でなんか高いものでも奢ってもらっちゃおう!」
「はは、楽しみです」
適度なところで会話を切り上げて、宗一郎はジャージをしまいに部室へ入る。
ロッカーの上に置かれたダンボールを取って、その中にジャージを入れた。
(やっぱり、俺が変わって正解だったかな)
ダンボールをロッカーの上に戻しながら、宗一郎はそんなことを思った。
身長189cmの宗一郎なら難なくロッカーの上のダンボールもとれるけれど、女子の平均身長である結花では、ひとりではここに届かなかっただろう。
その背中を見送りながら、信長が嘆息する。
「姉ちゃん……。だからあんまり見に来なくていいって言ってんのに」
「はは。結花さんも大変だね」
宗一郎も苦笑する。
これまで、頼まれたものがなんなのかよくわからなくて困っている結花を、宗一郎もよく見かけていた。そういうときに結花がいつも頼るのは牧か、弟の信長だった。
もちろん宗一郎も気付いたらすぐ助けにいっているけれど、結花から助けを求められたことはまだ一度もない。
(俺は、結花さんにもっと俺を頼って欲しいけど)
信長とはまた違う気持ちで、宗一郎もその背中を見送った。
練習後。全ての片づけを終えて宗一郎が体育館を見渡すと、困った様子の結花を見つけた。
(結花さん?)
どうしたんだろう。
宗一郎は、急いでそちらに向かう。
「結花さん。どうしたんですか?」
声をかけると、結花がホッとしたように微笑んだ。
「あ、神くん。あのね、高頭先生にこれしまっといてくれって頼まれたんだけど……」
言って結花が見せてきたのは、発注してあまった部員用ジャージだった。強豪の海南大附属高校では、発注時と納品時の部員の数が違うことがままあり、こんな風にあまってしまうことも珍しいことではない。
結花の腕に山盛りに抱えられたそれらを見て、宗一郎は苦笑する。
「ああ、これ。今年もこんなにやめたんですね。まだ二ヶ月も経ってないのに」
言いながら結花からジャージを受け取った。あ、と顔をあげる結花に、宗一郎はにこりと微笑む。
「これ、俺が片付けときますよ」
「え? でも悪いわ。わたしが頼まれたのに」
「大丈夫。俺、もうやることないですから。それに、悪いというならこちらのほうですよ。結花さん、部員でもマネージャーでもないのにいろいろ手伝ってもらっちゃって」
「ありがとう。そんなこと言ってくれるの神くんだけよ。ほんと神くんは優しいね。まったく、紳一と高頭先生に神くんのつめの垢でも煎じて飲ませてやりたいわ」
後半を邪悪に呟いて、結花が眉間に皺を寄せる。
宗一郎はそんな結花にくすくす笑いながら言った。
「それだけ結花さんを頼りにしてるってことじゃないですか?」
「どうだか。仲の良さを逆手にとっていいようにこき使ってるとしか思えないな。特に紳一ね。あいつには今度なにか奢ってもらわなくっちゃ」
「あ、その時はぜひご一緒したいです」
「もちろん。二人でなんか高いものでも奢ってもらっちゃおう!」
「はは、楽しみです」
適度なところで会話を切り上げて、宗一郎はジャージをしまいに部室へ入る。
ロッカーの上に置かれたダンボールを取って、その中にジャージを入れた。
(やっぱり、俺が変わって正解だったかな)
ダンボールをロッカーの上に戻しながら、宗一郎はそんなことを思った。
身長189cmの宗一郎なら難なくロッカーの上のダンボールもとれるけれど、女子の平均身長である結花では、ひとりではここに届かなかっただろう。