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「あ、あれは……っ! そういうんじゃなくて……」
「そういうんじゃなくて?」
「……な、なんでも……ない……」
煮え切らない結花の言葉に、宗一郎の苛立ちが募っていく。
「ふうん。じゃあ結花さんは、なんでもない人とあんな風に抱き合ったりできるんですね」
「!」
冷たく言った言葉に、結花が傷ついた顔をした。
ずきりと胸が痛む反面、抑えの効かない怒りがどんどん宗一郎の中で膨れていく。
こんなことを言ったら傷つけてしまうとわかっているのに、それでも宗一郎は自分の言葉を止めることができなかった。
傷つけたくはない。でも、苦しくて悲しくて、やり場のない気持ちを、いっそ刃にして結花に向けてしまいたくなる。
「じゃあ、俺とはどうですか?」
「――え?」
驚く結花の腕を取って、宗一郎は結花の唇に無理矢理自分のそれを押し当てた。
びくりと結花の体が硬直する。
口付けた途端に結花の甘い香りがいっぱいに広がって、宗一郎の頭が真っ白になった。
愕然として動けない結花の後頭部に手を添えて、今度は深く口づける。
ハッと結花の体が揺れて、強く胸を押された。
「んっ。むぅ……っ!」
抵抗する結花の手を空いているほうの手でやんわりと握る。
だんだんと自分がいま何をしているのかがわかってきて、宗一郎はゆっくりと唇を離した。
そのまま結花の首筋に顔を埋める。
「……すみません」
くぐもった声が教室に響いた。
自分の掠れた声を聞いて、どっと後悔が押し寄せる。
結花の顔を見ることができなかった。
「神……くん……。どうして……?」
結花の震える声が響いた。
宗一郎は唇を噛み締める。理性を失って一線を越えたのは自分だ。もう後戻りはできない。
「好きです」
ゆっくりと顔をあげて、しっかりと結花の瞳を見て言った。
悲しみに彩られていたそれが、大きく見開かれる。
「え?」
「二年の頃からずっと、貴女を見てました。好きです、結花さん。……どうして、俺じゃダメなんですか?」
声に出すと、ぎゅっと胸がなにかに潰されたようになった。
苦しくて息が吸えない。
好きなのに。
と、その時。
「――ぷっ」
突然結花が吹き出した。
「は、え?」
面食らう宗一郎にもお構いなしに、結花はくすくすと笑い続ける。
宗一郎はしばらく呆然と結花が笑っているのを眺めていたけれど、だんだんと拗ねた気持ちになってムッと唇を尖らせた。
どうして自分は笑われているんだろう。
「……そんなに俺の気持ちはおかしいですか」
低く問うと、結花が慌てたように首を横に振る。
「違う違う。そうじゃなくて。あはは、だって、わたしたちばかみたい」
「?」
「――わたしも、神くんが好き」
笑顔で言われたその言葉に、今度は宗一郎が硬直した。
「え!?」
「だから、わたしも神くんのことが好きなの。わたしたちとっくに両想いだったのに、そんなこと気づかないで二人で勝手にじたばたしてたのよ。ね、ばかみたいでしょう?」
くすくすと結花が上品に口もとを押さえて笑っている。
結花の言ってることがようやく理解できて、宗一郎の胸にもあたたかさと同時におかしさが込み上げてきた。
くすくすと笑みをこぼして、結花の頬に手を添える。
結花が嬉しそうに頬に添えられた宗一郎の手に自分の手を添えた。
一瞬前までは想像も出来なかった光景に、宗一郎の胸が強く震える。
指先に触れる頬をそっと、優しく撫でて、宗一郎は囁いた。
「じゃあ、これからは俺を一番に頼ってくれますか?」
「うん、もちろん。これから、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろこんで」
微笑み合うと、二人はどちらからともなく顔を寄せ、キスをした。
後日。
「ええええ! じ、神さん、姉ちゃんのこと好きだったんですか……!?」
「そうだよ」
「え、で、つ、付き合うって、今日姉ちゃんに聞いたんですけど」
「うん」
「えええええええ! いや、めでたい! めでたいんすけど! 神さんも、姉ちゃんも大好きだから嬉しいんスけど! でもなんかもやもやするっていうか! 神さんわかります、この気持ち!?」
「うん。つまり、ノブはシスコンってことだろ? でも、俺もノブに負けないくらい結花さんのこと好きだから」
「え、ええええええええ!!」
この日一日、海南大附属高校バスケ部体育館に、清田信長の混乱した叫び声が何度も響き渡ったとか。
