Depend on me
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別に部活の時に渡すのでも問題ないけれど、タイミングが合わなければ帰りまで渡せなくなってしまうし、また余計なことに脳みそを奪われてCDの存在を忘れてしまうかもしれない。
牧の教室に寄るためには、ほんの少し迂回すればいいだけだ。
そう考えて、宗一郎は牧の教室の前まで来る。
中を覗き込んで、自分の判断を心底後悔した。
「牧さ……ん……。――!」
宗一郎の目に一番に飛び込んできたもの。それは、二人きりの教室で牧の胸に顔を押し付けている結花と、その結花の頭を優しく撫でてやっている牧の姿だった。
宗一郎の声に、ハッとした表情で結花がこちらを向く。その瞳が涙に濡れているのを見て、宗一郎も息を呑んだ。
(泣いてる……?)
どうして。
はじめて見る結花の泣き顔に胸をざわつかせていると、
「神?」
牧の、自分を呼ぶ声が耳に届いた。宗一郎はハッと我に返る。
「あ、えと……。すみません。お邪魔でしたね」
言って足早に立ち去ろうと身を翻す。と、その肩を慌てて駆け寄ってきた牧につかまれた。
「!? はな――」
離して下さい。そう言おうとした宗一郎の言葉を含みのある笑顔で遮って、感心したように牧が言う。
「さすがだな、神。ナイスタイミングだ」
「は? え、なんです?」
どちらかといえばバッドタイミングだ。
わけがわからない宗一郎に、牧が一安心といった風に息をついて、耳元に口を寄せてくる。
「あれ、お前が原因だから。責任持ってなんとかしろよ」
「え、ちょ、牧さん!?」
最後に混乱したままの宗一郎の肩をポンと叩いて、牧は神の背中をぐいぐい押して教室に押し込むと、そのまま爽やかな笑顔を残して教室のドアをぴしゃんと閉めた。
「え!?」
わけがわからないまま、ドアに残った牧の残像を呆然と見つめていた宗一郎だけど、背後から結花が鼻を啜る音が聞こえて、ハッと現実に立ち返る。
そうだ。どうしてこうなったかわからないけど、今自分は、なぜか泣いている結花と教室で二人きりだった。
「…………」
ずっと背を向けているわけにもいかなくて、宗一郎は覚悟を決めて後ろを振り返る。
西日を受ける結花の泣き顔は、ハッとするくらい美しくて、宗一郎の胸を容赦なく締め付けた。
そのまま見つめ続けることができず、宗一郎は憂いを乗せた睫毛を伏せる。
「……あの噂、ほんとうだったんですね」
「あの噂?」
宗一郎の平坦な言い方に、結花が涙に濡れた瞳を不安げに揺らす。
「牧さんと……付き合ってるって」
「え……?」
硬い声音でやっとそれを言った。一瞬の沈黙の後、結花が唖然と目を見開く。
「わたしが、紳一と? まさか、違うわ」
結花がふるふると首を振る。
「違う? 何が違うんですか? さっきだって抱き合ってたじゃないですか」
牧の教室に寄るためには、ほんの少し迂回すればいいだけだ。
そう考えて、宗一郎は牧の教室の前まで来る。
中を覗き込んで、自分の判断を心底後悔した。
「牧さ……ん……。――!」
宗一郎の目に一番に飛び込んできたもの。それは、二人きりの教室で牧の胸に顔を押し付けている結花と、その結花の頭を優しく撫でてやっている牧の姿だった。
宗一郎の声に、ハッとした表情で結花がこちらを向く。その瞳が涙に濡れているのを見て、宗一郎も息を呑んだ。
(泣いてる……?)
どうして。
はじめて見る結花の泣き顔に胸をざわつかせていると、
「神?」
牧の、自分を呼ぶ声が耳に届いた。宗一郎はハッと我に返る。
「あ、えと……。すみません。お邪魔でしたね」
言って足早に立ち去ろうと身を翻す。と、その肩を慌てて駆け寄ってきた牧につかまれた。
「!? はな――」
離して下さい。そう言おうとした宗一郎の言葉を含みのある笑顔で遮って、感心したように牧が言う。
「さすがだな、神。ナイスタイミングだ」
「は? え、なんです?」
どちらかといえばバッドタイミングだ。
わけがわからない宗一郎に、牧が一安心といった風に息をついて、耳元に口を寄せてくる。
「あれ、お前が原因だから。責任持ってなんとかしろよ」
「え、ちょ、牧さん!?」
最後に混乱したままの宗一郎の肩をポンと叩いて、牧は神の背中をぐいぐい押して教室に押し込むと、そのまま爽やかな笑顔を残して教室のドアをぴしゃんと閉めた。
「え!?」
わけがわからないまま、ドアに残った牧の残像を呆然と見つめていた宗一郎だけど、背後から結花が鼻を啜る音が聞こえて、ハッと現実に立ち返る。
そうだ。どうしてこうなったかわからないけど、今自分は、なぜか泣いている結花と教室で二人きりだった。
「…………」
ずっと背を向けているわけにもいかなくて、宗一郎は覚悟を決めて後ろを振り返る。
西日を受ける結花の泣き顔は、ハッとするくらい美しくて、宗一郎の胸を容赦なく締め付けた。
そのまま見つめ続けることができず、宗一郎は憂いを乗せた睫毛を伏せる。
「……あの噂、ほんとうだったんですね」
「あの噂?」
宗一郎の平坦な言い方に、結花が涙に濡れた瞳を不安げに揺らす。
「牧さんと……付き合ってるって」
「え……?」
硬い声音でやっとそれを言った。一瞬の沈黙の後、結花が唖然と目を見開く。
「わたしが、紳一と? まさか、違うわ」
結花がふるふると首を振る。
「違う? 何が違うんですか? さっきだって抱き合ってたじゃないですか」