君の速度で
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熱い吐息とともに耳元でそう囁かれ、結花の中のなにかがついに限界を迎えた。
ハッと気がつくと、結花は勢い良く仙道を突き飛ばしていた。
傷ついたように結花を見つめる仙道と目が合って、ずきんと結花の心臓が悲鳴をあげる。
「あ、あの、わたし、わたし……っ!! ご、ごめんなさい……っ!!」
それだけ言うと、結花は逃げるようにその場を駆け出した。
次の日。
結花は朝から教室で机に突っ伏していた。その胸を激しい後悔がうずまいている。
(うう。どうして昨日逃げちゃったんだろう……)
別に逃げる必要なんてなかった。ただひとこと言えばよかっただけなのだ。
お友達です、と。
たったそれだけだったのに。
昨日の出来事が、まざまざとした肌触りで、結花の脳裏によみがえる。
全身の血が沸騰したように熱くなった。
(仙道先輩が……好き……? わたしを……? そんなまさか……)
だって仙道は学校いちの人気者で、昨日だってあの広い体育館を揺るがすくらいの歓声を一身に浴びるくらいの人なのだ。
(そんな仙道先輩が――わたしのことを好き……)
これまで、色んな人に何度となく言われてきた言葉だった。
でも、当の仙道からは今までそんなそぶり一向に見せられたことはない。
(……ほんとうに?)
心の奥のほうから声がする。
(それとも、わたしが気づいてなかっただけ……?)
出会ってから今までの毎朝の挨拶。たまに遊びに行くようになった休日。頻繁にやり取りを交わすようになったメール。
そのどれもが、仙道の好きという気持ちだったとしたら。
(――!!)
胸の奥が燃えるように熱くなった。
顔に熱が集まっていくのが自分でもわかって、結花はそれを隠すようにさらに机に顔を押し当てる。
(今日、仙道先輩が挨拶に来た時、なんて顔をしたら良いんだろう……)
泣きそうなほど緊張しながら結花はその時を待ったけれど、いくら時が過ぎてもその瞬間は訪れなかった。
「…………」
それから何日経っても、仙道は結花の前には現れなくなった。
教室前方の入り口、いつもの仙道の場所が、どんどん別の表情になっていく。
何ヶ月も経ったわけではないのに、そこからひょっこり顔をだす仙道を、結花はもううまくイメージできなくなっていた。
「ね。最近仙道先輩来ないね」
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ハッと気がつくと、結花は勢い良く仙道を突き飛ばしていた。
傷ついたように結花を見つめる仙道と目が合って、ずきんと結花の心臓が悲鳴をあげる。
「あ、あの、わたし、わたし……っ!! ご、ごめんなさい……っ!!」
それだけ言うと、結花は逃げるようにその場を駆け出した。
次の日。
結花は朝から教室で机に突っ伏していた。その胸を激しい後悔がうずまいている。
(うう。どうして昨日逃げちゃったんだろう……)
別に逃げる必要なんてなかった。ただひとこと言えばよかっただけなのだ。
お友達です、と。
たったそれだけだったのに。
昨日の出来事が、まざまざとした肌触りで、結花の脳裏によみがえる。
全身の血が沸騰したように熱くなった。
(仙道先輩が……好き……? わたしを……? そんなまさか……)
だって仙道は学校いちの人気者で、昨日だってあの広い体育館を揺るがすくらいの歓声を一身に浴びるくらいの人なのだ。
(そんな仙道先輩が――わたしのことを好き……)
これまで、色んな人に何度となく言われてきた言葉だった。
でも、当の仙道からは今までそんなそぶり一向に見せられたことはない。
(……ほんとうに?)
心の奥のほうから声がする。
(それとも、わたしが気づいてなかっただけ……?)
出会ってから今までの毎朝の挨拶。たまに遊びに行くようになった休日。頻繁にやり取りを交わすようになったメール。
そのどれもが、仙道の好きという気持ちだったとしたら。
(――!!)
胸の奥が燃えるように熱くなった。
顔に熱が集まっていくのが自分でもわかって、結花はそれを隠すようにさらに机に顔を押し当てる。
(今日、仙道先輩が挨拶に来た時、なんて顔をしたら良いんだろう……)
泣きそうなほど緊張しながら結花はその時を待ったけれど、いくら時が過ぎてもその瞬間は訪れなかった。
「…………」
それから何日経っても、仙道は結花の前には現れなくなった。
教室前方の入り口、いつもの仙道の場所が、どんどん別の表情になっていく。
何ヶ月も経ったわけではないのに、そこからひょっこり顔をだす仙道を、結花はもううまくイメージできなくなっていた。
「ね。最近仙道先輩来ないね」
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