「そういうんじゃなくて?」
「……な、なんでも……ない……」
煮え切らない結花の言葉に、宗一郎の苛立ちが募っていく。
「ふうん。じゃあ結花さんは、なんでもない人とあんな風に抱き合ったりできるんですね」
「!」
冷たく言った言葉に、結花が傷ついた顔をした。
ずきりと胸が痛む反面、抑えの効かない怒りがどんどん宗一郎の中で膨れていく。
こんなことを言ったら傷つけてしまうとわかっているのに、それでも宗一郎は自分の言葉を止めることができなかった。
傷つけたくはない。でも、苦しくて悲しくて、やり場のない気持ちを、いっそ刃にして結花に向けてしまいたくなる。
「じゃあ、俺とはどうですか?」
「――え?」
驚く結花の腕を取って、宗一郎は結花の唇に無理矢理自分のそれを押し当てた。
びくりと結花の体が硬直する。
口付けた途端に結花の甘い香りがいっぱいに広がって、宗一郎の頭が真っ白になった。
愕然として動けない結花の後頭部に手を添えて、今度は深く口づける。
ハッと結花の体が揺れて、強く胸を押された。
「んっ。むぅ……っ!」
抵抗する結花の手を空いているほうの手でやんわりと握る。
だんだんと自分がいま何をしているのかがわかってきて、宗一郎はゆっくりと唇を離した。
そのまま結花の首筋に顔を埋める。
「……すみません」
くぐもった声が教室に響いた。
自分の掠れた声を聞いて、どっと後悔が押し寄せる。
結花の顔を見ることができなかった。
「神……くん……。どうして……?」
結花の震える声が響いた。
宗一郎は唇を噛み締める。理性を失って一線を越えたのは自分だ。もう後戻りはできない。
「好きです」
ゆっくりと顔をあげて、しっかりと結花の瞳を見て言った。
悲しみに彩られていたそれが、大きく見開かれる。
「え?」
「二年の頃からずっと、貴女を見てました。好きです、結花さん。……どうして、俺じゃダメなんですか?」
声に出すと、ぎゅっと胸がなにかに潰されたようになった。
苦しくて息が吸えない。
好きなのに。
と、その時。
「――ぷっ」
突然結花が吹き出した。
「は、え?」
面食らう宗一郎にもお構いなしに、結花はくすくすと笑い続ける。
宗一郎はしばらく呆然と結花が笑っているのを眺めていたけれど、だんだんと拗ねた気持ちになってムッと唇を尖らせた。
どうして自分は笑われているんだろう。
「……そんなに俺の気持ちはおかしいですか」
低く問うと、結花が慌てたように首を横に振る。
「違う違う。そうじゃなくて。あはは、だって、わたしたちばかみたい」
「?」
「――わたしも、神くんが好き」
笑顔で言われたその言葉に、今度は宗一郎が硬直した。
「え!?」
「だから、わたしも神くんのことが好きなの。わたしたちとっくに両想いだったのに、そんなこと気づかないで二人で勝手にじたばたしてたのよ。ね、ばかみたいでしょう?」
くすくすと結花が上品に口もとを押さえて笑っている。
結花の言ってることがようやく理解できて、宗一郎の胸にもあたたかさと同時におかしさが込み上げてきた。
くすくすと笑みをこぼして、結花の頬に手を添える。
結花が嬉しそうに頬に添えられた宗一郎の手に自分の手を添えた。
一瞬前までは想像も出来なかった光景に、宗一郎の胸が強く震える。
指先に触れる頬をそっと、優しく撫でて、宗一郎は囁いた。
「じゃあ、これからは俺を一番に頼ってくれますか?」
「うん、もちろん。これから、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろこんで」
微笑み合うと、二人はどちらからともなく顔を寄せ、キスをした。
後日。
「ええええ! じ、神さん、姉ちゃんのこと好きだったんですか……!?」
「そうだよ」
「え、で、つ、付き合うって、今日姉ちゃんに聞いたんですけど」
「うん」
「えええええええ! いや、めでたい! めでたいんすけど! 神さんも、姉ちゃんも大好きだから嬉しいんスけど! でもなんかもやもやするっていうか! 神さんわかります、この気持ち!?」
「うん。つまり、ノブはシスコンってことだろ? でも、俺もノブに負けないくらい結花さんのこと好きだから」
「え、ええええええええ!!」
この日一日、海南大附属高校バスケ部体育館に、清田信長の混乱した叫び声が何度も響き渡ったとか。
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